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308. to不定詞との比較

 動名詞は動詞が名詞機能を併せ持ったものですが、「to不定詞」にも「名詞的用法」というのがありました。どちらも機能的には非常に近いもので、実際どちらを使ってもよい場合がありますが、常に互換性があるわけではありません。

1、目的語として動名詞、to不定詞の両方を取れる他動詞

・開始/終了/継続を表す動詞

~し始める
begin/start to do
beging/start doing

~するのをやめる
cease to do
cease doing

※この意味でstopは動名詞しか目的語に取りません

・好き嫌いを表す動詞

~するのが好き
like/prefer/love to do
like/prefer/love doing

~するのが嫌い
dislike/hate to do
dislike/hate doing

※ただしdislikeは動名詞を目的語にするのが普通で、to不定詞を目的語にすることはあまりありません。
※同じ「嫌う」意味(程度は違う)を表す detest, abhor などは動名詞しか目的語にしないという一貫性のないところがあります。

 他動詞によって動名詞to不定詞の両方を目的語としたり、どちらか一方だけしか目的語にしない性質があり、これらについて明確な規則はありません。最終的には動詞ごとの特質なので個別に使い慣れる他はないということになります。

 動名詞とto不定詞の両方を目的語に取れる他動詞であっても、意味上に差がない(互換性がある)場合と多少の意味の違いを含む場合、さらに大きく意味が違う場合があります。

 to不定詞はその由来として「to(前置詞:~に向かって)+名詞化した動詞」を表すものでしたので、そういう言葉の歴史が用法に残ってることがあります。
 例えば「like」が「to不定詞」と「動名詞」を目的語に取るとき、to不定詞は「今それをしていないが、この先したいと思う」や「日頃のこととして~するのが好き」という意味(「仮想的文脈」と呼ばれます)で、動名詞は「今実際にしていること」について、それが楽しいとか気に入っているという現状描写の意味を持つといえます。
 ただしこの区別は絶対なものではなく、ほとんど互換性を持って使われることもあります。

 一方、他動詞 try 目的語としてto不定詞を取るときと、動名詞を取るときでは明確に意味が異なり、前者は「~しようとする(その時点ではまだ行っていない)」、後者は「~してみる(特に過去形tried doingでは実際に「してみた」の意味)」というはっきりした意味・用途の違いがあります。

He tried to jump over the river. 彼は川を飛び越えようとした
<「しかし失敗した」とか「やはり勇気が出ず断念した」などが続く
He tried jumping over the river. 彼は川を飛び越えてみた
<実際に飛び越した


文体・構文上の都合による選択

 さらにto不定詞、動名詞のどちらを取るかが文体的な理由によって選択される場合もあります。
 「prefer」は「AよりもBの方をより好む」という2つの対象に対する好みの差を表現する使い方の場合、「prefer A to B」という構文となるため、2つの理由によりAの位置には動名詞しか来なくなります。

I prefer cooking. / I prefer to cook. (料理をするのが好き)
I prefer cooking to eating.(食べることより作ることが好き)<cookingを「to cook」にはしない

 理由1:前置詞toの連続を避けるため。音のくどさ、意味の不明瞭さにつながることを避けようとする心理によります。
 理由2:2つの比較対象AとBの「平行構造」を保つため。つまりBの位置には前置詞toのあとに来る名詞として動名詞しか置けませんので、「<to不定詞>to<動名詞>」という形式の不統一さは耳に逆らう(口にしてみて印象・感触が悪い)ものとなり、「<動名詞>to<動名詞>」という形式上の平行性を保つのが文体として適切だからです。

 動名詞は1語で名詞的性質を表しますが、to不定詞は「to do」という2語でやっとその意味を表します。語源的由来としてto不定詞が「~することに向かう」という意味を背景にしていることに加え、1語単独で名詞になれる動名詞は「ソリッドな名詞」という印象を与えます。つまり1語で名詞になっていることが、それだけ「かちっとした個体的印象」につながり、名詞としての純度の高さをもたらします。2語に分散しているto不定詞は名詞用法のときでも「どこかばらけた印象」がつきまといます。これは日本語で「泳ぐこと(to swim)」と言い回すのと「水泳(swimming)」と単語で言いまわすときの印象差と同様といえます。

 そういう名詞としての固まりの強さ、純度の高さがあるため、動名詞が純粋な名詞に進化してしまうこともあるわけです。(to不定詞は、純粋な名詞になりきって複数形と取ったりできませんからね。)

I like swimming.

