英語で悩むあなたのために
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251. 従属接続詞(Subordinate Conjunction)

252.単文、重文、複文

 等位接続詞というのは、それをはさんだ2つの節同士が文法的には対等の関係があります。節 A が先にあり、従属接続詞をはさんで節 B が追いかけるとしますと、それぞれ単独でも成り立つ文章が2つあって、その「つながり方」を接続詞が助けているという関係にあります。

 しかし従属接続詞つながれる2つの節に「主」と「従」の関係があります。「従」となる節は大きな文に部品として組み込まれた存在であり、形としては「主語・述語」を含んでいて文のように見えてもそれは「大きな単語」のようなものです。

 1つの文に主語と述語の組み合わせが1回しか現れない、もっとも単純で基本的な構造を持つ文を「単文」といいます。

 単文と単文を等位接続詞でつないだものを「重文」と呼びます。2台の車両が連結器でつながれているようなものですね。

 これらに対して文法的な「入れ子構造」になっているものが複文です。 。

 単文、重文、複文の違いはよく右の図の機関車に例えられます。
「主語(S)と述語(V)」を含んだ節が「機関車」だとすると、
 単文は1両の機関車だけがある状態。
 重文はそういう機関車が「等位接続詞」という連結器でつながっている状態。
 複文は「従属接続詞」によってつながった貨車(名詞句や形容詞句、副詞句)に別の小さな機関車が乗せられている状態というわけです。

(a) He studies <hard>.
(b) He studies <because he wants to be a doctor>.

(a) は主語・述語の組み合わせが1度しか現れません。つまり単文です。述語となっている動詞を修飾する副詞として「hard」という語があります。

(b) では「hard」1語と同じ副詞の機能をする「because he wants to be a doctor」があります。この部分は機能は副詞ですが、その中に「he-wants」という主語・述語の組み合わせを含んでいますので「節」ですから「副詞節」と呼ばれます。

(b) の文には2組の主語=述語の組み合わせがありますが、(a) で「hard」が単なる修飾語であるように (b) の「because.....doctor」もまた修飾語に過ぎません。つまり「He studies」が「主」であり、「because....doctor」は「従」の関係です。because が「従属接続詞」という連結器に相当し、副詞句という貨車に「he wants」という S V が乗せられているというわけですね。

主節は単独でも成り立ちますが、従属節は単独では存在できません。レールに直接車輪を載せている車両は自力で走行できますが、貨車(従属節)に乗せられた状態の小さな機関車は、動力車両(主節)がないと走ることができません。後に貨車を引いていない単独の機関車(単文)はそのままでも走ることができます。

He studies. 彼は勉強します<単独でも意味が完結する
because he wants to be a doctor. 医者になりたいので<これだけでは文といえない

 従属接続詞は、「名詞節」または「副詞節」という貨車とつながるための連結器です。

名詞節の例:
I know <Tom>. 私はトムを知っている。
I know <that he is a famous pianist>. 私は彼が有名なピアニストだということ知っている。

 上の例では「that」が名詞節を導く「従属接続詞」です。

 ちなみに名詞節や副詞節は従属接続詞によって導かれますが、形容詞節については接続詞がありません。その代わり関係代名詞、関係副詞といった関係詞が接続詞的役割を兼ねることになります。

This is the house which was built by my father.  これは私の父によって建てられた家だ。(which = 関係代名詞主格)

 関係詞が接続詞と違う点は、それ自体が従属節の部品であり、上の例では従属節中の主語になっているということで、接続詞は単なる「ジョイント」ですから従属節の部品ではありません。つまり従属接続詞抜きでも従属節は完結した構造の文を構成しています。

I know [<that> he is a famous pianist ].

 従属節のthatがなくても「he is a famous pianist」は完全文として成り立ちます。だから「 that 」は接続詞です。

This is the house [<which> was built by my father.]

 従属節の which がないと「 was built by my father 」という主語の欠落した不完全なものとなり文として成立しません。だから「 which 」は接続詞ではありません。

 従属接続詞も単語1語でその働きをするものと、複数の語がグループとして接続詞の働きをするもの(接続詞句)があります。

 語、句の両方で一般的と思われるのは次の表にあるものくらいですので、これも限られた語数としてがんばってマスターしてしまいましょう。



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253. 従属接続詞一覧

 もちろんこれがすべてではありませんが、基本理解を固め、一般的な英文の読み書きにはほぼ十分といえる語を網羅しているかと思います。

 はじめてこの項目に目を通される方は以下のページを順にご覧になり、一通りの従属接続詞を学んでいただくことをお勧めしますが、そのあとは以下の表の単語から解説項目へジャンプすることで検索や復習に役立てていただけます。なお、ジャンプ先の項目からこの一覧に戻るリンクはありませんので、その必要がある際はブラウザの「戻る」ボタンを使って下さい。

従属接続詞 意味例
after のあとで
although ではあるが
any time するときはいつでも
as なので;のように etc
as far as の限りは
as if まるで、、のように
as long as しているうちは
as soon as するとすぐに
as though まるで、、のように
because なぜならば
before の前に
by the time 遅くとも~までに
even if たとえ、、でも
even though たとえ、、でも
every time するたびに
if もしも;かどうか
if only でさえあれば
in case 万一、、の場合は
in order that であるように
lest でないように
now that した限りは
once 一旦したら
従属接続詞 意味例
on condition (that) という条件において
only if の場合にだけ
provided (that) もし、、なら
providing (that) もし、、なら
rather than というよりむしろ
so (that) であるように
since なので;以来ずっと
suppose (that) もし、、なら
supposing (that) もし、、なら
than よりも
that ということ
though ではあるが
till するまでずっと
unless の場合を除いて
until するまでずっと
when するときは;したときは
whenever するときはいつでも
where するところに
whereas その反面、それでいて
wherever どこで、、しようとも
whether かどうか
while する一方で

 上の表は語、句を通じてアルファベット順に並んでいますが、解説は意味的な関連に基づいて順序を変えてお話することにします。



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254. that 

 従属接続詞として中学段階でも習う、もっとも基本的なものの1つがこの「that」でしょう。常に名詞節を導き、「~であること」に相当する意味を表します。
 that節は名詞ですから、主語、目的語、補語になることができます。

目的語を作る例

I think that he will like your present. 彼は君のプレゼントを気に入ると思う。

 直訳的には「『that以下であること』を思う」ということです。

I know that.. ~だと知っている
I said that .. ~だと言った

 など他動詞の目的語として節を導きます。

補語を作る例

This is a pen. と構造的には同じ文で「a pen」の位置に名詞節が置かれる場合です。

My opinion is that you should be more kind to others.
私の意見としては、君はもっと他人に親切にすべきだ。
The problem is that I cannot afford the entrance fee.
問題は、私には入学金が支払えないということだ。

 目的語を作る場合の that は、ほとんどあるいはまったく発音されません。発音されるとしても弱形発音 [ ðət ] が用いられ、書く場合でも文語体以外では省略されることも多くあります。

 ただし目的語となる名詞節を導くthat であっても「決して省略してはいけない」場合があります。

I know (that) she was born in France and that her father lives in Germany.
彼女がフランス生まれだということと、彼女の父親がドイツ在住だということを私は知っている。

 この文では know の直後にある ( that ) は省略可ですが、2度目に出てくる赤文字の that は省いてはいけません。なぜならそこに that がないと文意が変わってしまうからです。もし、赤文字の that がそこにないと、

I know (that) she was born in France. Her father lives in Germany.

