★超初心者・MIDI/DTM入門講座★

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<はじめの一歩>

 さてそれでは「Domino」を入手し、「解説サイト」に従って設定を済ませたところから話を始めます。


 忠実に解説サイトに従って設定を済ませていれば、Dominoを起動するとこのような画面になっているはずです。
 一番左の「トラックセレクト」では「Conductor」、「System Setup」に続いて「CH01」から「CH16」までのチャンネルが続いており、今「CH01」が選ばれた状態です。(もしこのトラックセレクトが画面に出ていない人は「表示」メニューから「トラックセレクトペイン」を選んで幅を調整してください。

 CH01からCH16までどれを選んでも今はまったく同じ(CH10だけは違う)です。
 とにかく早く「音を出したい」でしょうがもうちょっとだけ待ってくださいね。

 画面の「CH」の右の欄(これを「イベントリスト」といいます)には「Mea, Tick, Step, Event」と並んでおり、表示枠を右に広げてみると「Gate, Vel/Value」というのもでてきます。これらが先にお話した「音楽情報」の項目です。

 このイベントリストこそがMIDI情報の本当の姿です。まるでコンピュータプログラムのようですが、昔はこのイベントリストだけで音楽を作ったものでした。それがだんだんソフトも親切でわかりやすくなってきて「楽譜入力」や「ピアノロール」といった視覚的に音楽情報をつかみやすい直感的なインターフェースが開発されました。

 音楽を表すものというと「楽譜」がそれを正しく忠実に表現していると思われがちですが、そうではないのです。
 本当に「楽譜どおり」に演奏すると実に味気ない機械的な音楽になってしまいます。これはあとで実例をお見せ(お聞かせ)しましょう。

 イベントリストの項目について簡単に説明します。
 イベントリストの内容は「Domino」特有のものではなくMIDIシーケンサすべてに共通のものですから、Dominoを通じてこれらを理解することで今後製品版のDAWソフトなどを使うようになっても理解が実にスムーズになります。

Mea, Tick, Step

 これは「時間」を表します。音符なら「1小節の1拍目」のように表現されるところをMIDIでは
1、Mea(=Measure):「小節」のこと。これは楽譜で表現される小節とまったく同じです。
2、Tick, Step:小節をさらに細かく刻んだ単位です。それをさらに細かく刻んだのが Step。

 Dominoでは1小節を「1920」という細かい刻みに分割して「音楽情報のタイミング」を表します。
 この「1920」という数字はMIDIシーケンサによって異なります。1小節をどれくらい細かく刻んで把握するかのことを「分解能」といいます。この数字が大きければ大きいほど「微妙なタイミング」が細かく表現できるということになりますが、「1分120拍」の音楽だとすると1小節にかかる時間は4拍分ですからほんの2秒です。その2秒を1920に分割するほどの一瞬の時間が「1 Tick」ということです。

 トラックセレクトの「CH10」を選んでください。
 すると「ドラムエディット画面」になります。互換性の高い「SMF(Standard Midi File)」では「ドラムは10ch」と決められています。他のチャンネルでドラムを鳴らしてはいけないことになっています。今は「Windows内蔵音源」を使って音を出しますから、あなたが作るMIDIデータは同じWindowsを持っている人ならばまったく同じように再生されます。
 しかしもしあなたが他の製品の音源を使い、自分独自の設定で10ch以外にドラムを設定した曲を作っても、Windows内蔵音源でそれを再生する人には「まるで違う楽器」の音に聞こえてしまうのです。

 とにかく今は「ドラムは10ch」と覚えておいてください。
 一番右の広い画面(これをピアノロール・エディットといいます)はグラフ用紙みたいにグリッドが描かれていますね。  その画面左側には様々な打楽器の名前が出ています。他のチャンネルではここにピアノの鍵盤がありますが、ドラムエディットだけは鍵盤の変わりに「打楽器の名前」が並んでいます。

