品 詞 (Parts of Speech)

 英文法全体を体系的に理解しているかどうかは、英語の品詞を理解しているかであるといっても過言ではありません。

 「英語の品詞」にはいくつありますか?
 この質問に即答できるとしたら、あなたはすでに英文法を大変よく理解しています。品詞というのは、言うなれば「単語の使い道」であり、英文を構成するすべての単語には何らかの品詞があり、品詞を正しく理解できているということは、単語の正しい使い方を知っているということでもあるのです。

How many parts of speech?

 さてあなたは「英語の品詞」としてどんなものが思い浮かびましたか?
 名詞、形容詞、動詞、定冠詞、不定冠詞、疑問詞、関係代名詞、、、、????もしも頭の中に整然とした知識の整理ダンスがないとしたら、思い浮かぶ順序も特に根拠のないランダムなものだったことでしょう。無数に存在する英単語なので、さぞかし品詞の種類も何十種類もあって、とてもすべては思い出せないと感じましたか?

 では正解を。

英語には「8つの品詞」があります。それだけです。それを「英語の8品詞」といい、具体的には次の8種とするのが、日本で一般に教えられている文法体系です。

 
  1. 名詞
  2. 代名詞
  3. 動詞
  4. 形容詞
  5. 副詞
  6. 前置詞
  7. 接続詞
  8. 間投詞

 ここで「あれ?冠詞がないぞ。関係代名詞は?助動詞だってないじゃないか。あ、そうそう。過去分詞とか不定詞とか『~詞』という言葉は他にも沢山あるはずなのに、、、」と思った方いませんか?
 そんなあなたに尋ねます。日本の地名を次に続けて言ってください。

 北海道、青森県、岩手県、(いくつでもお好きなだけ)

 こう尋ねられて「練馬区」とか「横浜」とか、まして「横山町」や「ひので通り」なんてものを並べる人はいません。なぜなら、都道府県という「分類レベル」が最初に示されているから、同じようにどこかの都道府県名をつづけようとしますからね。
 またもし英語の品詞の話なのに「形容動詞」や「連体詞」なんてものまで思い浮かべたとしたら、それらは日本語文法の品詞なので「アメリカの州の名を言え」と言われているのに「東京や練馬区とか」を混ぜてしまうようなものです。

 品詞を分類するときには、段階的な分類レベルというのがあるんです。無数に存在する英単語を「まず大雑把に8つにわけ」それから、そのそれぞれについて、「さらに細かく分類」することができます。ですから第1段階の分類は「8品詞」となるのです。これは英文法に限ったことではありませんが、膨大な情報を整然と理解しようとするときは、上位分類下位分類にわけて段階的に全体像を把握するのが効果的です。

 さて、先に英語の8品詞の名称だけを並べてしまいましたが、そもそも「品詞」って何でしょう?日本語で「~詞」とつく言葉なんて説明はだめですよ。だって品詞の名称を英語にしたら、そんな共通の語尾はまったくついてきませんから。
 ここでまた考えかたについての注意事項を。
 たとえば「 go は動詞、school は名詞」なんて覚え方は危険です。品詞というのは決して1つの単語について1つだけと決まっていないからなんです。なぜ1単語1品詞じゃないんでしょう。その方が勉強する側としては楽なのに残念ながらそういうふうにはなっていません。同じ単語であっても、それが文章のなかでどう使われているかによって品詞が変わります。

 品詞というのは、たとえば学級の中で生徒1人1人が受け持つ役割分担のようなものです。今、1つの学級があり、生徒全員が必ず何かの係分担につくとしましょう。学級が正常に運営されていくためには、生徒各自が自分に任された役割分担の仕事をちゃんとこなすことです。それにより学級がスムーズに運営されます。この「学級」が「文章」であり、「係分担」が「品詞」です。
 すなわち「品詞」というのは、単語の文中における機能です。易しく言えば、「ある単語が今文章の中でどういう使われ方をしているか」を示す名前です。同じ単語であっても文章によってそのときの使い道が異なれば品詞も変わってくるのです。