 という2つの文を「and」でつないだだけになってしまい、「彼女の父がドイツ在住であること」が「 know 」の目的語ではなくなってしまうのです。そのため2つ以上の that 節を動詞が目的語としている際は、一番最初の that だけは省略可能ですが、2番目以降については、「動詞の目的語」であることを明確にするため、接続詞 that は省いてはいけないのです。

I know
----1, (that) she was born in France
----2, that her father lives in Germany
----3, that her mother lives in the US

 のように動詞の目的語となる that 節が複数連なっているときは「 A, B and C」と要素を並べるのと同様に

I know (that) 節 A, that 節 B, and that 節 C.

となり、最初の (that) 以外はどれも省略してはいけません。

 補語を作る that も発音は極めて軽くなりますが、書く場合は構造が分かりにくくなるため原則として省略しません。ただしカジュアルなメールの文章などくだけた文体では省略されることもありますが、その場合は「ここからが名詞節の始まり」だと分かりやすくするため、コンマで区切るのが普通です。

The problem is, I cannot affor the entrance fee.

 さて主語を作っている場合ですが、that 節というのはただでさえその中に主語・述語の組み合わせを持っているため通常どうしても長くなりがちです。そんな長い主語に対して短い述部が続くと頭でっかちで不恰好な文になります。

That I canot afford the entrance fee is a problem.
私に入学金を支払う余裕がないというのは問題だ。

 これでも文法的には間違っていないのですが、文章のバランスを取るために名詞節の代わりに仮の主語」として「 it 」を一旦置いておき、あとからthat 節で it の具体的内容を伝えるというスタイルが用いられます。

It is a problem that I cannot afford the entrance fee.

 人称代名詞「it」というのは本来、すでに現れた具体的な名詞を受けて、その名前を繰り返す代わりに用いられるものですが、そういう原則的な使い方があるからこそ、この「it ...that」が効果的となるのです。

 つまり「何を指しているのか不明な it 」がいきなり現れると、聞いている側としては「え?it(それ)って言っても何のこと?」という疑問を抱きます。そんな疑問を引き出しておいて、「主語の内容を保留」のまま述部を伝え終え、それからゆっくりと主語の具体的な内容を明かすという順序となるわけです。

It is a problem それは問題だ <え?「それ」って何のこと?
that I cannot afford the entrance fee. 私には入学金が払えないということ <ああ、それが問題なのか

 これは話者側の心理としても、「先に簡潔な結論」を口にしながら、その言葉を話しつつ、具体的な主語の内容を考えるという時間的ゆとりを持てるというメリットもあります。日本語の会話で「問題なんだよねー。つまりさー、私には入学金が払えないんだ」のような順序で話者の頭の中に言いたい言葉が浮かんでいるわけです。

 このように構文というは「どう和訳するか」のためにあるのではなく、「どう英語を使えばいいのか」、「どう英語を思い浮かべればよいのか」の指針として理解し、習得していくべきものです。



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255. now that 

 Now that I have made up my mind, I will never change my mind.
 こうして決心した限りは、決して私は気持ちを変えない。

 「now that」が2語で接続詞となるときは「~したからには、今はもうしたのだから」という副詞節を作るもので単独の that 節とはまったく異なります。このthatは脱落することがありますが、now は決して脱落したり省略されません。
 また直訳的には「now that=今は~だから」となることからもそれに導かれる内容は発言時点における「今」である必要があります。ですから

 (×)Now that he made up his mind, he was not allowed to change his mind.

 のような過去の内容には適しません。このような場合には

Once he made up his mind, 一旦決心してしまったら
Since he made up his mind, 決心してしまったのだから

 のように節の時制を拘束しない接続詞を使ってください。


 because 

 従属接続詞としては that と並んで最も基礎段階からでも習う重要語でしょう。実際、非常によく使われる単語ですね。

「 節 A (,) because 節 B 」の形式で「節 A (主節)の理由を節 B(従属節)が述べる」ものです。
 主節が先の場合、because の前にコンマを打つ文法的義務はないのですが、次のような例ではコンマがあるとないとでは意味が大きく変わってきますので注意が必要です。

I do not love him because he is rich.
彼が金持ちだという理由で彼を愛しているわけではない。
I do not love him, because he is rude.
彼は無作法なので、彼のことを愛していない。

 この違いは「副詞」の中でも解説しましたが重要なことなので再確認しましょう。

 上の図に示した通り、because の前にコンマがあるとないとでは「 not の勢力範囲」に違いが生じます。あくまでも文全体の意味によって決まることであり機械的なルールではありませんが、「否定を含む節」についてその理由を「 because 節 」で述べる場合は常にコンマを打つのが無難です。

I don't love him (,) because he is rude.  (愛していない。なぜなら無作法だから)
は従属節を前に出して
Because he is rude, I don't love him.  (無作法だから愛していない)
としても文意は同じですが、
I don't love him because he is rich.  (金持ちだから愛しているわけではない)
の方は
Because he is rich, I don't love him.
とはできません。こうすうると「金持ちだから愛していない」となり文意がまるで違ってきます。
同じ意味を保つためには
Not because he is rich, I love him.  (金持ちだという理由によるのではなく、愛している)
としなければなりません。

 実際の会話では読み方にも違いがありますし、しかるべき文脈・前後関係を踏まえれば誤解されることはまずないのですが、書かれた文章では、このコンマ1つがあるかないかで大きな誤解を招く可能性もあります。上記は代表的な例なのでよく吟味してしっかり理解していただきたいと思います。



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256. 時間表現の従属接続詞

(a) It was raining when I woke up. 基本語順:「主節」が先で「従属節」があと
(b) When I woke up, it was raining. 従属節を前に出した形。コンマで区切る。

 時を表す従属接続詞の最も代表的なものはやはり「 when 」でしょう。  もともとは疑問副詞として「いつ」を表しますが、「それがいつかといえば」の気持ちから接続詞としても用いられます。

 主節と従属節の関係は本来「主・従」の順序で現れるものであり、基本は (a) の順序です。情報順序としては「晴れていた。それが『いつ』かといえば私が目覚めたとき」という流れです。これは主節について「それがいつかを補足しておこう」という気持ちがあとから追いかけるものです。

 (b) の語順は先に「いつのことか」をはっきり伝えておいてから、そのとき何があったのかという本論に移る流れです。これは基本語順を変更しているため、従属節の終了時点でコンマによる区切りを示します。日本語の句点(、)は「息継ぎ」のような意味合いで用いられることが多く文法的義務とまで言えないところがあります(古い日本語には一切の句読点がなかった)が、英語では文章構造と密接に句読点が関わっており、文法的根拠により打たねばならないコンマというものがあります。

 同じ when であってもその前にコンマがあると少し変わってきます。

I was watching TV alone, when the phone rang.
私はひとりでテレビを見ていた。すると電話のベルが鳴った。

 このような「, when 」は「とその時」のような意味であり、等位接続詞に極めて近い働きをしているといえます。事実関係としては「テレビを見ていたら電話が鳴った」も「電話が鳴ったときにテレビを見ていた」もほぼ同じことだといえますが、コンマで前半が切れていることにより、「ここまでで1つの話が終わった」という感じとなります。読むときにもコンマの位置で間が空けられます。