 画面上部を見ると「1Setup」から始まり「2Start」となっていますね。
 MIDIシーケンサでは「1小節目から音楽(楽譜情報)を打ち込んではならない」のです。それはMIDIシーケンサが「準備のための情報」を色々と最初に送る必要があり、それを1小節目を使っておこなうからです。

 ですから実際の音楽は2小節目から書き始めます。(1小節目の終わりあたりからならばOKです)

 じゃあいよいよ「」を出しますよ!(もう出してみたかな?)
 どれでもいいので「打楽器名」を右クリックしてください。するとその名前の打楽器が鳴ります。
 もし鳴らなかったら設定を間違えていますので最初にもどって「解説サイト」に書かれたとおりの設定をちゃんとしているかを確認してください。
 Dominoでは「右クリック」で音の「プレビュー」ができるようになっており、うっかり楽器名を左クリックすると楽器名が黒く反転表示になりますが、他の楽器名をまた左クリックすれば解除されます。
 さあ次々と楽器名を右クリックしてどんな音なのかを聞いてください。大したもんでしょ?これらの打楽器セットがあなたのパソコンの中に最初から入っていたんですよ。

 では次に画面中央上のツールバーから「鉛筆」ツールを選んでください。
 そして「36 Bass Drum 1(バスドラム)」の列を右に延長した「2 Setup」の真下の線上をクリックしてください。
 すると「ドン」というバスドラムが鳴りながらグリッドの上に丸い印が現れましたね。
 ここで間違えたとき(違う打楽器を選んでクリックしたとか、「2 Setup」の真下ではないところに丸印を書き込んでしまったとか)は、消しゴムツールに持ち替えて書き込まれた丸印を囲むようにドラッグすれば削除されますので、また鉛筆ツールに持ち直して正しい位置をクリックしなおしてください。(間違って置かれた丸を鉛筆ツールで正しい位置までドラッグし位置修正することもできます。)

 今、初期状態で「1分120拍」のテンポの「4分の4拍子」となっています。これはもちろん自由に変更できますが、今はこのまま進めます。
 2小節目(2 Start)にはやや濃い目の縦線が3本入っています。つまり1小節が4つに区切られているわけです。
 小節の第1拍目は最初の太い線の位置です。そこに今「36 Bass Drum」の音を入れました。

 2,3,4拍目にも同様に「36 Bass Drum」の音を書き込んでください。

 そして「Event List」を見てください。
 「Mea」が「2」、つまり「2小節目」の情報として「Bass Drum」が4つ追加されています。
 それぞれの「音の位置」は「Mea, Tcik」の順で「2, 0」、「2, 480」、「2, 960」、「2, 1440」となっていますね。この「0, 480, 960, 1440」というのが「1拍目、2拍目、3拍目、4拍目」を意味します

 ためしに「1拍目」の「0」の数字を選んで(黒い四角で囲まれる)、50と手入力してみてください。そしてグリッドの上の1拍目の丸印を見てください。ほんのちょっと右にずれたでしょう。
 このように手入力で「音のタイミング」を指定することもできます。これは大変重要な編集であり、現実の人間の演奏は決して機械のように正確ではなく、だからこそ微妙なノリというものが生まれるのですが、そういう「生の演奏」を表現するためにわざと微妙にタイミング調整をしたりもします。そんなとき先ず正確に音の位置を入力しておき、イベントリストの数値を書き換えて微調整できるわけです。



 一旦今書き換えた50を0に戻してください。
 そして「スペース」キーを押してみましょう。するとグリッド画面を左から右へと縦の線が動き始め、丸印のあるところで「ドン、ドン、ドン、ドン」と Bass Drum の音がします。今はたったそれだけしか打ち込んでいませんので、その音が終わると停止します。(曲の終了とみなされます)

 次に一旦バスドラムの音を全部消しゴムツールで削除してください。(あるいは鉛筆ツールのまま不要な丸をクリックしてDeleteキーでも削除できます。)
 そして図の通りに打ち込んでください。ここで使うのは「Closed Hi Hat 42(ハイハット)」、「Acoustic Snare 38」、「Bass Drum 1 36」の3種類です。