 これを唐突に言われれば普通は「自分が泳ぐこと」の意味だと解釈されます。つまり動名詞swimmingの意味上の主語が文主語の「I」と一致して解釈されますが、たとえばオリンピックの放送を見ていて、様々な種目でどれを見るのが好きかなどという話題の中で、この文を言えば「水泳競技が好き」の意味にもなります。その場合 swimming は動名詞というより完全な名詞であり、意味上の主語は「I」ではありません。(競技選手を含めた一般主語が意味上の主語となる。)しかし「I like to swim.」はいかなる文脈の中においても「自分が泳ぐことが好き」の意味しか持ちません。

 動名詞とto不定詞の選択根拠として、文体的不恰好さを避けるというものがありますが、「prefer」が「prefer A to B」の構文で動名詞を好む逆のパターンといえるのが、他動詞が進行相となっているときです。

It was starting/beginning to rain. 雨が降りかけている。(今にも雨になりそうだった)

 これは「be staring/beginning」という進行相で現在分詞の-ing形が用いられるため直後の目的語として「to do/doing」のどちらでも使えるのなら、ing形の連続という不恰好さを避けたくなるのでto不定詞が好まれます。


 目的語が「like」の直後だとしても全体として「would like」として「~したいものだ」の意味では「would like to do」とto不定詞のみがつながります。

2、動名詞だけを目的語とする他動詞

 丸暗記式学習法として「メガフェップス」という暗号のような言葉で、このタイプの他動詞を覚えている人もいるようです。メガフェップスというのは次の動詞の頭文字をつなげた暗記法なのだそうですが、私自身ネットで検索しないとそれが何か知らないほどです。
 調べてみると「メガフェップスだ!」という「だ」まで加えて次の動詞の頭文字なのだそうです。

mind
enjoy/excuse
give up
avoid/appreciate/advise
finish/fancy/forgive
escape
put off/practice/postpone
stop
deny/defer/delay
admit

 確かにここに挙げた他動詞はto不定詞を目的語とはしません。とりあえず一度覚えておくのは害にはなりませんから、別に構わないとは思うのですが、実用度としてどれほどの価値があるかはなんともいえません。1つの文字が複数の単語を思い出すきっかけになっていたり、語呂合わせ的にもあまり優れた暗記法だとは思えません。

 「ある他動詞が目的語として動名詞しか取らない理由」は特にないのです。個々の動詞の傾向性、性質としか言いようがなく、遠回りなようで一番実践的なのは「例文を通じて慣れる」ことでしょうね。文法書によってはどういうタイプの動詞が動名詞だけを目的語とするかについて一応の目安のような解説が書かれているものもありますが、どれを見ても「なるほど!」と納得するには程遠いものがあります。

 上記「メガフェップス」に含まれないconsider(考慮する) 、involve(伴う)、miss(し損なう)、pardon(大目に見る)、recollect(思い出す)、understand(理解する)、repent(悔やむ)、resist(抵抗する)など他にも動名詞しか目的語としない他動詞はありますし、cannot help(~せざるを得ない)など構文として動名詞を導くものもあり、暗記したリストにあるかないかを考えながら文章をとっさに口にするのは無理でしょう。

 皆さんは一度ひと手間かけて、ここに挙げた他動詞を複数のオンライン辞書でつぶさにチェックし、動名詞を目的語にしている例文を調べてみることをお勧めします。その場で覚えきれなくてもいいのです。

 言葉の習得というのは、人と人が初めて出会ってから交友を深め徐々に相手のことを深く理解するプロセスに似ています。実際に会ったこともなく、今後もつきあう予定のないあかの他人の顔写真だけを頼りに名前や住所、電話番号、略歴、性格などを暗記しようとしても空しいものがありますよね。実生活の中で何度も出会い、会話を重ね、つきあいをつづけるうちに相手のことがわかってくるものです。最初は名前を忘れたりもするでしょう。言葉というのもそれと同様で、覚えることと忘れることを繰り返しながらいつか「旧知の仲」になっていくものなのです。単語と深い知り合いになるには、現実の用例の中で何度も出会い、それを自分でも使うことで積極的に相手への働きかけを行うことが大切です。
 辞書を引いたりして単語の記憶にひと手間かけるのもそういう出会いとつきあいの一部なのです。1つの辞書で和訳を調べて終わりにせず、複数の英和で調べたり、英英辞典でも確認したり、時には語源辞典でも調べてみるなど色々な方法でアプローチしてみることが単語との「交際履歴」として徐々に記憶と印象を深めてくれます。