 なお when は過去、現在、未来のいずれの時間設定にも用いることができますが、過去と現在については「実際に起きたこと、実際にそうしていること」が時間設定に用いられるので節の述語動詞は「直説法(事実描写の形)」となりますが、未来の時間設定の場合は「そうなる」と述べているわけではないので本来は仮定法現在が使われます。

When he come, please call me. 彼が来たら呼んでくれ (comeは原形。形式的、古い英語)

 ここで未来だからと「 When he will come 」にはできません。「he will come」というのは「直説法未来:現在における未来についての予測」ですから「彼は来ます、来るでしょう」と述べるものです。日本語でも「彼は来るでしょうとき」なんていかにも不自然であるのと同様、未来についての想像にすぎない「彼が来たら」は事実描写ではないのです。
 だから厳密には仮定法現在が用いられ、主語に関係なく述語動詞は原形となるのが本来正しいのです。しかし「he come」という「三人称単数主語を原形動詞が追う」というパターンが現代英語の習慣になじんだものには抵抗感があるため、「現在形で代用」されるようになりました。その結果、

When he comes, please call me.

 というのが現代英語では標準的です。
 言葉の背景や深い事実に無頓着で乱暴な説明しか書かれていない解説書だと「時・条件を表す副詞節の中では未来のことでも現在形を使う」としか書かれていません。それは厳密にいうと

「時・条件を表す副詞節の中では、未来のことは事実描写ではなく想定なので仮定法現在を使うのが本来正しかったが、現代英語では直説法現在で『代用』するのが普通になっている」

 というべきなのです。このあたりについて詳しくは「動詞」の「法:仮定法」を参照してください。

 as 

 「 as 」は日本語にすると非常に多くの訳語が可能であり、英和辞典ではこの語だけで数ページを割いていることも珍しくありません。ここではその中で when とほぼ同義の「~のとき」の場合だけをお話します。

Just as I was taking a bath, there was an earth quake.
シャワーを浴びていたら地震があった。

 when に比べると2つの出来事が同時進行した意味合いがあり、この例文だと地震の揺れの中でまだシャワーを浴びている姿がイメージされます。

 この同時進行の意味合いを持つ「~するとき」の意味から「~しながら」や「~するにつれ」という意味に延長されていきます。

As I climed higher, the air became colder and colder.
高く登るにつれて、空気はどんどん冷たくなっていった。

 as は多くの解釈が可能なため上手に使わないと文意が曖昧になる恐れもあります。「when」の代用として用いるのは as の例文に多く触れて、「when」ではいまひとつ自分の言いたいことが適切に表せないと感じたときにしましょう。when でも別にいいのだが、と思ったら最初のうちは無難に when を使えばよいのです。

 whenever, every time, any time 

 whenever (=at any time) の複合語で、「~するときはいつでも」の意味。

I feel like crying whenever I listen to this song.
この歌を聞くといつでも泣きたくなる。

 上記例文なら「 whenever 」を「 every time(するたびごとに、毎回)」に交換しても文意は変わりません。

Please come whenever you like.
いつでもお好きなときに来てください。

 こちらの場合は「any time(いつでも)」との置き換えが適切で、every time は適切ではありません(「来たいと思うたびごとに来てください」の意味になってしまう)

 なお whenever は疑問副詞として単に「when(いつ)」の強調形としても用いられますので混同しないようにしてください。

Whenever did you get married?
いったいいつ結婚したの?

 while 

 Make hay while the sun shines.
 太陽が照っているうちに干草を作れ(諺)

 これは「好機を逃すな」という趣旨の諺ですが、こういう while は「~しているうちに」の意味を表します。これが when だと「太陽が照ったときは干草を作れ」の意味となりちょっと伝わってくることが違ってきます。まるで「太陽が照っていないときは干草を作るな」というようにも聞こえますね。

 While I was asleep, he was studying.
 私が寝ている間に彼は勉強していた。

 このような while は「~している間に、~している間中」の意味合いですが、2つの対立的な内容をつないでいるときは、「一方は、、、で、また一方は~」とか「節A、しかし 節B」のような逆接的な接続詞としても機能します。

I was sleeping, while he was studying.
私が眠っている一方で彼は勉強していた。
私は眠っていた、彼は勉強していた。

 こちらの意味合いで解釈するのが自然な場合、このwhile を等位接続詞と見なすこともできなくはありません。(こういう線引きというのは意味や解釈によって多少のゆらぎ、曖昧さがあるものなのです。)


 before/after 

 前置詞としては「場所」の意味が基本で、その延長として「時間」の前後にも用いられたわけですが、接続詞として使われるときはもっぱら時間的な前後の意味にしかなりません。(場所の意味に解釈しようとしても無理があります)

Brush your teeth before you go to bed.
寝る前に歯を磨きなさい。

Don't eat anything after you brush your teeth. ( after you have brushed your teeth でも同様)
歯を磨いたあとは何も食べるな。

 この before/after も「時を表す副詞節」を導くものですから、when と同様に「内容が未来であっても述語動詞は現在形により(仮定法現在の)代用とする」のが現代英語の標準です。

You may leave here after he arrives here.
彼がここに到着したあとでなら君は出発してよい。
It will start to rain before she arrives here.
彼女がここに着く前に雨が降り出すだろう。

 since/until 

 ペアで使えば「~して以来~するまでずっと」の意味。until は口語的には「till」でも構いません。この意味に「from/to」は(前置詞ですから)使えません。

I was standing here since he left until she arrived.
彼が去ってから彼女が到着するまで私はずっと立っていた。

since 」は時間的な起点となる出来事を導き、何かがそのときからずっと続いていることを示します。強調的に「ever since 」の形でも現れます。

I have never heard of it ever since I was born.
生まれてこのかた、そんなこと聞いたことがない。

since 」は時間的な起点を示す意味から延長して、判断の起点としての根拠を示す使い方もされますが、because ほど「理由を示す」という明確な響きがありません。 as はさらに根拠の意味合いが軽くなります。根拠を示す意味としては because を使うのは大げさすぎると感じたら since節を使ってみてもよいでしょう。(because節というのはどちらかというと、「相手の知らない理由」を言葉として明確に伝える気持ちがあるのに対して、since/as はそれが弱まり、相手がすでに知っている理由を持ち出して「~だからね、~だしね」と添える気持ちだと考えればよいでしょう)

I feel so lonely since you're gone.
とても寂しい気持ちだよ。だって君がいなくなったからね。

untiltill に意味の違いはありません。音節数の多い until の方がより改まった感じがあるだけです。ただし、文頭では発音が明確であり相手に言葉として伝わりやすい Until が好まれる傾向があります。
 sinceの強調で ever since があるように until も前置詞として使うときは継続性の強調として「up until」という形があります。(例: up until 8 o'clock 8時までずっと)

You should not sign the contract until you have finished reading it through.
完全に最後まで目を通し終わるまで契約書にはサインすべきではない。

 このような場合の until は before でも構いません。またそのあとの「have finished」という完了形は「ちゃんとやり終える」の強調的ニュアンスを含みますが、単純な「until/before you finish reading」でも構いません。until, before, whenすべて「時を表す副詞節」を導いていますので、内容が未来でも「will」による未来形にはしません。

 until も直前にコンマを打って等位接続詞的に用いると、節の順序のまま時間的経過順序が感じられますので、「節 A, until 節 B 」で「節 A、そしてついには 節 B」という話の展開が伝えられます。要するにコンマが現れたときは、そこまでの情報を頭の中で一旦処理し終わってからゆっくり次に目を進めればよいのです。