 さて最初に「英語の8品詞」として「名詞、代名詞、動詞、形容詞、副詞、前置詞、接続詞、間投詞」の名称を列記しました。これからそれぞれの品詞について個別に詳しく見ていきますが、今の段階でこれら8種類の名称を(まだそれが何を意味するのかわからなくていいですから)覚えてしまうことにしましょう。

 次のような要領で覚えてください。

名詞、代名詞、動詞」---ここまでを1つのグループにして一気に言う。
形容詞、副詞」---この2つを1つのグループとして覚える。
前置詞、接続詞、間投詞」--これらを「その他」のグループとして一気に言う。

 こうして8つの品詞を3つに区切って、ぶつぶつ唱えて口慣らしをしてください。どうしてこんなふうにグループ分けするかは、これから分かってきます。

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英語の8品詞

 さっそく前の項の復習をします。英語の品詞は大きく分けて全部で8種類。

eight ball

 
  1. 名詞
  2. 代名詞
  3. 動詞
  4. 形容詞
  5. 副詞
  6. 前置詞
  7. 接続詞
  8. 間投詞

 でしたね。そしてこの8つを「3つのグループ」にして覚えてもらいました。

 (1)名詞、代名詞、動詞
 (2)形容詞、副詞
 (3)前置詞、接続詞、間投詞

 どうしてこういうふうに3つのグループにしたかといいますと、

 (1)主語と述語になるもの
 (2)修飾語になるもの
 (3)その他

 という意味になっています。英文には必ず「主語」と「述語」が含まれており、この2つはちゃんとした体裁の文章を作る上では最低限必要不可欠な要素なのです。そして「主語」になれる言葉として「名詞、または代名詞」があり、「述語」になれるのは「動詞」だけです。だからここまでをグループ(1)としたわけです。今はまだそういう細かいことまでわからなくても構いませんが、あとからの解説が理解しやすくなる準備として、どうか私が用意したグループごとに覚える方法に従っておいてください。

(注意)

 ところで学校では、「S+V」などの基本文型というものを習いますが、S を「主語」、V を「動詞」と覚えてしまっている人は要注意です!(そう普段から教えている教員の方もです。

 確かに S は「 Subject 」の頭文字で、この英単語は「主語」を意味します。しかし「 V 」と略されている部分を正しく言うと「 Predicate Verb 」すなわち「述語動詞」であり、この「 Predicate Verb 」の V を文の要素を表す記号として用いています。
 「文の要素」と「品詞」をちゃんとたてわけて理解しているのなら特に問題はないのですが、同じ「動詞」という言葉を S+V の V(文の要素)と「名詞、代名詞、形容詞、副詞、動詞、、、」という品詞の1つとで、共通して用いてしまうと概念の混乱をきたす恐れがあります。
事実、中学生や高校生で、この区別がついていない人を大勢見てきました。
 文の要素である V(Predicate Verb:述語動詞)を指すときは、ちゃんと「述語動詞」と正しく呼ぶか、あるいは「述語」と呼んで欲しいと思います。「動詞」という用語は、品詞の1つを意味する場合に限って使うのが不要な混乱を回避します。

 2つめのグループは「修飾語になれる言葉」です。
 修飾語とは、「他の言葉の意味をより詳しくする飾りつけ」のようなもので、ただ「りんご」というより「赤いリンゴ」と言った方が、自分が思い描いている物と少しでも近いものを相手にイメージしてもらえ、言いたいことがより正確に伝わります。ただ「走る」というより「速く走ると言った方が詳しくなります。ここでの「赤い」や「速く」は、それぞれ「リンゴ(名詞)」、「走る(動詞)」という言葉を修飾しているわけです。修飾する相手の言葉が何であるかによって名称が2つに分かれ、「名詞(または代名詞)を修飾する言葉」を「形容詞」、「名詞以外を修飾する言葉」を「副詞」と言います。だからこの2つをペアにして覚えておくのです。

 3つめは何も共通点はなく、「1と2のグループ以外」というだけの「その他」です。

 これら3つのグループを演劇にたとえれば、(1:主役と相手役)、(2:脇役)、(3:小道具やスタッフたち)という感じです。
 さて、今完全に覚え切れなくてもいいですから、「英語の品詞は全部で8種類」、具体的には「名詞、代名詞、動詞、/ 形容詞、副詞、/ 前置詞、接続詞、間投詞」 と何回か声に出して言ってみましょう。

