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315. 直喩表現

 「as ~ as ....」の形式は「...と同じくらい~」の意味を表すものですから、現実の描写として用いるだけでなく、「言葉の例え」つまり「比喩」として用いられることも頻繁にあり、そこから多くの固定的な慣用表現も生まれています。

as soon as possible できるだけ早く

 これは別に比喩表現ではなく、単なる慣用句の1つですが、後の as のあとに時制表現を含まない possible だけを置くことで「I can/could 」などの使い分けに神経を使う必要がなくなり大変便利です。「as soon as possible」の単語の頭文字をとって「ASAP」という略語で表現されることもよくあります。

Please reply me ASAP.
できるだけ早く返事をください。

 ASAPは本来手紙などの書かれた文章だけで現れるものだったのですが、最近は会話、つまり口頭表現でさえ「ASAP/asap」とそのまま発音して用いられることも増えています。

 論理的な意味で「~と同じ(くらい)」から延長され、「まるで~のように」という意味になれば比喩となります。

 特に例える対象を具体的に言葉に出して「~のようだ」や「~のように、、、」という言い回しをすることを「直喩(Simile)」といいます。それに対して「like」や「as」を使わない比喩を暗喩(Metaphor)といいます。

 何に喩えるかはその文化の中で習慣的に定着した対象がありますので、自分勝手に比喩の対象を決めてもうまく通じないことがあります。

 例えば日本語では「泥のように眠る」という「疲れて深い眠りについている様子」を表す言い方がありますが、英語ではこれを「sleep like a log(丸太のように眠る)」と言い回します。日本語からの直訳で「sleep like mud」と言っても多くの場合は理解されないか、「sleep like a logのいい間違い」だと指摘されてしまうことでしょう。

like を使った直喩の例

run like a cheatah チーターのように走る=俊足の描写
fight like a lion ライオンのように戦う=勇猛さの描写

 この「A is like B」のような言い方は「どういう点で似ているのか?」が謎かけのように相手の興味を引き、さらに細かい解説に引き込むという流れになることがよくあります。その意味では決まった比喩にこだわらず自分なりの「似ているポイント」を踏まえて使い、相手がそれに意味不明だと感じてから、なぜ似ているのかを具体的に説明するというのも面白い会話の流れです。事実そういう流れを活用した名言もあります。

"Life is like an onion: You peel it off one layer at a time, and sometimes you weep."(Carl Sandburg)
「人生は玉ねぎのようなものだ。一皮ずつそれを剥いていき、時には泣かされることがある」

"Good coffee is like friendship: rich and warm and strong."(パン・アメリカ・コーヒー局のスローガン)
「コーヒーは友情のようなものだ。心を豊かで暖かく、強くしてくれる」
richはコーヒーの「香りが豊か」の意味を兼ねており、warmはホットコーヒーで体が温まる意味、strong はコーヒーの濃さ、苦さの意味を兼ねています。

as ~ as ....」の形式による直喩では前の副詞 as が省かれて単に「~ as ...」とだけ表現されることも多くあります。

 英語直喩の面白さとして、「掛詞(かけことば)」の意味になってるものが多いということがあります。以下の例の中にも含めてありますが、「as cool as a cucumber」は「輪切りにした胡瓜で女性が顔パックするときのひんやりとした感触」を引き合いにして、人の態度が「クール」である比喩に使われますし、「as cross as two sticks」では、「2本の棒が交差している」という形の描写における「cross(交差している形、十文字)」と「機嫌が悪い」という意味の同音異義語の「cross」をかけています。これなど直訳は不能です。「2本の棒みたいに機嫌が悪い」では意味が通じませんからね。

 また日本語文化とは異なる、英語文化独自の背景を踏まえた表現も多くあるため、日本人には何をどういう根拠で喩えているのか直感的にわかりにくいものもあります。

 またこれらの直喩表現の多くは「あまりに使い古された表現」と感じられるものであるため、会話などの中で自ら積極的に使うのはむしろあまりお勧めできません。ただ知識としてこういう言い方があると知ってることは読解などに関しては大いに役立つと思われます。