He worked and worked, until he finally became sick.
彼はひたすら働き続け、挙句の果てにとうとう病気になってしまった。

 once 

 単に回数としての「1回」を意味するのではなく接続詞としては「1度~したら、した限りは、一旦~したら」の意味。これはもともと「if」で始まる節の中に副詞としてonceの含まれた節があり、強調でonceが文頭に出ながら if が脱落することで once それ自体が接続詞として確立したものです。

Once you have made a promise, never break it.
一旦約束したら決してそれを破るな。

なお文頭に once があるからといって常に接続詞とは限りません。昔話などは「Once upon a time(昔々、あるとき)」で始まることが多くありますが、これは単に副詞の「かつて、あるとき」です。

 by the time 

 3語から成る接続詞句ですね。「遅くとも~までには」という最終期限を表す接続詞です。「by」単独では前置詞としてしか使えませんので節を従えることができませんが、その目的語に「 the time 」を置くことで接続詞句になります。「the time」のあとには接続詞 thatがあり、これは省いても構いません。

My son will be taller than I am by the time (that) he enters college.
大学に入るころまでには、息子は私より身長が高くなっていることだろう。

 「 by the time 」は意味的に「 before 」と置き換えても文意は変わりませんが、「by the time」の方が「どんなに遅くとも~までには」という期限を意味する気持ちがはっきりします。
 「 by the time 」も「時を表す副詞節」を作りますので、その中の述語動詞は内容が未来でも「直説法現在による代用」がなされるのは言うまでもありません。



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257. 条件を表す従属接続詞

 if, if only, only if 

もしも」という条件・仮定を表す副詞節を導く接続詞としては誰でも知っている語だと思います。「条件」は事実描写ではなく、あくまでも言葉の上だけで何かを想定しているため、本来は未来の内容でも仮定法現在を用いましたが、現代英語では直説法現在で代用するのが普通です。(文語体などでは今でも直説法現在が用いられる)

 「もしも」の意味の if の用法は「動詞」の仮定法の項目も合わせて参照してください。

 「if only」と「only if」は単語が前後しているだけですが、意味は違います。

I would buy that if only I had enough money.
十分なお金がありさえすれば、私はそれを買うのだが。

You can take this medicine only if your fever is very high.
あなたの熱が非常に高いときだけ、この薬を飲んでよい。

 このように「if only」は「 if 」を強調したものであり、「~でさえあれば」を意味するのに対して「only if」は「if~の場合だけ」という意味。決して互換性があるのではありませんので注意してください。

 even if (=even though) 

 これが「even if / even though」ですと「たとえ~だとしても」という「譲歩」の意味となります。

The even will not be cancelled even if it rains.
たとえ雨が降ってても行事は中止されない。

「 if 」は条件を表す副詞節を作る以外に「~かどうか」という意味では名詞節も作ります。この場合、「時を表す副詞節」ではありませんので未来の内容なら普通にwillが使われます。

I don't know if you will like it (or not).
君がそれを気に入るかどうかは分からない。


 whether 

~かどうか」の意味の名詞節を作る「 if 」は「 whether 」と置き換えがききます。また、こちらの意味の「 if 」は文頭に置けません。文頭だと「もしも」の意味に誤解されやすいため、必ず whether を用います。ちなみに「whether」は「wh-」の語形からも想像がつくと思いますが、もともとは疑問詞で「which of two」を意味していましたが、疑問文を作る機能を失い今ではもっぱら接続詞として使われるようになりました。

Whether she was married or not was the main conern of the guys.
彼女が既婚かどうかということが男たちの主な関心事だった。


 provided, providing 

 「もしも」を表すのは if だけではありません。過去分詞、現在分詞に由来する provided, providing が that節を導く形でも「~だとすると、~であれば」の意味を表せます。

 これらはもともと分詞構文であり、さらには主語・述語を備えた副詞節から変形されたものです。

 provide の「必要なものを提供する」の意味から「情報を提供する、~だと想定する」の意味があり、

If it is provided that..... :that 以下だと想定されるのであれば
If we provide that....:もし that 以下だと想定するのであれば

 と that 以下を主語に取った受身の形と、人間を主語に取った能動の形で、いずれも「もしも~なら」の意味となることが背景にあり、そこから if が脱落して独立分詞構文(主節の主語と分詞の意味上の主語が一致しない慣用表現)となったのが、

Provided that...
Providing that...

 です。ですから過去分詞でも現在分詞でも同様に「もし~なら」の意味を表しますが、過去分詞を使った形の方がよりかしこまった響きを伴います。ビジネス文書などでは if の変わりにこの構文をよく見かけます。


 supposed, supposing 

 「provided, providing」と同様の背景による表現として「suppose(想定する)」の過去分詞、現在分詞もやはり「もしも~ならば、と仮定/想定するなら」の意味を表します。

What would have happened to me, supposed/supposing (that) you had not helped me.
もし君が助けてくれなかったとしたら、私はどうなっていたことだろう。

in case (that)

 さて「もしも」を表せる表現はまだあります。

Use this umbrella in case it rains.
万一雨が降ったら、この傘を使いなさい。
Take this umrella in case it rains.
雨が降る場合に備えて、この傘を持っていきなさい。

 同じ「 in case (that) 」でも、上の2つの例文ではちょっと意味が異なります。
 上は「 if 」とほぼ同等であり、if と置き換えても文意は変わりません。「just in case」と「just」が加わると「万一」という気持ちが強まり、「~の場合に限っては( only if, only when )」の意味にもなります。
 下は「 if 」との置き換えは不可であり、「in case」は「~の場合を想定して、~に備えて、もし~だといけないので」の意味を表しています。このあたり「if」より用途の広さがあり、ある意味、if 以上に便利な表現だともいえます。

 「 in case ( that ) 」に続く節も「想定、想像、仮定」を表す副詞節となるため、未来の内容でも willによる未来形にはしません。仮定法過去か、shouldが使われるか、仮定法現在の代用としての現在形が来るかです。

 「 in case 」は節を導く以外にも応用用途は広く、「in case of」という句前置詞でたとえば「in case of emergency(緊急の際は)」などとも使われますし、「 in any case 」で「とにかく、ともかく」の成句、「 in no case 」なら「いかなる場合もあてはまらない=決して~ない」という熟語的表現もあります。

In no case may the officers accept any bribe.倒置構文
いかなる場合においても職員は賄賂を受け取ってはならない


 on condition that 

「if...」のバリエーションはまだあります。
on condition that... 」は直訳的に「 that 以下という条件において」ですので、これも if 的意味の接続詞といえます。condition には定冠詞 the をつけることもあり、どちらも用途に違いはありません。やや文語的な言い回しでもあり、onはuponになっていることもあります。つまり

on condition that ..
on the condition that ...
upon condition that ...
upon the condition that ..

