文 法

 本章はサイト上では書きかけとなっています。
 完成した内容は、電子書籍・第3巻「文法」として頒布中です。サンプルページや詳細についてはこちらをご参照ください。

文法とは?

  まず最初に英文法とは何かを考えてみることにしましょう。  一見、いまさら定義する必要もないかに思える言葉ですが、人によってその捉え方には大きなばらつきがあり、「英文法とは何か?」という考え方の違いがそもそも語学の習得に対する致命的なまでのスタンス(構え)やアプローチ(取組み方)の差となっているように見受けられるのです。そして文法というものをどう捉えているかの基本姿勢が、語学学習全体について正しいアプローチができるかどうかを分ける重要なポイントとなっていると思われるのです。

What is grammar?

 「文法」という漢字2文字を見ると「文の法則」と読めます。そして意外に多くの人たちが、まるで英語には「人為的に定められた規則があり、その規則に応じて英語話者が文章を作り出している」かのように考えているようなのです。しかしそれは違うのです。英語にルールブックなどというものは、はなから存在しません。英語に限らずどの言語であっても、「まずルールありき」ではないのす。

 しかし1つの言語を共有する人々が互いに意思の疎通が図れているということは、「言葉の使い方に共通性がある」からに他なりません。1つの単語について人々が点々ばらばらの意味を感じていたら、これは会話1つさえ通じなくなってしまうでしょう。ですから同じ言語文化を共有する人々の間では、確かに言葉を使う上で共通の申し合わせのようなものがあり、互いにそれにしたがって言葉を使っているからこそ、コミュニケーションが成り立つのだと言えます。

 しかしそれでも言葉のルールは人為的なものではなく、誰から押し付けられたものでもありません。同じ文化を共有する人々が自由に言葉を発している中で、長い歴史を通じて、なかば自然発生的に「言葉づかいの傾向性」というものが生まれてきたというのが実際のところだと私は考えています。つまり言語は、その背景となる文化によって大きく規制させるところがあります。その文化の中で必要とされる語彙が生まれ、必要とされない語彙は消えていきます。季節変化のない国に暮らす人々に「春夏秋冬」という言葉は必要ありませんし、雪国に暮らす人にとっては、「雪」を表す表現は多くなります。インドなどでは宗教的に神聖なものとみなされる「牛」について「立っている牛、寝ている牛、妊娠している牛」などを個別に表す単語があるといい、牛関連の語彙だけで300に上るとか。日本なら乳牛や肉牛という言葉があった方が何かと便利でしょう。

different cultures

 このように言葉は文化を背景として構築されます。その文化の中で培われる「ものの考え方・感じ方」がその言語の構造や文法にも現れてくるのです。すなわち文化がまずあり、その文化の中における人の心理が言葉になって現れると言えます。ということは、言葉を通じて、それを使う人々の心理が観察されるということなのです。

 この章では英文法を解説しますが、決して「ルールの押し付け」を行いません。常に「なぜそういう文法事項があるのか」を考え続けていきたいと思います。そして英語学習者は、文法の学び方そのものを学んでいただきたいのです。私自身、文法学者ではありませんし、それを目指したこともありません。ですからこのサイトに現れる文法用語は、実用性のある英語技能を伸ばす上で必要不可欠と私なりに感じるものに絞ります。いたずらに文法用語を振り回し「わかったつもり」になることは避けたいのです。

terms

 文法用語というのは、「頭の中に知識の整理ダンスを作る」ために必要なものです。人間は言葉によって考えるため、ある種の用語は使いこなせたほうがなにかと話が早いし、理解も簡単になります。しかし、文法用語自体にこだわりすぎる必要もありません。用語は自分が分かりやすいように言葉を変えてしまっても別にかまいませんし、用語をつかわず噛み砕いた言い回しのままでも大いに結構です。

 ただし私なりに「是非、覚えておいて欲しい用語」として提供するものについては、それなりの根拠がありますので、できるだけ覚えてください。どうかご安心を。何も丸暗記する必要はありません。常に「覚え方、考え方」と絡めて用語を出しますので、記憶についての負担は最小限となるでしょう。

 私が中学で最初に英語を習った先生の口癖が「英文法は心理学だと思って勉強しなさい」というものでした。なんとも漠然としたこの表現の意味を理解するまでに何年もかかりましたが、このたった一言を英語学習の最初に与えられたことが、今思えば英語学習に正しいベクトルを与えられたのだと感じます。  その先生は次のようにも述べていました。  「どんな文法事項でも決して暗記しようとするな。そこには常に理由がある。その理由をさぐろうとしなさい。すぐにわからなくてもいい。でも、疑問を持ちつづけていれば、いつか納得できる日が来る。ルールに従って英語を使おうとするのではなく、自分の感性の中に英文法がしみつくようになることが大事だ。自分自身の中に英語ネイティブと同じ言語感性が徐々に築き上げられていけば、自分の思うがままに言葉を口にするだけで正しい英文となるのだ」と。