 決まり文句として長く使われる言い回しにはしばしば「」が含まれます。つまりフレーズの中で似たような音を含む言葉が現れて「口にしたときの調子」がよいという心地よさを含んでいることが多いという点にも着目してください。(古い表現には「頭韻」といって単語の頭の発音が同じ音で(故意に)そろえてあるものがよくあります。下記例の最初のいくつかについては頭韻を含むものを指摘しておきます。その他指摘のない表現でもそういう韻を含むものがありますのでご自身で観察してください。)



直喩表現の例

1, as alike as two peas in a pod

同じさやの中の2つのえんどう豆のよう
=実によく似ている、そっくりだ
 日本語なら「瓜2つ」という言い方がありますが、瓜以上に「同じ鞘に入ってるえんどう豆」は確かにどれも同じ形で見分けがつきませんね。
 ちなみに「peas, pod」の2語が頭韻を踏んでいます。

2, as big as a bus/elephant

バス/象のように大きい
=非常に大きい
 「big, bus」の組み合わせでは「b」音で頭韻ですね。

3, as black as coal

石炭のように黒い
=真っ黒である
 「真っ黒」である喩えには coal(石炭)のほか「pitch(コールタール)」なども決まり文句としてよく目にします。

4, as blind as a bat/mole

コウモリ/モグラのように目が見えない
=全く目が見えない
 真っ暗な中で前が見えない様子などを誇張した比喩。
 「blind, bat」 が頭韻。

5, as bold as brass

=非常にずうずうしい、厚かましい
 この「brass」は金属素材としては真鍮のことですが、そこから転じて「面の皮の厚さ」の意味です。日本語でも「鉄面皮」という言葉があり、人の批判などを物ともしない面の皮の厚さを意味しますが、その発想に近いと言えるでしょう。
bold, brass」が頭韻。

6, as brave as a lione

ライオンのように勇敢
=非常に勇敢である

7, as busy as a bee/beaver

蜜蜂/ビーバーのように忙しい
=非常に忙しい、あわただしい
busy」と「bee/beaver」が頭韻。

8, as busy as a cat on a hot tin roof

熱いトタン屋根の上の猫のようにあわただしい
=非常に忙しい、あわただしい
 熱くてじっと立っていられないトタン(ブリキ)の屋根の上で猫があわただしく駆け回ることから、忙しく動き回る様子の比喩に使われます。

9, as clear as a bell

教会の鐘の音のようにはっきりしている
=明白である
 教会の鐘は大きな音で遠くからでもはっきり聞こえ、他の物音に紛れることもありません。そこから話の趣旨などが「極めて明快である。明白である」の意味の比喩となります。

10, as clear as crystal

水晶のようにクリアである
=非常に透明感がある。とても明快で分かりやすい。
 実際の「色(透明度)」の意味にも使えますが、人の説明が分かりやすいことの例えにもなります。

11, as clear as mud

泥の程度にクリアである
=ちっともクリアでない。まるで分かりにくい。
(人の説明について批判、皮肉として用いる)

12, as cold as ice

氷のように冷たい
=実際の温度が非常に低い。態度が冷たい。

13, as cool as a cucumber

胡瓜のようにクールである
=感触がひんやりしている。態度がクールである。

14, as cross as two sticks

2本の棒のように「クロス」している
=非常に機嫌が悪い
cross」の同音異義語「機嫌が悪い」との掛詞

15, as cunning as a fox

キツネのようにずるい
=非常にずるい、狡猾である

16, as dead as a doornail

ドア釘のように死んでいる
=完全に死んでいる
 doornailとは古いドアに使われていた「びょう釘」のことで、ドアをしっかり固定するため打ち込まれたもの。つまり「完全に固定されて全く動かない」ものの例えとして使われた。そこから「dead(死んでいる)」ことの強調(完全に死んだ)としてこの比喩があります。
 「dead, doornail」 が頭韻。

17, as dead as a dodo

ドードー鳥のように死んでいる
=完全に死んでいる、絶滅している
 「ドードー鳥」は絶滅した種。絶命してすでにこの世に存在しないことから、こちらも「完全に死んでいる」ことや「もうこの世に存在しない」比喩となります。
 「dead, dodo」 が頭韻。