はいずれも同様に使えると考えて差し支えありませんが、the がついた場合は、that以下が特定の条件として指定されているニュアンス(=only if...)が明確になります。
 この接続詞句も「条件を表す副詞節」を導きますので「if」同様、内容が未来でも will未来形は用いません。

He taught me the trick on condition that I never tell anyone else how to do it.
そのやり方を他の誰にも言わないという条件で、彼はそのトリックを教えてくれた。

 unless 

 「もしも」的な意味を持ってはいますが、「もしも~でないなら」という、後に続く節の内容を「排除した場合」を表すのが「 unless 」です。これは「 if ...not 」と考えてもよいのですが、単純な互換性からいうと「 except that(~の場合を除いて)」と同等だと考えた方がより適切だと感じます。というのは「 if ..not 」による表現は節に仮定法過去が用いられることもありますが、「 unless 」に導かれる節が仮定法過去を含むことがないという完全互換性のない点、意味としても「 unless 」の方が「ある特定の場合を除いて、ある場合にならない限りは 」と、排除されるべき場合をより明確に限定しているニュアンスがあるからです。

Don't call me if you don't have anything important to tell me.
別に重要なことでなければ、電話してこないで。
Don't call me unless you have something important to tell me.
重要なことでない限りは、電話してこないで。

The road should be dry if it had not rained last night.
昨夜雨が降らなかったのなら、路面は乾いているはずだ。
これを「 unless it had rained 」とは言わない。「昨夜雨が降った場合だけを除いては」という意味に文全体がそぐわないことが理解できると思う。



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258. 逆接・譲歩の従属接続詞

 although, though 

although 」と「 though 」は意味としてはまったく同じ「~ではあるが」ですが、although の方があらたまった感じの語と言えます。ただしそれほど堅い文章ではなくても(口語であっても)文頭では「 although 」が用いられる傾向にあります。これは発音的により明確であることが主な理由です。

 単純な考え方としては「A 節 but B 節」が「B 節 although A 節」の論理関係にあると考えてよいでしょう。

She has not had any boyfriends (al)though she is beautiful enough.
彼女は十分な美人なのに今まで1人もボーイフレンドがいなかった。

 whereas 

although と同じように用いられる語に「 whereas 」がありますが、こちらは法律文書やビジネスの契約書などに現れるかなり堅い単語です。

She has not had any boyfriends, whereas she is beautiful enough.

though でつながれた文とほぼ同じなのですが、等位接続詞のように前の情報に後の情報が「相容れないもの」としてつながっていることを示します。また文頭に用いられたときは「 because 」の意味に用いられていることさえあります。一見矛盾するようですが、これは where+as の語源的構成が「そういう場所にあって、そういう場所にあるのに」を意味することを踏まえれば納得できます。「和訳」ということについて言うならば、主節、従属節の内容関係に沿って柔軟に考えるしかないでしょう。

 despite the fact that

 1つの事実を認めた上で「ではあるが」というのが「 despite the fact that 」です。主節と従属節の関係は although でつながったのと同じですが具体的な単語が盛り込まれているので「that以下という事実があるにも関わらず」と、より言葉が明確です。 the fact を省いた「despite that」も多く使われます。

Despite the fact that he had sereral kinds of anit-virus soft wares installed, his PC got infected.
数種類のウイルス対策ソフトを入れていたにも関わらず、彼のPCは感染してしまった。



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259. 目的を表す従属接続詞

 so that, in order that

 「 so that 節」や「 in order that 節」の形で「~であるように」の意味を表しますが、このthatは省略されることも多くあります。「so」単独で用いられた場合、等位接続詞と見かけ上は区別がありませんが、前後の意味のつながりから判断されます。また目的を表す従属節は直前のコンマの区切りがなく、後の従属節が前の内容の目的を表す関係にあることが分かりやすいようになっているのが普通で、節の中では意味的な必然性から「 can, could, will, would, may, might 」などの助動詞を伴います。

I turned off the light so (that) the baby could sleep well.
I turned off the light in order that the baby could sleep well.
(形式的)
赤ん坊がよく眠れるようにと私は電気を消した。
I turned off the light, so that baby slept well.
私は電気を消した。それで赤ん坊はよく眠った。


 lest 

 「 so that 」、「 in order that 」は「that 以下であるように」の意味ですが、「 that以下でないように( =for feat that )」という意味を「 lest 」という接続詞が表します。ただしこれはかなり古風な表現なので会話など通常の用途では「 so that 」を否定を含む節が追う形が用いられます。「 lest 」はその語自体が古風であるため that 節の中では現代口語ではあまり用いられない仮定法現在も使われます。

Hurry up so that you will not be late.
Hurry up lest you (should) be late.(古風な言い方。shouldをはさむのはイギリス英語)
遅れないように急ぎなさい。

「~しないように」は「~するのではないかと」という悪い予感や恐れを表し、古い英語では

I am afraid lest something might have happened to him.
彼の身に何かあったのではないかと心配だ。

 という使われ方もありましたが、現代英語ではこのような lest は「 that 」を用いるのが普通となっています。



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260. その他

 as far as / as long as 

 紛らわしい接続詞としてよく質問対象になるものですが、far は本来「空間的な距離」としての「遠く」を表すことから延長して「程度」を意味するのに対して long は「時間的な長さ」を表します。この違いが接続詞としての働きの違いにも現れます。

He has never been to the US, as far as I know.
私が知る限りでは、彼はアメリカに行ったことはない。

 もちろん far 本来の「距離の遠さ」を表す比較の意味でも使われますが、こちらの使い方の「as far as」は接続詞ではありません。

The hospital from here is as far as the school from home.
ここから病院までの距離は、家から学校までの距離と同じだ。

I will stay with you as long as I live.
私が生きているうちはずっと君と一緒にいる。

 これは「 I live 」という時間が続く限りはの意味。直訳的には「私が生きる時間と同じ長さの時間だけ」ということ。そこから「その状態である限り」と応用されます。

She will never love you as long as you behave like that.
君がそういう態度を取っている限り、彼女は君を好きにならない。

 こちらも単純に「同じ(寸法的な)長さ」の同等比較でも使われますが、やはりこの用法では接続詞ではありません。

This bridge is as long as that one (is). この橋はあの橋と同じ長さだ。

 つまり「 as far as 」は「程度の及ぶ限り」であり、「 as long as」は「状態が続く限り」と理解すればよいでしょう。


 as if / as though 

まるで~であるかのように」の意味。実際にはそうではないのに「~のようだ」の場合、導かれる節は仮定法過去となりますが、「実際にそうかも知れない」という気持ちなら仮定法は必要ありません。

You look as if you saw a ghost.
(実際に見たわけではないだろうが)まるで幽霊でも見たかのような顔をしている。

It looks as if it is going to rain.
どうもこの先雨になりそうだ。(雨が降るかのような空模様だ)

 than 

 古い英語では前置詞の用法もありましたが、現代英語では接続詞としてのみ用いられます。ですからたとえ than の直後に目的格があっても、それは「前置詞の目的語」ではなく、節の省略の結果、目的語の単語が残ったものです。しかし俗語的には than の後に本来主格が来るべきところまで目的語にすることが多いため次のような文では意味が不明確になることがあります。

(a) He loves you more than I.
(b) He love you more than me.