 意味を覚えるだけならそれほどの苦労はしないでしょう。記憶法や英単語学習法についても多くの有効なヒントを与えてくれる研究がなされていますが、今回のように単語の使い方まで押さえるとなりますと、「相手の性格や行動パターン」を知ることになりますので、日頃付き合いのない人(めったに文章で出会わない単語)に関してそういうことを覚えるのは難しいものがあります。であるならばこちらから何度も会いに行けばいいんです。上の「メガフェップスだ」のリストなどを傍らに置いておき、数日に1回とか辞書を引いては例文を読み、ネットでキーワード検索しては実際にそれらが文中で使われている記事などを読んでみることです。こちらから日頃仲良くしてあげることが単語の習得、特に用法の習得には最も大切な心がけです。

3、to不定詞だけを目的語にする他動詞

 これは比較的一貫した傾向性を見出すことができます。つまり「前置詞to(~向かって)+名詞化された動詞」というto不定詞本来の意味との相性がよいタイプの動詞がこの傾向を持ちます。すなわち「これから何かをしようとする」意味を持つ動詞です。

agree to do
「じゃあ、これから~しようかと同意する」意味を感じますね。

refuse to do
上の逆に「これからするのを拒む」の意味。

decide to do
determin to do
resove to do

まさに「これから~しよう」と決心するのですからto不定詞との相性のよさを強く感じます。

desire to do することを熱望する
hope to do することを希望する
want to do することを欲する
need to do する必要がある
wish to do することを願望する
promise to do することを約束する

 これらすべてに「さあ、これから」という未来へ向けての方向性を感じますね。

 ただし「want/need doing」では「doing」が純度の高い名詞として目的語になり「to do」とつながる用法がありますが、こちらはかなり意味が異なって使われます。

The grass wants/needs cutting. この芝生は刈り込みが必要だ。
<「grass(芝生)」の意思として何かをしたがっているとか欲しがっているのではなく、意味的には「need to be cut(刈られることが必要)」ということを表しており、それを慣用的に「want/need doing」というと理解してください。

My watch needs repairing. 私の時計は修理が必要だ。(時計を修理してもらう必要がある)

come to do するようになる
learn to do (経験学習を通じて)するようになる、できるようになる

fail to do しそこなう、しない (しようとして失敗する)

 これは 「try to do」と同様に理解できます。「try」は動名詞を目的語にもできますが、その場合「実際にやったこと」を動名詞が「確定行為を意味する名詞」として使われますが、「fail to do」は結果的に「しない」のですから確定的な意味を表す doing を目的語にできなことも納得がいくでしょう。「してしまったことを失敗する」とは言えませんからね。

 何かの他動詞について、その目的語に動名詞to不定詞を取るのか取らないのか、少しでも不安に思ったらその都度辞書で確認することを怠らないでください。わずかな手間を惜しまず、すぐに辞書を引くという行動を取ることが結局は一番の近道で楽な方法であり、効率的な学習法なのです。



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309. 動名詞の慣用表現

<There is no 動名詞>

There is no accounting for tastes.
人の好みは説明できない。(諺:蓼<たで>食う虫も好き好き。)

 このように「There is no 動名詞」が「~することは(誰にも)できない、無理だ」の意味を表します。直訳すると「~するという行為はこの世に存在しない」という発想ですね。(従ってこのaccountingの意味上の主語は一般主語(誰でも、誰にも)」です。)

<It is no 形容詞 動名詞>

It is no use crying over spilt milk.
すでにこぼれてしまったミルクに向かって泣き叫んでも無駄である。
(諺:覆水盆に帰らず。)

 上は諺なのでこのまま固定的に用いられますが、「~しても無駄だ」という一般的な言い方としては

It is (of) no use doing.../ It is not (of) any use doing ...
It is no good doing ..../ It is not any good doing ....

 があります。「use」は名詞ですから「of+名詞」で叙述形容詞となるのが本来の使い方なのですが、「no use」には形容詞的意味も感じ取られるため、of は省略される(脱落する)ことがあります。
一方、「good」は最初から形容詞なので of が前につくことはありません。
 文法的にちょっと掘り下げますと、「(of) no use」の「no」は名詞を否定しているので形容詞。「no good」の「no」は形容詞の程度を否定しているので副詞です。

 仮主語の「it」を「to do」が真主語として追いかける構文はよく見かけますが、ある種の決まり文句的な言い回しの中では動名詞が真主語として追いかけるパターンもあります。それほど種類は多くないので出会った例文を覚えていくだけでも十分対応できます。

 動名詞を真主語とする「It is 形容詞 動名詞(S)」のパターンは使われる形容詞がかなり限られます。基本的には上記の「(of) no use」と「no good」の例を覚えておけばよいでしょう。