18, as deaf as a post

ポストのように耳が聞こえない
=まるで聞く耳を持たない

19, as different as chalk from cheese

チョークとチーズの差ほどに違う
=まるで違う、全然別ものである
 「chalk, cheese」が頭韻。

20, as drunk as a lord

君主のように酔っている
=ひどく泥酔している

21, as dry as a bone/dust

骨/埃のように乾いている
=からからに乾燥している
dry, dust」で頭韻。

22, as easy as ABC

アルファベット(を習うこと)ほど簡単
=非常に簡単である

23, as easy as an apple-pie

アップルパイのように簡単
=実に簡単。朝飯前である
 単に「(as) easy as pie」とも言います。
apple-pieについては「典型的アメリカの食べ物」というイメージがあるところから
(as) American as an apple-pie =極めてアメリカ的である」という表現もあります。

24, as flat as a pancake

パンケーキのように平べったい
=まったく平らである、ぺちゃんこである

25, as free as a bird

鳥のように自由である
=まったく自由である
鳥が何にも拘束されず自由にどこへでも飛んでいけることから

26, as gentle as a lamb

子羊のように優しい
=人の性格が温和であるたとえ

27, as good as gold

人の性格がよくて従順であるたとえ
good, gold」が頭韻。

28, as happy as a lark

ひばりのように楽しげ
 ひばりが空を飛ぶようすが急に高く舞い上がったり、急に降下したりするところから、楽しげなイメージとして使われます。
 日本語で「ひばりのように」というと「起伏の激しい人生」を送る喩えに用いられますが、このあたりは文化の差ですね。

29, as hard as nails

釘のように堅い
⇒人の性格が非常に頑固だったり気難しいことのたとえ

30, as hot as hell

地獄のように熱い
=very hot
「地獄の業火」のイメージをなぞらえた比喩
hot, hell」が頭韻。

31, as hungry as a bear

熊のように空腹
=非常に空腹で
 特に冬眠から開けて胃が空っぽになった熊のイメージから、非常に空腹なことの喩えになっています。
 空腹な様子の例えとしては「a wolf(オオカミ)」も使われますが、オオカミは冬眠しませんので、こちらは獰猛に獲物に噛み付く様子からの比喩です。

32, as innocent as a lamb

子羊のように無邪気な
=世間慣れしていない性格、性質のたとえ
 宗教文化を背景として「lamb(子羊)」は「迷える子羊」のように「無邪気さ、世慣れしてないもの、他者の導きを必要とするもの、おとなしく従順なもの」のイメージで用いられます。

33, as large as life

(なんと)紛れもなく本人が
 ちょっと分かりにくいですが、
There he stood, as large as life.
「なんとそこには紛れもなく彼本人が立っていたのだ」
のように驚きを込めて「確かにその人本人が」の意味に使われる熟語的表現です。こちらの意味ではさらに「and twice as natural」があとに続けられることがありますが意味は同じです。
 「large, life」が頭韻。

34, as light as a feather/air

羽/空気のように軽い
=非常に軽い
 多くの場合、とても軽いことを誇張した意味に使われます。たとえば人間の体重が「羽」や「空気」程度の重さしかないなどありえないことですからね。

35, as mad as a hatter

すっかり気がおかしくなって
 この表現の「mad」は「crazy」の意味。「hatter」とはオーストラリア英語の口語で用いられる言葉のようで「遠隔地[奥地]に独りで住んでいたために様子がおかしくなった人」を意味するのだそうです。

36, as mad as a hornet

スズメバチのように怒り狂って
 こちらの「mad」は「angry」の意味。「hornet」は「スズメバチ、クマンバチ」を区別なく指す語で、これらが相手を攻撃的に襲う様子から来ています。

37, as nutty as a fruitcake

すっかり頭が狂って
 このnuttyは掛詞。フルーツケーキが沢山のナッツ(nut)を含む様と、俗語で crazyを意味する「nut」を掛けた表現です。

38, as obstinate/stubborn as a mule

ラバのように頑固で
=異常に頑固で
 muleは動物のラバ。あまり馴染みのない動物ですが頑固者のたとえです。
 obstinateは「stubborn」の同義語ですが、さらに意固地で病的なまでに自分の考えにこだわるという強い意味に使われます。