(a) は「彼があなたを愛している (He loves you) 」程度と「私があなたを愛している程度 (I love you) 」を比較して前者が勝っていることを表します。主格「 I 」は「 I love you」の主語だけが残ったものです。

(b) は「 me」が目的格ですから、文法的には「 he loves me 」の「he loves」が前半との共通部分として省略された結果と考えるのが本来正しく、その場合は「彼があなたを愛している (He loves you) 」度合いの方が「彼が私を愛している (He loves me) 」度合いより上である意味です。

 しかし上で述べたように現代英語でも「than を前置詞と勘違い」して目的格代名詞を置いてしまう傾向が口語、俗語にはあるため、(a) と同じ意味である可能性もあります。男女、人間関係としては当然しかるべき前後関係や背景があるので、現実にはそれほど意味の紛れは発生しませんが、唐突にこの文が現れた場合、解釈に戸惑うことになります。

自分自身が than を使う場合はできるだけ単語1つをポツンと置かずに、動詞を添えるなど誤解を招かない形で表現することをお勧めします。つまり

He loves you more than I love you.と省略しないで言うか
He love you more than I do. と代動詞 do まで添える。

He loves you more than he loves me. と「he loves」を省略しない。

 このようにすれば意味の紛れは発生しません。多少の冗漫さや言葉の繰り返しによるくどさがあっても、誤解されるリスクを回避する方が重要です。

 rather than 

 than の直前に副詞「 rather 」が置かれると「、、というよりむしろ~だ」、「、、、よりどちらかというと~だ」という2者を比較して「その差は微妙だがあえて判定すれば」のような気持ちが表れます。「 rather 」は副詞として「somewhat(幾分)、to some extent(ある程度は、多少は)」の意味を添えるものですが、「 A rather than B 」では「BよりもAに対しての評価の方がより根拠があり適切だ」という判断を示しています。

He is a composer rather than a singer.
彼は歌手というより作曲家だ。

 「 A rather than B 」では Aと B が文法的に等しい関係にあるため than 以下の節は重複部分が省かれた結果、単語しか置かれていないことが非常に多くありますが、それでも than はあくまでも接続詞であり前置詞ではありません。ですから than の後には(節を省略した結果としての)名詞以外の品詞が色々現れることがあります。

He broke my radio rather than (he) fixed it.
彼は私のラジオを修理したというよりは壊しただけだ。

You understand your friends by their defects(,) rather than by their merits.
長所よりも短所によっての方が友人を理解できる。

 where, wherever 

 本来は「場所に関する疑問副詞」である where は接続詞として機能する場合も「場所を表す副詞節」を導くのが基本です。

Where there's a will, there's a way. 直訳:意思のあるところに、方法はある
意訳:精神一到何事かならざらん(諺)

Please stay where you are.
今いるその場所にいてください。(そこから動かないでください)

 実際の「場所」の意味から抽象的に転じることもありますが、日本語でも「場合」という言葉があるのに似ています。

Where eloquence does not work, silent may work better. 弁舌を振るってもうまく事が運ばない場合は、沈黙した方がいいかも知れない。

where に強調の -ever が接辞されると「どこで(へ)~しても」という譲歩の意味が表されます。

I will follow you wherever you (may) go. あなたがどこへ行こう私はついていきます。

 as soon as 

 英英辞典的に定義すると「immediately at or shortly after the time that (「~したら直ちに」または「~してから間もなく」)です。古い参考書などには「するや否や」などとい現代日本人がほとんど使わないのではないかというような訳語を当てているようですが、「 節 A as soon as 節 B 」だとして、節 B の出来事が起きてから節 A が起きるまでは「即座、直後」だけでなく意外と間があってもこの表現は使われているようです。
 本当に「直後」といいたいのなら「the moment」を接続詞として使うと、まさに「~した瞬間に」という切迫した表現となります。

I will call you as soon as I arrive at home.
家に着いたらすぐ電話するね。

The moment I arrived at home, the phone rang.
家に着いた瞬間、電話が鳴った。

 従属接続詞はかなり数が多く、まだまだ他にもありますが、特に基本的なもの、重要で使用頻度が比較的高いものは概ね網羅したかと思います。ここまでの理解が十分であればその他の従属接続詞に出会っても理解は容易でしょう。なおここで紹介したものも含めて「自力で複数の辞書に当たる」手間を惜しまないよう、くれぐれもお願いします。一般学習者はもちろんですが、教員・講師などの方は、最低でも英和を2種類以上に加えて英英も複数と語源辞典なども併用して、それぞれの表現を感覚的にどうとらえればよいかを自らがしっかりと納得するまで調べてください。

 さらに辞書例文だけでなく、オプションを活用したネット検索で、現実に用いられている、最新の表現にもできるだけ多く触れてください。



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261. 相関接続詞

 接続詞の中には文中の他の語との意味的関連によりペアとして用いられるものがあります。これは等位接続詞、従属接続詞の両方について存在しますが、文章の中で前後に離れて配置された単語が「意味のキャッチボール」をしながら連携しあって構文を成り立たせています。このような単語の組み合わせを「相関接続詞」といいます。
both … and AとBの両方、、だ
either … or AかBのどちらかが、、だ
neither … nor AもBも、、、ではない
not only … but (also) AだけでなくBも
so -- that … あまりに~なので…
such … that あまりに~なので…
whether … or ...であるかどうか

 相関接続詞を構成する単語の中で純粋な接続詞は1つだけであり、もう1つは副詞であったりしますが、考え方としては「1つのまとまった接続詞」が文中に分散して配置されていると見なした方がよいと思います。


so .... that / such .... that

 「 節 A so that 節 B 」と「 so tha t」が連続する「~であるように」の意味とはまた別に、so, that が離れた位置にあって互いに意味の関連性を持っているものがあります。

He ran so fast that I could not catch up with him.
彼はあまりに速く走ったので私は追いつけなかった。

 語順に従って情報が伝達されていくという大原則に則って、この文を前から解釈していきますと、

He ran 彼は走った
so fast それほど」速く

で「so (それほど)」という副詞が具体的な「どれほど」を保留にした状態で現れます。その「『それほど』って、どれほどなの?」という聞き手の疑問を引き出しておいてから、あとで

that I could not catch up with him. 私が彼に追いつけなかったほど

 と so の具体的な内容が伝えられ、「『それ』ほど」が「『私が彼においつけなかった』ほど」という内容の代入が行われて意味が完結します。

和訳として
1、彼は私が追いつけないほど速く走った。
2、彼はあまりに速く走ったので私は追いつけなかった。

のどちらにしなければならないということはありません。別にどちらでもいいのです。公式的な和訳パターンにこだわって肝心の「実際の音声による英語情報の伝達」についての技能をなおざりにするのは本末転倒です。そこに述べられている出来事、事実関係などを語順のまま、まずは汲み取っていき、和訳する必要があるのなら、「理解した正しい事実」に沿って「自由に日本語に」すればよいのです。

 肝心なのは「和訳できる」以前に英語そのものが理解できていなければならないということを忘れないでください。

 ですから

He ran so fast that I could not catch up with him.