It is nice meeting you. 会えてよかった。会えて楽しかった。
It is fun playing tennis. テニスって楽しいじゃないか。

 構文的には「It is nice to meet you.」や「It is fun to play tennis.」も正しく、同様に使われることもあるのですが、特に「すでに会った人との別れ際」なら動名詞が使われます。また「今までやったことのないテニスをやってみたら楽しかった」という場合も動名詞で表現され、「過去を振り返って」何かをしたことについての印象・感想を述べるときは動名詞が使われます。

<on/upon 動名詞>

Upon receving my expense report, kindly forward it for processing ASAP.
経費清算書受領の際は速やかに処理されたし。

 これはビジネスメールで見かける言い回しで末尾のASAPは「as soon as possible(できるだけ早く、早急に)」を意味する略語。
 「upon/on 動名詞」についてたまに「As soon as ....」と同じだと教えているのを見かけますが、それほどの緊急性はあまり感じない表現です。「When ...」で置き換えても構わないことも多く、ニュアンス的にはその中間くらいの意味合いに用いられることが多いと感じます。また。つまり「動名詞で表現される行為を受けて」とか「その行為を合図、きっかけとして」という感じです。その行為の発生から主節の内容が行われるまでの間合いの長さについては、「すぐさま、直ちに」の場合もあれば、多少の間をおいてからの場合もあり、そのあたりは文の内容や前後関係から判断されます。

Please call me on your returning home.

 「帰宅したらすぐ電話して」という留守電メッセージなら、メッセージの緊急性によってはこれを聞いたその場で電話するかも知れませんが、重要な用件でないなら「シャワーを浴びて一息ついてから」でも別によいわけです。
 また外国に行っている人に「帰国したら教えてね」という意味なら、まさか飛行機が着陸した瞬間とか入国管理手続きを終えたらすぐというほどせっついたものではないでしょう。帰国後数日たってから連絡しても、この要求に応えたことになります。

 ですから「On 動名詞」を必ず「As soon as ...」で書き換えなければならないと狭く考える必要はないのです。

On hearing the news, she turned pale.
その知らせを聞いたとたん、彼女は青ざめた。

 このような使われ方であれば、「その瞬間に」と解釈するのが自然です。(悪い知らせを聞いた2時間後に青ざめる人はいませんからね(笑)。)

<worth 動名詞>

This book is worth reading.
この本は読む価値がある

 worth は「目的語を取る形容詞」という珍しい用法を持ちます。直後には具体的な値段を表す名詞が来てももちろん構いませんが、「するだけの価値がある」という意味で動名詞も取ります。この構文には「to不定詞」の名詞的用法は使われません。

If you go to Japan, Kyoto is worth visiting.
日本に行くのなら、京都は行く価値がある

 紛らわしい単語に「worthy」や「worthwhile」があります。どれもみな形容詞で、和英辞典の意味を見ても「価値がある」いう日本語からはどう使い分けていいのか分かりにくいかも知れません。

worthy は限定形容詞として名詞を直接修飾すれば「価値の高い、立派な」の意味。
 「する価値がある」という意味を表すときは構文として
worthy of 名詞
worthy to do

と使われます。

His contribution to the company is worthy of promotion.
彼の会社への貢献は昇進に値するものだ。

She is such an elegant lady worthy to become princess.
彼女は実に気品に満ちて王女になるにふさわしい女性だ。

 worthwhileが限定形容詞のとき、「何についての価値」を意味するかは前後関係から判断されることが多くあります。

worthwhile movie 見る価値のある映画
worthwhile job やるだけの価値がある仕事

 worthwhile が叙述形容詞となるときは「すること」が主語となり、物は主語になりませんので使い方に注意してください。これは wothwhile という形容詞それ自体が「時間、注目、労力、手間」などをかけるだけの価値があるという意味を持っているからであり、叙述形容詞として使われるときは「すること」が主語になります。

It is worthwhile to watch that movie.
It is worthwhle reading that movie.

その映画は見るだけの価値がある。
<「その映画を見ること」に「それだけの手間や出費をかける価値」がある。「it」が仮主語で「to do/doing」は真主語。

(×)That movie is worthwhile to read.
(×)That movie is worthhile reading.

