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250. 接続副詞

 これまでの「 and, but, or, nor, for」は純粋な接続詞と呼べるものでしたが、接続副詞と呼ばれる語は、「接続詞に近い働きもする副詞』」です。

    語と語 句と句 節と節
and  
but  
or  
nor  
for   × ×
also 接続副詞 × ×
besides 接続副詞 × ×
consequently 接続副詞 × ×
else 接続副詞 × ×
hence 接続副詞 × ×
however 接続副詞 × ×
moreover 接続副詞 × ×
nevertheless 接続副詞 × ×
otherwise 接続副詞 × ×
so 接続副詞 × ×
still 接続副詞 × ×
then 接続副詞 × ×
therefore 接続副詞 × ×
yet 接続副詞 × ×

 2つの節をつなぐ形で用いられている場合は接続詞としても機能していると見なせますが、2文が切り離されている場合は、あとの節に(文頭、文中ともに)用いられている語は完全に副詞です。ですから「接続副詞」は本来「副詞」の項目に含めて説明すべき内容なのですが、接続詞の理解を踏まえないといけない解説順序の都合があり、こちらに含めました。

 「 however 」を例にとって説明しましょう。

He has to take an examination next week; however he does not study at all.
(彼は来週試験を受けなければならない。なのに彼はまったく勉強していない。)

節 A ; however 節 B 」の形。この however は等位接続詞的ですが、複数の辞書で確認した限りではもっぱら however の直前はコロン(:)、セミコロン(;)あるはピリオド(.)であり、but と同様の上記の使い方(つまりコンマでつないであったり、まったく句点を打たずにつないでいる例)を収録している辞書はありませんでした。すなわちどの辞書でも however を純粋な接続詞とは見なしておらず、あくまでも副詞として扱っています。

He has to take an examination. However, he does not study at all.
節 Aと節 Bが完全に切り離されている。節 Bの文頭にある however は明確に副詞。

and, or, but, for など等位接続詞では文章を書き始めてはなりませんが、however は副詞であるため、それを文頭に置くことはまったく構いません。副詞であるため、しばしば次のような位置にも現れます。

He has to take an examination. He, however, does not study at all.

 このように文頭からめりこんだ位置に挿入的に置けるのも副詞だからこそです。こんな位置に and や but が置けないのは当然ですね。

 その他の「接続副詞」と呼ばれる語はすべてこのような性質を共通して持っています。ある語が純粋に「等位接続詞」と判定されるのは唯一、

節 A (,) <接続詞> 節 B

 というふうに2つの節をつないで1文にしている場合だけです。

文A. <副詞> 文B

と2文に切り離されているとき、文Bの文頭に置かれたり、文中に挿入される場合は接続詞とは見なすことができず、副詞となります。

 また文 A はピリオドで終了させることもありますし、2文をセミコロン(;)やコロン(:)でつなぐ場合もあります。(このセミコロンというのはコンマより、ピリオドに順ずるもので、その前後の文は完全に切れた関係にあるため、あとの文は大文字で始まることもあります。

 接続副詞は単独で接続詞の働きをすることができますが、他の等位接続詞との組み合わせで用いられることも多くあります。

and also (そしてまた)
or else (さもなければ)
and then (さらにそれから)

 このように用いられた場合、前の and, or は純粋な接続詞ですが、それに続く also, else, then はすでに副詞としてのみ機能していることになります。

 一連の接続副詞は「先ず最初に副詞としての意味を理解」してください。それからそれが接続詞として用いられた場合の使い方になじむようにすれば理解がスムーズです。

That movie was interesting, also instructive.
その映画は面白く、それでいてためになるものだった。

 このような also は接続詞と見なすこともできますし、あくまでも副詞と見なしつつ本来その直前にあるコンマが and の機能を果たしているため and が省かれたという見方もできます。

That hotel was dirty, (and) besides expensive.
そのホテルは不潔で、それに加えて(宿泊料が)高かった。

besides は「be-(=by) + sideの所有格・副詞用法」に由来します。語源的な意味としては「その横にあって」です。上記例文なら「不潔」という事実がまずあって、「その横」に「宿泊料が高い」という追加事実があったことを述べています。

consequently は語形的にも「 -ly 」語尾の、いかにも副詞であり、「結果的に」という意味も副詞そのものです。

He did not study at all, (and) consequently failed in the exam.
彼はまったく勉強せず、結果的に試験に落ちた。

 この英文で and がなければ consequently は接続詞的に機能しているのは確かなので接続副詞と呼ばれるわけです。このように接続副詞は接続詞と副詞の中間的存在で、あえていえば「接続詞的にも用いられる『副詞』」だと言うことができるでしょう。そして「接続詞」的に用いられるときは等位接続詞の機能を果たしているということです。

else は単独で接続詞として使われることはまずなく、接続詞としては決まって「 or else 」の組み合わせで現れます。
 「or else」の「else」が脱落・省略して「or」のみで用いることはあっても「else」単独で節を接続する例はほとんどないようです。