という英文を目にしたとき、最初から「彼はあまりに速く走ったので私は追いつけなかった」のような日本語習慣として自然な言い回しに転換しようとしないことです。和訳することで英文を理解するのではなく、「理解できた英文だからこそ和訳もできる」のです。

 どんな複雑そうに見える構文を使った英文であっても、常に例外なく、語順のままに情報を汲み取り続けてください。一定の区切りごとに汲み取られた情報と、それに続く情報との間にどういうつながりがあるかを意識して読み進めさえすれば、こなれた日本語の和訳を逐一しなくても、より正確に英文の意味がまず理解されます。

 「 He ran 」 まで読んだ時点で「ああ、彼は走ったのか」と分かればよいのです。その「納得」に続いて「どこまで走った?」とか「どんなふうに走った?」というあとの部分とのつながり方についての「疑問」が思い浮かぶでしょう。話の流れから「次はこういう内容が来るんじゃないか?」という「予測」を持ちながら目を先に進めます。

so fast が見えたとき、「ああ、彼が走ったのは、『それほど速く』だったんだな」と新たな納得がもたらされます。その納得の直後に「それほどってどれほど?」という疑問がまた沸きます。そういう疑問を持ちつつも、「おそらくこういう情報が続くのではないか」という、ある程度の「予測」を持ちつつ次の情報を待ちます。

 するとその疑問に答えて

that I could not catch up with him.

 が続きますので、「ああ、彼が走った速さというのは『私が彼に追いつけなかった』という程度だったんだな」と納得され、文章の情報がすべて漏れなく、正確にあなたの頭の中に注ぎ込まれ終わるわけです。

 初歩の段階では英文に含まれる単語の意味を日本語の助けを借りて理解しながら、それでも英文の語順に従って読み進められます。やがて上達するにつれて、単語単位の和訳を思い浮かべる必要も徐々になくなっていきます。これが「英語で考えている状態」です。まったくの初歩の時点であっても「単語の意味」は日本語の助けを借りていますが、情報順序は英語のまま汲み取れていれば「50%は英語で考えている」といえるのです。

 しかし語順に従って読み進めることをせず、いきない「ここは後ろから訳して、、」などと「和訳結果だけを追い求めている」と、それはまったく英語で考えてはおらず、英文を読んですらいません。そんな人が読んでいるのは「日本語を記号化して順番をかえたパズル」に過ぎないのです。そんな作業にどれほどの時間を費やしても「まったく英語の勉強、訓練などしていない」のですから永遠に英語が使えるようにはなりません。さらにいうなら「発音軽視、和訳偏重の授業は英語の授業ではない」のです。

 それが書かれた英文であるなら、文の後の単語に目をやったあとでも前の単語はまだそこにありますから見ることができますが、それが音声による伝達(つまり実際の会話)だったらどうでしょう?相手の声は発せられたそのときにしか聞こえません。次の単語が発せられたときにはもう前の単語は聞こえなくなっており、「書かれた文章で目を戻す」ことはできても「話された文章で耳を戻す」ことは不可能です。当然のことですね?

 たとえ書かれた文章であっても、それは音声の文字による記録ですから、英文を理解するときは文字を音声に転換して意味を汲み取るのです。音声による伝達が理解されていくメカニズムと、書かれた英文を理解していくメカニズムはまったく同じなのです。同じメカニズムに従って理解しなければならず、それを行っていれば、書かれた英文の読解を通じてでもリスニングやスピーキングの訓練要素が沢山含まれているのです。

 常々「直読直解」という英文の読み取り方をお勧めしていますが、相関接続詞を含むような英文こそ、この「語順に従って意味を汲み取っていく」読み進め方が極めて有効になります。

 さて「 so...that 」の「 so 」は「 very 」と同じ副詞ですが、単に「とても」と強調するのではなく「それほど」と何かを引き合いに出して具体的にその程度を語るのが「so」です。

 「 so 」とよく似た働きをしますが、形容詞として名詞にかかるのが「 such(そんな、それほどの)」です。

She is such a beautiful girl that every man she passes by looks back at her.
その横を通り過ぎる男性の誰もがあとを振り返るほど、彼女は美しい女性だ。

She is such a beautiful girl 彼女は「そんな」美人だ
ここまでで「そんな美人って、どんな美人だ?」という疑問が沸きますね。
それを受けて「それはthat以下ほどだよ」と続いてきます。

that それはどれほどかということ、次に述べるほどである
every man どの男も<どんな「男」?
she pases by 彼女がそばを通過する
その「彼女がそばを通過する男」がどうしたの?
looks back 後に視線を向ける<何を見るため?
at her 彼女に対して

 このような順序で情報が連鎖処理されています。
 英文の読解に強くなるため、スピーディでなおかつ正確に英文を読みこなせるようになり、同時にリスニング能力の基盤を固め、スピーキングの際に「英語としてどんな順序で言葉を思い浮かべればよいのか」について適切な習慣を身につけるためには、このように語順に従って英語の情報連鎖の特徴に慣れていく必要があります。

 英文そのものを理解しようとするときは上のように無理ない一定の区切りごとに日本語の助けを借りても構いませんので、前から後へと語順のままに意味を汲み取り続けます。区切りと区切りの間には、そこまでで分かったこと、次に続く部分との関係はどうなっているかを「陰の声」として確認してみるとよいでしょう。特に初歩の段階では逐一これを行ってください。この陰の声を適切に言えることが、英文の文法構造を正しく理解しているかの証明となります。

 学校の授業でもテキスト音読と和訳という型にはまった授業展開ではなく、直読直解による、小単位に区切った「そこまでの意味」と次とのつがなりを確認する「陰の声」を言わせるようにして英文を読み進めさせるべきです。このように読み進めつつ、ピリオドまでの解釈が終わったら「じゃあ、自然な日本語の言い回しとしてはどういうふうに言えばよいか」を別に考えさせても構いません。それは「日本語表現能力」の勉強としてであり、「適切な和訳もできるかどうかの確認」に過ぎません。中学初歩など英語以前に日本語の言語能力も発展途上な学習者に対しては、「英語の授業を通じて日本語も学ぶ」のは意義のあることだと思います。

 しかし英語の授業なのに「結局日本語しか学んでいない」となると問題です。英語と日本語を折りに触れ比較してみることで、それぞれの言語文化の深い理解につなげたり、日本語だけを学んでいては気づかない日本語の特徴に気づいたりすることは大変有意義ですが、「英語が使えるようになる」という目的を常に忘れないようにしなければなりません。理想的には「最後は部分和訳などの日本語の補助すら必要なくなる」ことが目標です。知らない英単語を「和訳」で理解していた段階から、「他の平易な英語で言い換える」ことで理解する段階に進んでいくのです。これは最低でも高校中級以上でないと困難かとは思いますが「誰にでも必ず到達できる目標」だということを理解してください。その目標に到達するためには、初歩から適切な英語学習法を行い、正しく理解、知識、技能を積み重ねていくしかないのです。

 発音軽視の和訳ばかりにこだわる受験勉強方式でもだめですし、「聞き流すだけ」のような楽をしたくて現実逃避型の勉強(「勉強」とすら呼べませんが)でも当然だめです。

 比較的基礎段階からでもよく現れる相関接続詞の例としては

both ... and ~: ... と~の両方
either .... or ~:.... か~のいずれか一方
not only .... but (also) ~:....だけではなく~も
whether .... or ~:...なのかそれとも~なのか

 があります。both, either はなくても同様の意味を接続詞 and, or が持っていますが、both, either という副詞を先に置いてあとの接続詞と相関的に用いるとより分かりやすく明確になります。

both -- and ..../ either -- or ...

Do you speak (both) English and French?
英語フランス語(両方とも)が話せますか?

