名 詞
「名詞( noun )」とは、語源的に「名前」という意味です。漢字を見ればまさにそのまま「名前を表す詞(ことば)」ですね。
人と人とがコミュニケーションしようとするとき、身の回りのあらゆるものに名前をつけ、その名前があるからお互いが何をさしているかがわかります。名詞の中には、姿かたちがはっきりあり、目に見えて、手で触れられるものにつけた名前もありますし、言葉としては名前があっても、現実には姿形を持たない「概念」につけられた名称もあります。(例:愛、親切、苦痛など)
「名詞とは何か?」を理解するのは簡単です。誰でも沢山、名詞の例を言えることでしょう。
pen, desk, table, chair, dog, cat, animal, man, woman, boy, girl, beauty, love, kindness, life, death, family, water, Ben, Tom, などなど
これらの名詞は例によって、さらに細かいグループに分かれることになりますが、今はどういう言葉をまとめて「名詞」というかだけ確認することにしましょう。
可算名詞と不可算名詞
英語の名詞を考える上で非常に重要なポイントは「数えられる名詞(可算名詞/ Countable )」と「数えられない名詞(不可算名詞/ Uncountable )」の区別です。数えられる名詞には「単数形( singular form )」と「複数形( plural form )」があり、1つなのか、2つ以上なのかを言葉の上で常に明確にするというのが英語の習慣です。
これは英語特有の言語習慣の1つであり、日本人が普段の生活の中で別に気にしない区別を英語では注意しないと正しく名詞を使えないということにもなってきます。
「可算名詞」とは、1つ、2つ、3つ、、と数えることのできるタイプの名詞で、英語では1つだけの場合と、2つ以上のときとでは単語の形まで変えて区別する習慣があります。だから英語が話せることを目指すためには、日ごろから名詞の単複を気にかけるように心がけなければならないということです。今まで「犬」と言えば済んだところを英語で話すときは、「a dog」なのか「two dogs」なのかを反射的・無意識に正しい形で言えるように訓練しなければならないわけです。
「不可算名詞」とは、数でかぞえることのできないタイプの名詞。こちらは「量」で捉えます。たとえば「water(水)」は容器に入った状態でなければ、数えられず、それを数えているときは、水そのものを数えているのではなく「容器の数」を数えています。「容器(たとえば cup とか glass )」は可算名詞ですが、水自体は不可算名詞ということです。
a cup of cofee
two glasses of water
他に不可算名詞としてざっとあげてみると
air(空気)、beauty(美)、kindness(親切)、bread(パン)、chalk(チョーク)
などがります。ここで「あれ?」と思った人、いませんか?
日本語的な感覚から言えば「パン」や「チョーク」は、1個、2個、、1本、2本と数えられそうなものですよね?でも、それは日本語の発想であり、英語ではこれらも数えられない部類に入るのです。ということは、日本人が「パン」というときと英語話者が「 bread 」と言うときとでは、思い浮かべるイメージも実はちょっと違っているということでもあります。ですからこういうちょっとした文法を学ぶときでも、「新しい言語文化」を自分の感覚の中に構築していくことから始めるのです。
いいですか?この考え方はとても重要ですよ。新しい知識を覚えるのではなく、新しい感覚を身につけようとすることが大事なのです。今までとは違ったものの見方をする(=新しいものの見方もできる)というのが、外国語を学ぶときに非常に重要な姿勢です。どう違うのかを最初は言葉や理屈で学びますが、そうして感覚が得られたら、もう文法という理屈は忘れていいんです。文法は暗記するためのものではなく、感覚の鍛え方を教える指針です。いくら文法事項を暗記しても、感覚そのものが身につかなければ英語は話せるようになりません。
さて、英語で「 bread (パン)」は数えられないといいました。なぜでしょう?
