固有名詞
固有名詞とは人名、地名など「その人、そのもの」に対してのみ与えられた名前のことです。常に大文字で書き始めます。
本来、「それだけ」につけられた名前ですから、数える理由が最初からなく、そのため不可算名詞であり、「 a,an/the 」もつきませんし、複数形にもなりません。
Tom, John, Japan, America, Mt. Fuji
ところで人の名前など「同姓(同名)」もありますよね。でも固有名詞としての考え方から言うと、それらは「偶然の一致」とみなします。しかし、あえて「~という名前の人」という意味に用いると、臨時に固有名詞を普通名詞扱いとすることもできます。書き方は固有名詞として最初を大文字にしたままですが、「 a,an/the 」をつけたり複数形にしたりもできるのは普通名詞としての扱いを受けるからです。このあたり固有名詞と普通名詞の「完全な線引き」が多少あいまいなときもあり、それがかえって表現としては便利さをもたらしています。
There are three Suzukis in my class.
(私のクラスには「鈴木」という名前の人が3人いる)
A Mr.Sato came to see you last night.
(佐藤さんという方が昨夜あなたに会いにきました)
The Taro in my classroom is taller than the other Taro in your class.
(うちのクラスにいる太郎君の方が君のクラスの太郎君より背が高い)
Yamadas went to America yesterday.
(山田家の人たちは昨日アメリカに行った)
※もしも「山田家の全員」を指すなら「The Yamadas...」と the もつきます。
「固有名詞」とは人が自由につけた名前ですから、その呼び方はそれに従うほかありません。
本のタイトルなど「 A Better Guide to English Grammar 」のように普通名詞を元に名前としてあるものも多くあり、これは「それでそのまま固有名詞」と考えます。
地名でも、the がついていたり複数であったりするものがあります。これも「そういう名前」としてそのまま覚えるほかありません。
the United States of America (the U.S.)(アメリカ合衆国)
the Philippines(フィリピン)
the Alps(アルプス山脈)
このような例は「州の集合体」、「諸島」、「山脈」のように意味として確かに何かの複数をまとめて1つの固有名詞にしている場合が多いです。
有名な固有名詞は「それが持つイメージ」を一般化して「~のような人・もの」、「~の製品」という意味に使うことがあり、その場合は普通名詞扱いとなります。
I want to be an Edison in the future.
(将来、エジソンのような人物<偉大な発明家>になりたい)
This is a Sony.
(これはソニーの製品だ)
I will buy a Honda next time.
(次は本田<の車>を買う)
※もしこれを「I will buy Honda.」といえば、まるで「本田という会社を買収する」という意味に聞こえますね。
このような例文では普通名詞にしないと「エジソンという人物」には決してなれませんし、「これがソニーだ」というのも変なのがわかりますね。また a Honda で「 a 」がなければ、本田という会社を丸ごと買う意味になってしまいます。
このように「~のような人、もの」、「~の製品」として普通名詞に転用されるのは、その固有名詞が広く知れ渡っており、誰もが共通のイメージとして理解できる場合のみです。「 I want to be a Mr. Sato. 」では佐藤という人物がどういう分野で有名なのかが伝わらないため、意味として通じません。
これまで5種類の「名詞」を見てきましたが、様々な例を通じて理解できるのは、1つの名詞が別の名詞下位分類に使い分けられたり、ときには同時に2種類の使い方をされることも珍しくないということです。
これは名詞の中だけに限ったことではなく、名詞が形容詞的に用いられたりなどということもあります。単語の品詞はその場その場での「使われ方」であり、それが同時に複数の使われ方を兼ねているということもあるのだ、と理解しましょう。決して固定的になりすぎないことが文法を素直に理解する上で大切なことです。
アメリカのユーモア・センス | |
これはアメリカンジョークの話。 5行目の「maître d' /mèɪtr(ə)díː/」とは、フランス語で「レストランで、ウエイターを取りまとめ、お客を席に案内する仕事を任務とする従業員」のことで、ここでは番組の進行係のような意味。日本語に英語が外来語として混じりこむように、レストラン用語ではしばしばフランス語が混じって用いられます。 話の中に固有名詞と「普通名詞に転用された固有名詞」が沢山出てきます。 純粋な固有名詞を青、普通名詞に転用された固有名詞を赤で示しておきます。 ところでこのアメリカン・ジョーク。どこが面白いのか理解できますでしょうか?もしも、どこが面白いのかがピンとこなかった人は、下のスクリプトのさらに下に「解説」をつけておきました。本来、ジョークって解説されるものじゃないんですけどね。 |
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(この話の「オチ」) 生前一度も浮気をしなかった男が最高級車のフェラーリをもらった。 浮気をした回数が多くなるほどもらえる車のグレードが下がった。 そして彼の妻がもらったのは「ローラースケート」。どこまでグレードが下がればローラースケートになることか。 |
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