<否定+without 動名詞>

You cannot watch that drama without crying.
あなたはそのドラマを泣くことなしに見られない。(見ればきっと泣くことになる)

 I never visit this shop without spending a lot of money.
大金を使わないでこの店を訪れることが決してない。(来ればいつも大金を使ってしまう)

 このように修辞的な意味を表すときばかりではないので丸暗記で対応しないように。次の例は「否定+without 動名詞」ですが、裏の意味はなく、書かれたままの意味を表します。

 I cannot go to the US without smoking for 10 hours in an airplane.
飛行機で10時間もタバコを吸えないのだから、とてもアメリカなんかには行けない。

<It goes without saying that ....>

It goes without saying that our mother tongue is Japanese.
言うまでもなく、私たちの母国語は日本語です。

 この表現は多くの場合、「しかし、、」とあとが続きます。つまり「~であることは分かりきってはいるのだが、、、、」という前置きのように使われるのが普通です。

There is no need to say that....

 こちらは単純に「~だと言う必要はない」=「そんなことをわざわざ言うな」の意味合いに用いられます。

<feel like doing>

 かなり昔(1980年)ヒットしたNorlansの曲に「I'm in the mood for dancing(邦題:ダンシングシスター)」という歌がありました。

I'm in the mood for dancin', romancin' (ダンスをしたい気分、恋をしたい気分なの)
Ooh I'm given' it all tonight (今夜はずっとそんな気持ちがする)
I'm in the mood for chancin' (思い切って思いを打ち明けてしまいたい気分)
I feel like dancin' (なんだか踊りだしたい気分)
Ooh so come on and hold me tight (だからここに来て私を抱きしめて)
(引用元:http://lyricsplayground.com/alpha/songs/i/iminthemoodfordancing.shtml)

 1行目の「I'm in the mood for dancin' (=dancing)」と同じ意味を4行目では言い回しを変えて「I feel like dancin'(=dancing)」と歌っています。書き換えのいい見本ですね。

<cannot help 動名詞>

 I cannot help thinking of you. 君のことを考えずにはいられない。

 この「help」は「避ける」というhelp本来の古い意味が残ったもの。現代英語で一般的な「助ける、手伝う」の意味は「障害や問題を取り除いてやる」の意味から生まれたものです。
 「せざるを得ない」を表す、もう1つのちょっと古い言い方に「cannot but 原形」がありますが、この2つの表現が混乱し「cannot help but do(ing)」と使われることがあります。しかしこれは俗語的誤用

 そういえば古い歌のタイトルに「I cannot stop loving you」があり、邦題は「愛さずにいられない」となってましたね。

<be used to doing>/<be accustomed to doing>
<look forward to doiing>

 この2つは(to不定詞の指標ではない)前置詞のto につられてついto不定詞にしてしまいがちなので注意してください。動名詞ではなく、普通の名詞が置かれても構わないわけです。英語ネイティブの文でも「be used/accustomed to」のあとに原形を使う例をたまにみかけますが、やはり「非標準」とされているそうです。

I am used to statying up all night. 私は徹夜(すること)には慣れている。
I am used to his bad attitude. あいつの態度の悪さには慣れている。

I am looking forward to seeing you aggain. また会えるのを楽しみにしています。
I am looking forward the day (when) you come back. 君が返ってくる日を楽しみにしている。

<What/How about doing ?>

 これも和訳につられた誤用が目立つ表現です。和訳として「~はいかがですか?」と添えてあるだけで詳しい説明のない参考書などで覚えてしまうと、「コーヒーはいかがですか?」と前後関係なく何かを勧めるときや「来週テニスなんてどう?」のような意味にも間違ってこの言い回しを使ってしまいますが、この表現は「ある話題」が出たのを受けて、「じゃあ、~はどう?」と提案するものです。

A: I don't know what to do next Sunday.(次の日曜に何をしたものか)
B: What/How about watching videos with me?(僕と一緒にビデオを見るってのはどう?)

 これは「何をしたらいいだろう?」という問いかけに対する1つの回答として「ビデオを見るというのは、次の土曜にすることとしてどうだろう?」と答えているものです。
 そういう流れを受けず、突然提案するのであれば

What do you say about watching video with me?
直訳:今度の土曜に一緒にビデオを見るという案に対してどう思う?

 がより適切です。

 たとえば
What/How about music?
と唐突に言われても音楽を「聞くのか、創るのか、演奏するのか、買うのか、」何の提案なのかわかりませんし、意味上の主語も不明なため誰がすることを提案しているのかも分からないのです。日本語表現からの単純な置き換えをしてはならない典型的な例の1つです。
 これが話の流れとして相手が先に「I like reading, sports, movies.」と好きな趣味の話をしたのを受けてなら「音楽はどう?=音楽も好き?」の意味だと理解されます。




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