 この質問に「Yes」と答えられるのは「両方とも話せる場合」だけであり、英語は話せるがフランス語は話せない場合(その逆も)は、Yes とは答えられません。

Do you speak (either) English or French?
英語かフランス語(いずれか一方が)話せますか?

 この質問に「Yes」と答えてよいのは「英語だけが話せる」場合、「フランス語だけが話せる」場合、さらに「両方話せる」場合です。

I don't speak both English and French.
英語とフランス語の両方が話せるわけじゃない

 否定文には注意してください。「両方話せない」という言い方は日本語としても曖昧であり「どちらも話せない」意味にも聞こえますので、not both の否定では「両方が、、、というわけではない」という部分否定の言い方であることを明確にしましょう。

 なお部分否定というのは「先に否定であること」が伝えられ、その否定文の中に both が現れることで理解されるという「順序」も大切です。

× Both Tom and Betty did not come here.(不適切)

 というように both で一旦文を始めてしまうと、もうその時点で聞き手は「両方そうなのだ」という肯定の意味が確定されたと感じてしまいます。その後になってから not が現れると混乱してしまい、文意が汲み取れなくなります。これは語順のまま情報を脳に input している英語話者だからこそ起こる混乱です。視線を後から前に逆戻りさせながら英語パズルを解いている日本人にとっては「部品の数」さえそろっていれば意味が汲み取れてしまうため、かえってどこがいけないのかが理解されにくいのです。

上記のような場合は

Not both Tom ad betty came here.

 と必ず both より否定語が先行するようにしてください。

I don't speak either English or French. 
英語フランス語も(どちらも)話せません

 この英文の意味は「どちから一方だけが話せない」のではありません。「こっちもだめ、あっちもだめ」という全文否定です。ここでも否定語が先で either があとという順序が大切です。

neither --- nor ...

 やや古い文体ですと「 NOT(either A or B)= neither A nor B 」と not(否定)が either と or の両方に分配され、

I speak neither English nor French.

 とも書きます。古風な表現なので通常の会話ではあまり使いません。

 否定語が先で either があと、という順序が大切ですから

(×) Either Tom or Betty did not come here.(不適切)は、
(○) Not either Tom or Betty came here.
(○:ただし古風) Neither Tom nor Betty came here. とすべきなのはもうお分かりですね?

 なお「Which do you like, tea or cofee?」と2者択一の質問に答えるときの

Either will do.

 は「どちらでも構いません」の意味です。「どちらか」と「どちらでも」は違うようで実は同じなんです。両方一度には成立しないが、片方だけならどちらでも成立したことになるのが either です。もし「どっちが欲しい?」に「Both」と答えたら「どちらでもいい」ではなく「両方ともいっぺんにくれ」に意味になりますからね。

not only ... but (also)~

 これはもうあまりに有名なパターンでしょうね。副詞「also(もまた)」は口語では省かれます。

He speaks not only English but (also) French.
彼は英語だけでなくフランス語話せる。

これは「話せる」ということが共通で「英語もフランス語も」で分岐しています。つまり共通部分である「 He speaks 」が but also の直後に省略されているものです。

That Amerian not only speaks Japanese but (also) reads and writes it.
そのアメリカ人は日本語が話せるだけでなく、読み書きまでできる。

 このように「A だけでなく Bも」のA、Bの対照により not only の位置は当然変わってきます。

 最初に「not only」が登場して「だけじゃない」と伝えられたとき、「他にもあるんだな」と聞き手は理解します。それに「 but (also) 」が呼応するので、「 not only ... but (also) 」全体で相関接続詞といわれるわけです。

whether --- or ...

 「 whether 」については従属接続詞の中ですでに取り上げましたが、相関接続詞としても取り上げておきましょう。
  名詞節として「---か...かということ」を意味しますが、文中であれば「 if --- or ... 」でも構いません。ただ if は「もしも」の意味にも使われますので文頭では必ず Whether にしなければなりません。

I don't know whether/if it will rain or not tomorrow. 明日雨が降るかどうかはわからない。

(○) Whether it will rain or not tomorrow is uncertain.
  明日雨が降るかどうか確かではない。
(×) If it will rain or not tomorrow is uncertain. whether の意味での if は文頭に置けない。「もしも」の意味との混乱を避けるため。
(○) Whether or not it will rain tomorrow is uncertain. 「 or not 」を whether の直後に置いてもよい
(○) It is uncertain whether/if it will rain tomorrow or not. 「 it..that 」同様に仮主語 it を先行させることもある。
(○) It is uncertain whether or not it will rain tomorrow. 文中でも「or not」は whether の直後に当然置ける
(△) It is uncertain if or not it will rain tomorrow. 「 if or not 」とまとめてしまう形はあまり使われない

「 whether (~かどうか)」の意味としての「 if 」による代用は文頭だとどうしても「もし~なら」との区別がつきにくいため避けられます。
 また「or not」は whether に導かれる節が長いと離れ離れになるため、whether の直後に置いてしまう語順もありますが、「 if or not 」とまとめてしまう言い方は検索でも非常に少ないヒットでした。「 whether or not 」からの類推で「 if or not 」を用いている人もいるようですが、「 whether or not 」の検索ヒット数の1000分の1程度のヒット数なので使用は控えた方がよいでしょう。


 これまで様々な等位、従属接続詞を見てきましたが、おそらく学習者の中には「なんだか同じような意味の接続詞が沢山あって使い分けがわからない」と感じた人もいることでしょう。
 事実としては「英語とフランス語が話せる」人がいるとして、それを何に主眼を置くか、何が当然でどこからが「プラスアルファ」と感じるかなどの主観やニュアンスの違いによって用いられる接続詞が違ってきます。またほぼ同等のことを言うのに言い回しがいろいろあるということでもあります。

He speaks English and French. 
英語、フランス語のどちらが前提でどちらが「さらにその上」というニュアンスはなく、ただ2つの言語が話せるという事実を淡々と述べた文ですね。

He speaks both English and French.
both が加わるだけで「なんと両方とも」という彼の能力への積極的評価が感じられます。

He speaks French, as well as English.
彼がフランス語を話せるという事実を先に述べ、それが「英語を話せる」という前提の上乗せとして表現されています。これは

He speaks Frensh, in addition to English.
と言ってもほぼ同等ですが、意味的には「英語が話せる」能力に「フランス語が話せる」能力が「上乗せ(addition)」されているという表現形式ですね。ただし「 in addition to 」は句前置詞ですので節を導くことはできません。「 as well as 」は一見同じように English が後にありますが、接続詞として「 he speaks English 」を導いており、重複部分の「 he speaks 」が省略された結果 English だけがそこに置かれているという違いがあります。

He speaks French, besides English.
これも表現バリエーション。「 in addtion to 」が「上乗せ」の表現であるのに対してこちらは「 besides (be[=by] + side + 's ) に由来しますので、「さらに横に追加」しているという表現上の違いがあるというだけです。

 様々な接続詞をうまく適切に使いこなせるようになるためには、日記でもメール交換でも何でも日ごろから多くの英文を書く機会を積極的に持ち「実際に使ってみる」ことです。間違えてもよいのです。間違えて誰かに指摘され、気づいてまた上達するのですから。単語でも構文でも新たな表現を習ったら、それを単なる「英文を読むための知識」にとどめず、自らを表現するポジティブな道具としてどんどん使いましょう。それが言語体験となり、自分自身の言葉を拡大していくことになります。



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