普通名詞
2つある可算名詞のうちの1つ。名詞と聞いて一番普通に思い浮かぶ、身の回りにある品物の一般名称です。特徴としては次のようなことが言えます:
- その名前で呼ばれるもの(人や生き物もすべて含めて)が、この世に少なくとも2つ以上は存在する。(多くは無数にある)
- 可算名詞ですから、1、2、3、、と数えられる。2つ以上になると「複数形」という形を取る。
- 決まった形と限界があり、それがくずれるともうその名前で呼ぶことができなくなる。(くだけたペンのかけらの例)
- 単数形のとき原則として「名詞単独」で用いられることがなく、必ず「限定詞(冠詞「 a,an/the 」や my, your など)」を伴う。
1から3については、すでに述べたことと重なりますが、ここでも解説しておきたいと思います。
1、「普通名詞」を英語でいうと「 common noun」です。common とは「よくある、ありふれた、共通の、一般に知れ渡った」などを意味する語ですが、文法的には「この世に最低2つ以上(多くは無数に)存在するという条件が当てはまることを指します。これが普通名詞である第1の条件です。
2、「数えられる名詞(可算名詞)」であるというのも重要な条件です。これは1番の条件と関連しますが、「この世に2つ以上」存在するからこそ、数える必要も出てくるのです。1つしか存在しないのであれば、「2つ以上であることを意味する語形(複数形)」を持つ理由がありません。
3、「常識的形状」と「限界」を持っていること。その名前を聞くと誰もが常識的にイメージできる形があって、「ここからここまで」という単位としての始まりと終わりがあります。その形がくずれると同じ名前では呼べなくなります。また「ここからここまでで1つ」という「限界」を持つことが「単位」となり、単数を認識させます。その単位が繰り返されると「複数」として認識されます。
4はちょっと問題です。また日本人が持ち合わせていない「新しい感覚」が使われています。実際、これまでどれほど「 a,an/the の使い分けがよく分からない」という悩みの声を聞いてきたかわかりません。私としても早くそれを解決してさしあげたいのですが、物事には順序があります。もうちょっと辛抱してくださいね。必ずあとから深く納得できるようにしますから。(すでに簡単に学んだとおり「冠詞」は「形容詞」に属しますので、その項目で説明することとなります。
この解説は中学生で一応英語を多少なりとも学んだことのある方なら理解できるように進め、軽く説明したことをあとになってまた、より深い解説を加えるようにします。
さて、次の「普通名詞」として使われる単語の例を見て、上記1~4の条件があてはまっていることを確認してください。
簡単に理解できる例:
book, mother, child, baby, school, car, bus, dog, cat など
※ mother は「子供のいる女性」という意味なら、この世に大勢いるわけですから「普通名詞」です。しかし、自分にとっての母親は1人しかおらず、そういう肉親や身内で「自分にとって1人しかいない」という場合、あとに述べる「固有名詞」と感じられるため「Mother, Father, Son, Daughter, Baby, Teacher, など」を常に大文字で書き始め、冠詞(a/an, the)さえつけずに用いることがあります。これは「名前」の変わりに肩書きを用いているようなもので、「普通名詞が固有名詞に『転用』された」と解釈されます。
※dog, cat などは「決まった形と限界」を持つ場合、つまり1匹の動物としてなら普通名詞であり、a dog, the dog, dogs のいずれかの形を取り、冠詞・限定詞なしの「dog」だけで用いられません。しかし、「犬の肉」という物質になってしまうと「決まった形」もなく、「ここからここまでで1つ」という限界・単位もなくなります。ですから「I like dogs.」は「私は一般に犬と呼ばれている動物が全般的に好き(=「私は犬が好き」)」を意味しますが、「I like dog.」といってしまうと文法的には「私は犬肉が好き」の意味になってしまいます。
基本的な使い方の例文:
There are some books on the desk.
(机の上に数冊の本がある。)
Many mothers and fathers are sitting in the room.
(大勢の父母が部屋の中に座っている。)
I have one cat and two dogs.
(私は猫を1匹と犬を2匹飼っている。)
ちょっと理解が難しいかも知れない例:
earth (地球)、moon(月)、sun(太陽)>常識的には1つしかないけど普通名詞。
The moon travels around the earth.
(月は地球の周りを回っている。)
The sun is shining through the window.
(窓から陽がさしこんでいる。)
※ earth, moon, sun は、それぞれ1つしかないので、普通名詞の1番目の条件である「その名前で呼ばれるものがこの世に沢山ある」という条件に合っていませんね。しかし、それについてはこう考えてください。「宇宙は無限に広いため、地球や月や太陽が、どこかにまだあるかも知れない」----まだあるのかないのかわからないから、「あるかも知れない」可能性のため、普通名詞にしておく、ということです。実際、地球以外の惑星で「月がいくつかある」とされるものもあり、これは「地球にとっての月にあたる星」という意味なので、確かに普通名詞ですね。
There are some planets which have some moons with them.
(複数の月を持つ惑星もこの世には存在する。)
だから太陽が普通名詞であるのも「太陽系の中心で光り輝いているのが我々の太陽だが、ほかの宇宙では、また別の太陽が中心になっているかも知れない」という考えからだと言えます。
天体を表す単語は使われ方が何通りかあり、「the sun, the Sun, Sun」のいずれも見かけます。「the sun」は純粋に普通名詞として扱っており、「Sun」は固有名詞扱いをしています。そして「the Sun」はその両方の性質を同時にこめたような使い方といえます。(品詞や用法の分類は常に「類型、典型」ですから、現実にはうまくどれかにすっきり収まらなかったり、複数の品詞・用法に渡っているような例を見かけることがあります。すべてを「人工的なルール」にねじこもうとしないようにしましょう。)
こうして現実の例を見ていくと、最初の理解の範囲内にうまくおさまらない例も出てきますが、それでもどこか「基本通り」のイメージがあり、その延長の中で「普通名詞」として把握されているわけです。
普通名詞には単数形と複数形があり、形が違ってきますが、誰でも知っているのは、「 pen → pens 」や「 peach → peaches 」のように単数形の語尾に -s/-es をつけるということでしょう。そのほかに「 child → children 」や「 ox → oxen」のように単語の形自体が変わってしまうものや、「 fish → fish 」のように「単複同形」と呼ばれる「複数形になっても同じ形のまま」のものがありますが、「複数形の作り方」についての詳細は、名詞を一通り説明したあとにまわすこととしましょう。(まずは全体像をざっとつかんで、さらに細かいことを理解するようにしましょう)
今回は、可算名詞の複数形の練習です。極めて基本的だと思うかも知れませんが、「知識として知っている」のと「感覚として無意識のうちにでも正しい形が口をつく」のとは大きな違いがあります。さらに多くの名詞が -(e)s をつけて複数形を作る中で、fish が「単複同形」であり、複数形にしても同じ形を使うという点も感覚になるまで練習しましょう。
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