 世に市販されているあらゆる英文法学習書のいずれを見ても「ルールの羅列」だけがそこにあり、「それをどう理解し、活用すればいいのか」という肝心の点が書かれていないと感じます。だから学習者も教員も英語学習というものを根本的に理解できないのではないでしょうか。

 文法解説の情報量からいって、このサイトで提供できるものには限界があります。とてもすべてを網羅することは不可能であり、それは最初から狙っていません。しかしきわめて基本となる文法事項について、どの本にも書かれていない、そしてもっとも重要なことを書きたいと思います。言い換えればこのサイトの最大の主眼は「学び方を学ぶ」ことです。そして読者が「ああ、なるほど、英語ってそうやって勉強していけばいいのか」と気づいたら、あとは自由に身の回りを見渡して自分にあった教材へと移行してください。そうなったとき、このサイトはもはや不要となり、戻ってきて何かを確認する必要さえなくなるでしょう。それがもっとも私の望む結果なのです。

 ところで、もしあなたが、このサイトを初めて訪れた方で、もくじをざっと見て「文法」の章へ直行したとしたら、それは何か特定の文法事項について調べたいとか、目的あってのことなのでしょうが、どうか先を急がず、まずは第1章の「 英語学習全般」だけは先に通読しておいて頂きたいと思います。

communication

 このサイトは英語学習「全般」を扱うものですが、それは言い換えると「必ず英語の技能全般を高めていただく」ためのものだということでもあります。メニュー項目をざっと見渡し「発音?あ、いらない。テキトーにカタカナ読みでいいから。聞き取り?いらない。学校の試験で文法が弱いからそれをまず勉強したいから」という発想でいるとしたら、その姿勢自体から直さないと、文法も理解できません。このサイトで解説する文法とは、従来の解説書や英語学習サイトにある英文法解説とは違い、「技能習得」を最大の目的としています。

 ですから何よりも先に、このサイトが何なのか?を理解していただき、筆者と同じ価値観、文法学習に対する同じスタンスを持っていただく必要があります。

 理想的には、まったく順序を追って、「 HOME 」から各メニュー項目を通読していただきたいのですが、最低限、「英語学習全般」で適切な学習姿勢をまず持っていただき、「発音」で発音記号をしっかり習得し、英語という言語の実体が「音声」であることに立ち返り、「読む、書く、話す、聞き取る」の総合的技能の向上の意義を十分に理解してから、いよいよ具体的な文法を扱うこの章へと進んでいただくことです。どうしても、この文法の章から手をつけたい方は、合間の時間でも構いませんので、くれぐれも「ここに至る過程」である前の章にも目を通しておいて欲しいと思います。

 一応、前の章をまったく読んでいない方のためにも、すでに述べたことをときに繰り返すつもりですが、順序良くここまで進んでこられた方は「また同じことを言ってる」と思わず、それだけ大切なことだから常に確認するのだと理解していただきたいと思います。

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文の種類

 「文」とは何か?については実に様々な定義がありますが、あまり言語学の専門的な話や哲学的なことをここで述べても仕方ありませんので、「文とは、話し手の考えを相手に伝える言葉のまとまりである」という程度に留めることにしましょう。

 「Fire!(火事だ!)」というたった1語でもこれは文と呼べますが、学習上重要となるのは、主語とか述語とかそういう要素がどう組み合わされて英文を構成するかというような内容となります。

 ところで「文」にはどのような種類があるのでしょうか?  これは今から学ぼうとする内容全般を先に見通す地図となる理解ですので、学んでおいた方がいいでしょう。「学ぶ」というのは、見ず知らずの土地にひとり飛び込むようなものであり、「自分がどこにいて、これからどこへ行こうとしているのか」を客観的に把握していることで学習の効率がよくなります。知識を身につけようとするときも、ただやみくもに目の前の情報を覚えればよいのではなく、常に頭の中に整理ダンスを作り、知識と知識の縦横の関係を理解しながら前に進むことが大切です。特に文法については、それが極めて重要なのです。

 ではまずあなたが思い浮かぶ「文の種類」を言えるだけ言ってみてください。文には何種類ありますか?