39, as old as the hills

丘のように古い
=いつからあるのか分からないくらい古い
 自然地形として存在する「丘」ほどに古いということから。

40, as pale as death

死人の顔色のように青ざめて
 直喩としては分かりやすいものでしょう。人間の顔色が蒼白な様子の描写です。

41, as plain as day

昼間のように明白で
=極めて明白で
 「day」が無冠詞であることに注意してください。「1日」の意味ではなく、夜に対するを意味するもので、昼間太陽に照らされて何もかもがはっきり見える様子うになぞらえた表現です。
 同じ意味の決まり文句に
as plain as the nose on one's face
というのもあります。「one's」は前後関係に応じて「my, your, など」に置き換えられます。

42, as poor as a church mouse

教会のねずみのように貧しく
=非常に貧乏で
 貧困に苦しむ様子の比喩です。同じ意味で「as poor as dirt」というのもあり、この「dirt」は「土、汚れ」から転じて「無価値なもの、卑しい人間」の意味。
 「a church mouse」は教会に住むネズミですが、貧しい(ほとんど食べ物にさえありつけない)喩えのほか「as quiet as a church mouse」と「物静かである」喩えにも使われます。

43, as proud as a peacock

くじゃくのように自尊心が高く
=very poud
くじゃくが美しい羽を広げている様子を「いかにも誇らしげ」というイメージにとらえた比喩。

44, as pure as (driven) snow

(吹きだまった)雪のように純粋で
=まったく純粋で、けがれなく
人の足跡さえまったくついていない雪のイメージからまったくけがれのない比喩となります。

45, as quick as a wink
46, as quick as lightning

ウインクのように速い・速く
稲光のように速い・速く

=極めてすばやい、すばやく。一瞬の、一瞬で
wink lightning も瞬間的なものの喩えですね。

47, as safe as houses

家のように安全で
=人に盗まれる心配がまったくない
 この「家のように」とは家にいる状態のことではなく、「盗もうとしても動かして持って行くことができないもの」の喩えです。

48, as scarce as hen's teeth

鶏の歯くらい珍しい
=まずありえない
 鶏に「歯」はありません。それくらい「滅多にお目にかかれない」とは皮肉をこめて「絶対ありえない」ということを意味します。いつも遅刻してくる人に「彼が時間通りに来るなんて『鶏の歯』くらい珍しい」というような使い方をします。

49, as sharp as a razor

剃刀のように鋭い
=非常に鋭い
 これは日本語でも同じ発想の比喩が使われますので分かりやすいでしょう。

50, as sick as a dog

犬のように具合が悪く
=非常に具合が悪い
 これはちょっと分かりにくい喩えですね。「犬」が具合の悪い喩えになるのはピンと来ないでしょう。ちょっと遠回りなのですが、「何でもがつがつ食べて結果的に体調を崩した様子」をここでは「a dog」と言うようです。ですからこの熟語(結構一般的に使われているそうです)の「sick」は吐き気を伴うような体調の悪さを意味して使われます。

51, as sick as a parrot

オウムのように元気がなく
=不機嫌で、憂鬱で
 こちらの「sick」は体調ではなく「精神的に憂鬱な気分」を意味するもので、上の「as sick as a dog」とはまったく違う意味の熟語表現ですので混同しないようにしてください。こちらの表現の背景もまた随分回りくどい由来があります。
 一説によりますと、南国の鳥であるオウムが寒いヨーロッパに連れてこられて元気がない様子に由来するとか。また別の説では「オウム熱」などの病気と関係があるとか。どうもはっきりした由来は不明のようです。それにこの表現自体、「聞いたことがない」という英語ネイティブも多いようなのでどれほど一般的なのかはわかりません。

52, as silent as the dead

死人のように静かで
=まったく静かで
 これは説明不要でしょう。死人がまったく物を言わないのと同じくらい「silent」だということですが、人が無口なことだけを喩えるのではなく、物音がまったくしない様子の描写にも使えます。