まず自由に1つのパンを思い描いてください。食パンでもコッペパンでもどうぞご自由に。それを2つにちぎってください。
ちぎられたそれぞれの「破片」は、あいかわらずパンと呼ぶことができますね?もっとこまかくちぎってください。指でやっとつまめるほどの小さな破片になっても、やっぱりパンです。
「1本のチョーク」と聞けば、黒板に字を書くあのチョークを思い浮かべますが、新品なら10センチ程度の長さですか。それをポキッと半分に折って2つにします。その2つのどちらもチョークですね。粉々に砕いても、つまみあげたかけらがやっぱりチョークです。
一方、万年筆( pen )はどうでしょう?ボッキリと折ってしまったら、どちらか片方だけを指して万年筆と呼べますか?いいえ、それはもう万年筆ではなくなってしまいます。折らずに分解したとしましょう。キャップ、軸、芯、ペン先などの部品に分かれていきますが、それらの部品の1つを取り上げて「これは万年筆です」とは言えません。
これが「 可算名詞」と「不可算名詞」の感覚的な区別です。可算名詞とは、「ある決まった姿形」のイメージがあり、その形がくずれてしまうと、もう同じ名前で呼べなくなるのです。決まった形のまま、それが複数あれば、1つ、2つと数えられます。
数えられる名詞をちょっと難しい表現で定義するとしますと:
「常識的形状と限界を持つものにつけられた名称」
となります。「常識的形状」というのは、ある名前を耳にしたとき「ああ、あれのことね」と思える姿があり、一般的に同じ形として認識されているものです。「犬」には「犬の姿」がありますが、「水」と聞いても人によって「グラスに入った水」、「水道の蛇口からしたたる水滴」、「川を流れる水」など決まった形を持っていません。そして「限界」というのは「ここからここまで」で1つという単位としての区切りがあるということです。そういう区切られる単位があるからこそ、ここからここまでで1つ、さらにここからここまでで2つ、というふうに「数える」ということができるわけです。それが「空気」だと「1つ」と感じられる「ここから/ここまで」がないので数えられません。
パンやチョークのように日本人的感覚からは一見数えられるように思える名詞でも、このような「常識的形状と限界」をあてはめてみると、日本人がイメージする「パン、チョーク」と英語話者の感覚におけるそれらとは微妙に違っていると気づきます。つまり、英語話者は、「パン、チョーク」を「物質・素材」として捉えているため、「常識的形状」や「原形」を感じられず、従って数える気持ちになれないわけです。
中学生など初級者にこの「可算名詞」と「不可算名詞」の感覚的区別を理解させるには、抽象的な言葉による説明よりも、具体例を通して「あ、なるほど」という気持ちにさせてあげる必要があります。
セサミストリートという子供向け番組の中で、大人が子供たちにこの区別を伝えているシーンがありました。
最初、皿の上にりんごがいくつか乗っていて「How many?」とたずねます。一目見て、その数がわかった子供たちは元気よく「Three!」と答えます。
次に別の容器に入った卵を見せて数を聞くと、ちょっと数える間があって「Ten!」などと子供たちは答えてきます。次は器に入ったビー玉です。これは正確な数はわからないまでも「Thirty!」とか大雑把な数で答えてきたり、「Many!」という返事をしたりします。
こうして徐々に「りんご>たまご>ビー玉」と粒が小さくなってきたところで、「ビンに入った砂糖」を見せて「How many?」とたずねます。「徐々に小さくなった粒」という流れから、砂糖の粒子の数を尋ねられていると子供たちは理解しますが、数を尋ねられても「Impossible!(とても数えられない!)」と返事するしかありません。
これです。このように「数えるべき対象」と判断されなくなるのはどういう違いかが、「徐々に小さくなる粒」の例を通じて感覚として理解され、「数」で捉えるのが自然か、それとも「量」として認識すべき対象かを知るのです。
授業などでも、文法用語や難しい定義よりも、このセサミストリートのワンシーンのように、小学生でも理解できる感覚を実演を通じて伝えてあげてほしいと思います。
さて、名詞全体を「可算名詞」と「不可算名詞」の2つにわけましたが、もっと細かく分類されていきます。
可算名詞 Countable Noun (Count Noun) |
1、普通名詞 Common Nouns 2、集合名詞 Collective Nouns |
不可算名詞 Uncountable Noun (Non-Count Noun) |
3、物質名詞 Material Nouns 4、抽象名詞 Abstruct Nouns 5、固有名詞 Proper Nouns |
つまり名詞全体は「最初に2つ」、「それから5つ」に分けられるということです。どういう理由でこんなふうに細かく分けなければならないかを次の項から丁寧に説明していきます。
文法の章でのビデオ
文法の章でも単元の内容に沿った動画を随時学習していただきます。 学習する文法事項の参考となるようなビデオを見つけたときは後から追加されることがあります。そのような場合は、新着情報でお知らせしますので、新たなビデオが追加されたときは、その文法事項を復習した上でご覧ください。
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