Let's leave now, or (else) we will be late.
今すぐ出発しよう。そうでないと遅れてしまうぞ。

hence は「from here」を意味する henne という古い英語が副詞語尾の「-s」の発音を持てるように -ce のスペルが加えられて hence となった語です。従って、「ここから、今述べた理由を出発点として、したがって、ゆえに、ここからは、これからは」という意味になるわけです。かなり堅い単語であり、フォーマルなビジネス文書、法律関係や契約書などに見られます。平たく言うならば「 for this reason, from now, from this time, from this source, from this origin 」など複数の語の組み合わせで表現できます。

however についてはすでに「しかしながら」の意味で説明しましたが、純粋な接続詞の品詞として however は「どんなふうにでも」の意味も持っています。(これは接続副詞ではない用法)

I will help you however I can.
私にできることならどんなことでもお助けします。

 これは従属接続詞の例文なので、等位接続詞(接続副詞)としての however と混同しないように注意してください。

moreover(その上に、さらに)についても英英辞典は軒並み「副詞」の品詞のみを与えており、英和辞典では「接続詞的」と付記しつつ副詞の中に入れてありました。例文を当たってみてもも

He is a foolmoreover a coward. 
愚か者である上に臆病だ
Swimming here is against the rules, and moreover, dangerous.
ここでの遊泳は規則違反の上に危険だ

 とセミコロンなどの区切りの強い句読点をはさんでいたり、完全な副詞として用いられているものばかりでした。

nevertheless(それにもかかわらず)は「 never the less 」の3語が合体したもので、構造的に直訳すると「(今述べたことがあるのに)程度がより下がることはまったくなく」となります。

Nobody might believe what I say; nevertheless, it is true.
誰も私の言うことを信じないでしょうが、それでも真実なのです。

 つまり「誰も信じない」ということが、「自分の言葉が真実である」という程度を全く下げることはないのだ、という意味の副詞が neverthelessです。会話ではあまり用いられない堅い言葉です。

otherwise(さもなければ)は命令文の直後では「 or, or else 」との互換性があり、接続詞だと呼んでも構わない働きをしますが、一般的には副詞として or には置き換えられません。

Close the window, otherwise you will catch cold.
窓を閉めなさい。そうしないと風邪を引くよ。(or と交換可能)

Close the window. You will otherwise catch cold.(完全な副詞でorと交換不可)

so(だから、そういうわけで)は therefore と意味的には同じですが、ずっと一般的で現代口語でも普通に用いられます。接続詞 and との組み合わせで「 and so 」の形でもよく現れます。純粋な品詞としては副詞に属するので 「So, 」で文章を書き始めてもまったく構いません。

なおちょっと紛らわしい慣用的表現として次の区別には注意してください。
So what? それがどうした?だから何だというのか?
Then what? それからどうした?その次に何があった(ある)?

still が接続詞的に用いられるのは「それでもやはり」の意味のときです。純粋な接続詞ではありませんので、節を直接つなぐならコロン(:)やセミコロン(;)をはさみます。

He had not practiced at all; still, his performance was so great.
彼はまったく練習していなかったが、それでもその演奏はすばらしかった。

then は「それから」という和訳だけを理解の根拠にしていると and との区別さえつかなくなりますが、「 and then(そしてそれから)」と重ねて使えることから and は純粋な接続詞であっても then は副詞だと分かります。then を記憶する参考和訳としては「それから」よりも「その次に、そのときに」の方が副詞らしさが感じられてよいと思います。

therefore(それゆえに)は、数学的説明では頻繁に耳にする言葉です。また

I think; therefore I am.(われ思う、故に我あり)

 は哲学者デカルトの言葉として有名です。これは「Cogito ergo sum」というラテン語をそのまま英語に置き換えたものです。(cogito=I think, ergo=therefore, sum=I am)

yet(そうではあるが、それでも)は辞書によっては接続詞の品詞を与えています。

This is very good, yet it could be improved.
これは非常によりが、それでもまだ改良が可能だ。

 上記例文では「節, yet 節」の構造で純粋な等位接続詞の機能を果たしているといえます。これが

This is very good. It could be improved yet./It could yet be improved.

 ならこの yet は副詞としか見なせません。


 さて品詞としては本来「副詞」である接続副詞に多くのページを割きましたが、純粋な「等位接続詞」と言い切れるのは「 and, but, or, nor, for 」のわずか5語だけです。接続詞の機能をしっかり理解するには、まずこの5語について複数の辞書に当たり例文を調べ、さらにできるなら、英語圏の英語サイトのみを対象にオプション指定してネット上の多くの例文にも触れてみるとよいでしょう。

 また中学生の方であれば「and, but, or」の3語だけをしっかりと習得しておけば今は十分です。



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