53, as silent as the grave

墓場のように静かで
=まったく静かで
 これも分かりやすいですね。日本語で「まるでお通夜のように」という言い方が使われ方もこれに似ていると思います。

54. as slippery as an eel

うなぎのようにぬるぬるして
=つかみどころがなく
 これは感触として「ぬるぬるしている」ことだけでなく、さらに「のらりくらりとした態度で信用ができない」ことの比喩にも使われる掛詞の一種です。

55, as slow as a snail/tortoise

カタツムリ/亀のように遅い
=非常に遅い
 これはさすがに説明不要でしょう。そのままですから。

56, as smooth as silk

絹のようになめらか
=大変になめらか
 「滑らか」なものの代表として絹が使われるのは自然に感じられますね。

57, as snug as a bug in a rug

絨毯の中の虫のように居心地よく
=狭いながらも居心地がよい
 ユーモラスな口調で使われる比喩です。アパートなど、狭いながらもそれなりにきちんとしていて居心地がよい様を表す表現ですが、クッションなどにうずもれて気持ちよく眠る様なども表します。

58, as sober as a judge

裁判官のようにしらふで
=まったく正気で
 裁判官がお酒に酔ったままでは公正な判断はできません。裁判官は「酒になど絶対酔っていない」存在、さらに「物事を冷静に判断する人」の代表のイメージです。文字通り「まったくお酒によっていない」意味にも使えますが、お酒と無関係に「まったく正気である、冷静・真剣にそう思っている」様の比喩に使われます。

59, as solid as a rock

岩のようにsolidで
=実に丈夫で、しっかり中身がつまっていて
 この「solid」も掛詞です。非常に堅い、中身がつまっている、堅固で頑丈な様子を表す形容詞として、それを強調するために「岩」を引き合いに出した比喩です。同じことをもっと回りくどい「as solid as the ground we stand on(我々がこうして立っている地面のようにsolidで)」という言い回しもあります。

60, as sour as vinegar

酢のようにすっぱい
=非常にすっぱい、態度がきつい
 普通に物の味の比喩にも使えますが、掛詞として使うと「人の態度や言葉遣いなどが不快感を与えたり、意地悪な印象を与えたりする」意味にもなります。
 Her attitude on him was as sour as venegar.
 彼に対する彼女の態度は実に嫌悪感が露骨に表れていた。

61, as steady as a rock

岩のようにぐらつきがない
=まったくぐらつきがない
これも掛詞として使えば
 My decision is as steady as a rock.
 私の決心は岩のように固い(ゆるがない)。
のように使えます。これは日本語の発想と同じと言えるので分かりやすいでしょう。

62, as stiff as a board

板のように曲がらない
=決して曲がることがない
 分厚い木の板が簡単には曲がらない様になぞらえて、stiffが持つ様々な意味を強調します。「stiff greeting」なら「型にはまった非常に改まった挨拶」ですが
stiff」には材質の意味から転じて「態度や言葉づかいが堅い、堅苦しい」、あるいは「問題などが手ごわく難しい」など意味があり、それを「まるで板のように」と比喩で強調するわけです。

63, as straight as an arraw

矢のようにまっすぐで
 この「arrow」は「飛んでいる矢」のことです。すでにこれまで多くの比喩の例を通じて、「straight」という形容詞による表現の強調であることがお分かりでしょう。そして「straight」の色々な意味を強調してこの比喩が使えます。
 最近の海外SNSなどでは「性的志向」を示す項目があったりして「gay(同性愛者)」などを自己紹介で明確にしていたりもしますが、「男性が女性のみに、女性が男性のみに興味を持っている」ことを「straight」といいます。ですからたとえば男性が「私は女性にしか興味がない。まったくgayの傾向はない」ということを、そういう話題の中で文脈が理解されていれば
I am as straight as an arrow.
とも言えるわけです。

64, as strong as an ox

牛のように強い
 「ox」は「horse, bull, bear」などが使われることもあります。要するにイメージとして「頑強な動物」だと一般に通っていれば何でも構いません。(antelopeなど動物にちょっと詳しい人でないとその姿かたちも思い浮かばないような例は避けるべきですが、どういう動物が一般的だと思われているかは日本と英語文化国ではかなりの開きがあります。さらに同じ国でも地域差があるので、比喩などに使うのはありきたりでも、誰でも知っている動物に限りましょう。)

