(4)物質名詞の数量的把握

 これまで名詞というものの全体像を見てきました。これまでに学んだことを簡単に整理してみましょう。

  1. 名詞には「可算名詞( Count Noun )」と「不可算名詞( Non-count Noun )」がある。
  2. 名詞全体を5種類に分けると「普通名詞、集合名詞」(可算名詞)、「物質名詞、抽象名詞、固有名詞」(不可算名詞)
  3. 可算名詞の複数形については、「規則変化」によるものと「不規則変化」がある。

※「固有名詞」を「不可算名詞」に入れていますが、これは便宜的なものです。固有名詞というのは「数えられる」とか「数えられない」とかで分類する対象外というのが本来のところなんです。可算名詞は「数」で把握され、不可算名詞は「量」で把握されますが、固有名詞は「数でも量でも把握する対象ではない」という特殊性があります。固有名詞が普通名詞に転用されれば、可算名詞扱いで複数形もあることはすでに理解しましたね。

 「可算名詞」はその名の通り「数えられる名詞」ですが、「不可算名詞」に属す「物質名詞」が数えられないとすると「パン1個」が表現できないことになってしまい、ちょっと困りますね。ここでは、そういう物質名詞を数量的にどう表現するかについて見ていきたいと思います。

 日本語では「多くの、沢山の」という言葉は英語の可算名詞とも不可算名詞とも結びついて用いられますが、英語では次のような使い分けがあります。

1、可算名詞を修飾するもの(数を表す言葉):

one, two, three, .. などの数詞
many, few, a couple of など
a number of など
・不定冠詞「 a/an 」は「 one 」の意味を持つので可算名詞にしかつきません。

2、不可算名詞を修飾するもの(量を表す言葉):

much, (a) little など

3、どちらも修飾できるもの:

some/any は、可算名詞、不可算名詞のいずれとも結びついて用いられますが、表す意味が異なります。
 可算名詞に対しては「いくつか(の)」、「どれ(1つ)でも」、不可算名詞に対しては「いくらか(の)」、「どの種類でも」。
a lot of/lots of も「 many, much 」両方の意味に用いられます。
・定冠詞「 the

 「たくさん」や「ちょっと」という漠然とした表現でなく、もっと具体的に物質名詞の量を表現するにはどうすればよいでしょう。それには次のような方法を用います。

(1)物質名詞を「数」ではなく「量」として把握する方法。
(2)物質名詞を単位や容器、特定の形状などの「可算名詞」である「助数詞」と連結し、その助数詞を数える方法。
(3)物質名詞そのものを普通名詞に「転用」して数えたり、複数として用いる方法。
(4)同じ名詞が意味の違いにより、物質名詞としても普通名詞としても用いられることもある。

Material Noun

 このうち(1)はすでにのべた「 much/little 」などによる表現です。(2)から先についての具体例を見ていきましょう。
 物質名詞には「決まった形状」や「限界」がないので、1個、2個、、と数えることはできません。その代わり、漠然と「少量」や「多量」という表現はできます。
 また「助数詞 of 物質名詞」という形式にすることで可算名詞である助数詞を数えて表現することもできます。これは物質名詞を数えられる単位や形状などに変換するものといえます。

piece :「piece」は「かけら」、「一片」の意味を基本とする普通名詞ですが、非常に多くの物質名詞や集合名詞とともに用いられます。固定的な和訳は禁物。

a piece of paper(1枚、1切れの紙)
a piece of bread(1ちぎりのパン、1個のパン)
a piece of wood(1片の木材)
a piece of furniture(家具1点)
a piece of information(1つの情報)
a piece of news(1つのニュース)
a piece of advice(1つのアドバイス)

two pieces of paper, many pieces of paper などと「piece」を数えたりすることで「数」として把握できます。

 その他様々な助数詞の例を見てみましょう:

a cake of soap (「cake」は「ひとかたまり」の意味)
a slice of bread / two slices of bread
a loaf of bread / two loaves of bread
a bar of chocolate / two bars of chocolate
a lump of sugar / two lumps of sugar
a spoonful of sugar / two spoonfuls of sugar
a cup of coffee / two cups of coffee
a glass of milk / two glasses of milk
a bottle of beer / two bottles of beer
a foot of wire / two feet of wire
a pound of meat / two pounds of meat

 上記の例にあるように「coffee, milk, beer」などは「water」と同じく液体という物質名詞ですが、場面としてたとえば喫茶店やレストランの中でそれらを注文するような場合は「カップやグラス、ビンなど」に入った形状が最初から常識的にイメージされるため、普通名詞に転用して用いることができます。(もちろん、そのような場面でも上記のように表現してまったく問題はありません。)

Two coffees, please.
One beer, please.

 また同じ名詞がちょっとした意味の違いにより物質名詞として扱われたり、普通名詞になったりもします。

hair:「頭髪」全体を意味するときは物質名詞。「髪の毛1本」を意味するときは普通名詞。
tear:「涙」は液体なので本来物質名詞。「1滴の涙( a drop of tear )」の意味として「 a tear 」と言え、複数として「 tears 」もあります。
dew:「露」という単語も「tear」と同様に扱われます。

 日本人の感覚からすると可算名詞に思える「 news, furniture, advice 」などが英語では不可算名詞だったりと、発想にずれのあることも多いので、慣れないうちは(慣れてきても少しでも不安があれば)こまめに辞書で確認することが望まれます。1つの単純な法則性で可算名詞と不可算名詞をたてわけることはほとんど不可能です。




シンプルな自家製ケチャップ


 沢山の物質名詞が登場し、単位となる名詞も色々出てくる話題といえば料理です。
 このビデオでは小さな女の子がケチャップを手作りする方法を解説します。

 今回の単元と関連して次の物質名詞と、物質名詞の数量把握が含まれています。さあ、小さな女の子に負けないように、しっかり物質名詞の練習をしましょう。


ketchupケチャップ
sauceソース
syrupシロップ
vinegar
 
one container of1缶の;1容器分の
a little bit of少量の
three tablespoons of小さじ3杯の




  1. Hello! Today I'm going to show you how I make my homemade ketchup...
    こんにちは!今日は私の自家製ケチャップの作り方をお見せします...

  2. ...with one container of tomato sauce...
    ...トマトソース一缶と...

  3. ...and a little bit of syrup and a little bit of apple cider vinegar.
    ...少しのシロップと、少しのリンゴ酢を使います。

  4. And then three tablespoons of maple syrup.
    ここに大さじ3杯のメープルシロップ。

  5. And one apple cider vinegar.
    それにりんご酢1杯。

  6. Then we stir it. And now we're testing.
    そして混ぜます。そして味見中。


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