8 hinshi

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品詞の上位分類と下位分類

 英語には8種類の品詞があります。あらゆる英単語を文章中の役割で大雑把に分類すると、8つの働きに分けることができ、それを「名詞、代名詞、動詞、形容詞、副詞、前置詞、接続詞、間投詞」というんでしたね。
 この8種類の分け方が「最上位分類」です。つまり「第1段階」の分け方ということです。ここから更に第2段階、第3段階と細かく分けていくことができますが、文法の専門家を目指すわけではありませんので、このサイトでは、英語が使えるようになるための基礎知識として必要な話だけに絞って進めてきます。

 これも今ここで覚える必要のないことですが、あらかじめ「英語の8品詞」をさらに細かくわけるとどうなるかの一例を示しておくことにします。暗記しなくていいですから、一通りの名称に目を通してください。どこかで見覚えのある名前もあるでしょうし、初めて聞く名前もあるかも知れません。この先学ぶことがらをメニュー的にながめておくことにしましょう。

名 詞 1、可算名詞 :「普通名詞」、「集合名詞」
2、不可算名詞:「物質名詞」、「抽象名詞」、「固有名詞」
代名詞 1、人称代名詞
2、指示代名詞
3、疑問代名詞
4、関係代名詞
5、不定代名詞
動 詞 1、本動詞:「他動詞」、「自動詞」
2、助動詞
形容詞 限定詞:「冠詞(定冠詞、不定冠詞)」、「指示形容詞」、「所有形容詞」
数量形容詞
疑問形容詞
関係形容詞
など
ここに「a,an/the」つまり冠詞が含まれます。すなわち冠詞とは形容詞の仲間なのです。
副 詞 場所・様態・時の副詞
頻度の副詞
強意の副詞

疑問副詞
関係副詞
など
前置詞 語としての前置詞
句としての前置詞
接続詞 等位接続詞
従属接続詞
相関接続詞
間投詞 語としての間投詞
句としての間投詞

 8品詞を中心に下位分類していくと、沢山聞き覚えのある言葉が出てきたと思います。最終的には「暗記」しなくていいですから、頭の中に整理ダンスを作り、様々な言葉の役割について理解し、辞書を引いて「品詞」を見れば、その単語の使い方が分かるようになることを目指します。(辞書に「品詞」が必ず書かれているのは、その名称が「単語の使い方」でもあるからなのです)

 今まで「冠詞( a,an/the )」を独立した品詞と思っていた人は、それらが「形容詞」の一部につけられた「下位分類名称」であることを認識しなければなりません。だから誰かが「 the は形容詞だ」と言ったとき「違うよ、それは定冠詞だよ」などと反論してはいけないのです。それは「横浜は日本にある」と言われて「違うよ、それは神奈川県だよ」と言い返すようなものです。(※ただし冠詞を含めて「限定詞」という別品詞を設け、全部で英語の品詞を「9種類」とする考え方もありますが、本サイトでは日本の学校教育で一般的に用いられている「8品詞分類」の考え方を採用することとします。)

 「疑問詞(what, which, who,など)」という言葉がありますが、それは「疑問代名詞、疑問形容詞、疑問副詞」をまとめた名前。

 「数詞」という名前がありますが、それは「名詞や形容詞の中で特に数を表す言葉」をまとめた便宜的な呼び名。

 このようにこのメニューにまだ名前のあがっていない「~詞」もありますが、それらは各項目の中で必要に応じて解説します。皆さんは、まず「8品詞」を覚え、それ以外の色々な「~詞」という言葉は、その8つの中のどこかにあるのだ、と理解しておいてください。

 文法はちっとも難しくありません。一見ごちゃごちゃに見えることがらを「すっきりと整理」するための手助けとして文法があり、段階を踏まえて学習していけば、誰にでも理解できることなのです。

 それでは次の項から、「英語の8品詞」それぞれについて、個別にもっと詳しく見ていきましょう。


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