65, as sturdy as an oak

樫の木のように頑強で
 「oak(樫)」はその素材の堅さで有名な木です。日本の木刀に使われるのもこの木です。樹木としてもその頑強なイメージから「建物などの堅牢さ」の比喩に使われます。

66. as sure as death and taxes

「死」や「税金」ほどに確実な
=決して避けることができない。間違いがない。
 ちょっぴりブラック、ちょっぴりユーモラスな比喩ですね。避けられないものの代表として「(death)死」だけでは言葉全体が不気味なだけになりますが、「taxes(税金)」という単語が後から続くことで、表現の緊張感が一気に抜けてくれます。うまい対照だと思いませんか。
 今度英会話で「Are you sure?」と聞かれたらこの表現で返事してみてください(笑)。でもそうやって使うと一生忘れませんよ。

67, as tall as a giraffe

キリンのように背が高い
=大変長身である
 人間の身長がそれほどであることはありえませんから誇張表現です。人間の身長以外、樹木の高さなどなら実際その程度のことはあるでしょうが。

68, as thin as a rake

熊手のように細い
=非常に痩せている
 「rake」は庭の手入れなどに使う農機具ですが、こういう道具が比喩表現に含まれていることからも rake が英語文化圏での生活でかなり馴染みのある存在だと理解されます。比喩としては「柄」つまり「棒」の部分を指しているのですから、別に熊手でなくてもホウキでもモップなんでもいいわけなんですが、これが慣用的に定着したんですね。

69, as timid as a rabbit

ウサギのように臆病で
 気が小さい動物の代表としてウサギが使われています。比喩としてはごく妥当な感じがしますね。ウサギとして「hare」を使った言い方もあります。

70, as tough as leather

革(かわ)のようにごわごわして(固い)
 leatherは動物の皮をなめしてバッグや靴の素材とした状態のもの。「かわ」もこの場合漢字で「革」と書きます。頑丈でひっぱっても簡単に千切れない様や柔軟性がなくごわごわした様子の比喩です。

71, as tough as nails

釘のように強固で
=非常に意思が強い;冷酷・無情、厳格で
 「nail」は「釘」そのものというより「釘付けされた状態」に対するイメージ。それを人間の性格の比喩に用いたものです。

 同じ「釘(nails)」を使った比喩でも
as right as nails は「まっすぐで、正しい、いたって正常な、申し分ない、全く元気で」のようなよい意味の比喩に使われます。

as hard as nails は「strong(体などが強い)」と「healthy(健康である)」の意味であるときと「cruel(冷酷な)」や「merciless(無慈悲な)」の場合がありえます。

72, as welcome as a skunk at a lawn party

ガーデンパーティのスカンクほどに歓迎されている
=まったく歓迎されない
 一見ユーモラスな言い回しですが、ニュアンス的には皮肉や嫌味の響きが強い表現です。

73, as white as a ghost

幽霊のように白い
=極端に顔色が悪い
 顔色の悪さを表す形容詞としては「pale(青白い)」がよく使われますが、この比喩はもっと極端な意味になります。例えが「幽霊」ですからそれも納得ですね。

74, as white as a sheet/snow

シーツ/雪のように白い
=純白である
 これは人の顔色ではなく、普通に物の色の白さについて「真っ白」であることの比喩です。肌の色の白さを誇張して言うことはあります。

75, as wise as Solomon

ソロモン王のように賢明で
=大変賢い
 「King Solomon」は賢者の代表。古代イスラエルの三代目の王として国の最盛期をもたらした人物とされ、優れた政治家で知恵者として知られています。そういう歴史・宗教を背景とした比喩なのでちょっと重いですね。

76, as wise as an owl

フクロウのように賢い
=大変賢い
 ソロモン王の比喩に比べると動物を引き合いに出している分、平易な感じがします。どういうわけか日本でもフクロウは「森の賢者」のイメージで通っていますからこの比喩にも疑問や抵抗はないでしょう。




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