 ありとあらゆる英文を分類するとき、何に着目して分けるかによって、考え方は変わってきます。

(機能による分類)---何のために使われる文章かで分類した場合

  1. 平叙文---もっとも普通にものを述べる文章
  2. 疑問文---相手にものを尋ねる文章
  3. 感嘆文---驚きなどを表す文章
  4. 命令文---相手に動作の要求などをする文章

 このそれぞれに「肯定文」と「否定文」があります。つまり「肯定平叙文、否定平叙文」などと組み合わせた名称となるわけです。

  平叙文 疑問文 感嘆文 命令文
肯 定 肯定平叙文 肯定疑問文 肯定感嘆文 肯定命令文
否 定 否定平叙文 否定疑問文 *用途がない 否定命令文

1、肯定平叙文---「~が、、だ」や「~が、、する」などの文。
I go to school by bicycle.

2、否定平叙文---「~は、、ない、しない」などの否定の意味。
She doesn't know how to swim.

3、肯定疑問文---「~しますか?」、「~ですか?」と尋ねる文。
Do you understand what I said?

4、否定疑問文---「~しませんか?」、「~ではありませんか?」と否定で尋ねる文。
Don't you know who he is?

5、肯定命令文---「~しろ、しなさい、してください」
Come here.

6、否定命令文---「~するな、しないでください」という禁止の命令
Don't leave the door open.

7、肯定感嘆文---「なんと~だろう!、なんという~なのだ!」という驚きの表現。
 感嘆文だけはすべて肯定で、否定がありません。これは「否定感嘆文(なんと、、、でないことだろう)」という言い方自体が不自然であり使い道が存在しないからです。
How fast he runs!

What a fast runner he is!

 このように論理的には存在してもいい(でも実際には使われない)否定感嘆文までかぞえれば8種類。現実としては7種類の文があることになります。「それぞれに肯定と否定があり」と例外こみで覚えておき、全体は最初にあげた4つと理解するのが実践的でしょう。

 あとから学ぶ内容ですが、上記のように「意味、機能によって分類」する方法以外に、「構造によって分類」することもできますし、他の着眼点による分類もありますが、まずは「平叙、疑問、感嘆、命令」の4種類あると、この段階では知っておきましょう。

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文法の章の構成

 数百項目に渡る膨大な数の文法事項を体系的に整理するため、文法の章は階層構造になっています。全項目を一覧するには「サイトマップ」をご覧ください。

 すべての項目をサイドバーに目次表示すると大変長くなってしまうため、サイドバーには階層の上位名称を表示し、なんらかの上位名称を選んだとき、そのページの中でさらに下の階層メニューが現れるようにしています。サイドバーの中で現在自分がいる項目は黄色でハイライトされます。

最上位の階層: 文法の章の最も上の階層は、次の節に分かれています.

★文法とは
★品詞
★構文

下位の階層:そしてその各章の中にさらに下の階層が続きます。その一部を示すと例えば次のようになっています。

★文法とは
 ・文の種類
★品詞
 ・名詞
  ├名詞の種類
  ├名詞の複数形
  └名詞の格
 ・代名詞
  └代名詞の種類
 ・動詞
  ├動詞の種類
  ├時制
  │ ├現在時制
  │ └過去時制
  ├態
  │ ├能動態
  │ └受動態
  └法
    ├直説法
    ├命令法
    ├仮定法
    ├条件法
    └接続法
 ・形容詞
  ├冠詞
  │ ├不定冠詞
  │ └定数詞
  ├指示形容詞
  ├所有形容詞
  ├所有形容詞
  ├不定形容詞
  ├所有形容詞
  ├関係形容詞
  ├形容詞の用法
  └数詞
 ・副詞
 ・前置詞
 ・接続詞
 ・間投詞
★構文
 ・基本文型
 ・準動詞
 ・比較
 ・話法

 このように英文法の体系が項目配列そのものに反映されています。文法理解が進めば進むほど、このサイトの構成が論理的であることを納得していただけることでしょう。

 それはすなわち、本サイトを通じて一通りの文法事項を整理された方は、改めて何らかの事柄について復習しようとするとき、秩序だった項目配列によって速やかにアクセスできることであり、学習者自らの脳に知識体系の整理ダンスが構築されるということでもあります。

 膨大な情報量を一覧表示しようとするとどうしても無理が生じます。そこで本サイトには「サイト内検索」機能を実装しました。どのページにいても、画面右上に「サイト内検索」の入力欄があり、調べたい用語などを入力することで、このサイトのどこにその情報が含まれているかを一覧表示させることができます。


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