 今打ち込んでいるのは実際のドラムセットの中の左の3つの音です。
 「Bass Drum(バスドラム)」は足で踏むペダルで叩かれ低い音を出します。曲のビートを支える重要な役割をします。
 「Snare(スネア)」は太鼓の裏側にスプリングが張ってあり叩くとシャカシャカという独特の音を発します。リズムの「裏」を支えて音楽にノリを与える用途によく使われます。
 「Close HiHat(クローズド・ハイハット)」は2枚のシンバルが向き合って重ねられており、ペダルを踏むことで開閉され、閉まった状態のときスティックで叩くと短い音が、開いた状態のとき叩くと音が長くなります。クローズドの状態では「チャチャチャチャ、、、、」と細かいリズムを刻みます。

 打ち込めたらスペースを押して再生してみましょう。
 どうですか?「8ビート」の基本リズムが鳴りましたでしょうか。
 「チャチャチャチャ、チャチャチャチャ」というクローズドハイハットが一定のリズムを刻みながら、「ドン、タ、ドドン、タン」というふうに低音・高音の打音が心地よくリズムを作り出していますね。

 では画面上やや右の「繰り返し」ボタンを押しておき、「2 Start」の枠の部分をドラッグして黒い状態にしてから、またスペースを押してください。すると今指定した「範囲」を繰り返し演奏します。そのまま放っておけば文句も言わず永遠に正確な「1分120拍」のテンポで8ビートを刻み続けます。  スペースキーを押して演奏を止め、「繰り返し」ボタンを押して解除しましょう。


 「2 Start」の小節がまだ黒く選択されていますので、選択を解除します。方法は3つあります。
1、「編集>選択の解除」を選ぶ
2、「Ctrl+D」のショートカットを押す
3、「2 Start」以外のどこかを左クリックする

 このうち3の方法を取るとタイミングラインがクリックした場所に移動します。曲の冒頭に戻すため一番左の「1 Set up」の左ぎりぎりをクリックしてください。
 なおタイミングラインを右クリックでつかむと自由に左右に移動でき、入力されている音のプレビューが可能です。右クリックでつかんだタイミングラインはそれを離すと元あった位置に戻ります。

 さてところで、今マウスを使ってグリッドに8ビートの基本パターンを入力したわけですが、画面右下には棒グラフのようなものが見えると思います。プルダウンメニューには「Velocity」とありますね。これは「音量」、音の大きさのことです。そして棒グラフの長さは全部まったく同じになっており、それは数値でいうと「100」となっています。
 MIDIではあらゆるデータを「0〜127」の128段階で表現します。最も小さな音(まったく聞こえない)が0であり最大音量が127ということです。そして100がデフォルト(初期値)となっています。

 このまま、まったく「編集」をしないとあらゆるすべての楽器が全部100の音量となり、何とも味気ない機械的(機械なんですから)な音にしかなりません。
 「MIDIの音楽は機械的だ」なんて言う人は要するにこの状態のデータしか作っていないということです。何の編集、手直しもしなければ確かに機械的で味気ない音楽になりますが、ここから根気よく1つ1つの音について手作業で編集していきます。それは実に面倒な作業ですが同時に必要不可欠な重要な作業です。音楽の仕上がりをよくするも悪くするも、その地味で根気のいる作業をちゃんとやったかどうかにすべてかかっています。

 ハイハットの音を前から順に1つ選択(丸印を左クリック)しては、下の棒グラフの長さを微調整します。
 同じタイミングでバスドラムとハイハットが同時になっていますので、棒グラフが重なっており、どちらの音量を表すのかがわかりにくいです。ですから上の画面で丸印をまずクリックして選択し、イベントリストの数値入力をした方が編集しやすいでしょう。
 イベントリストにある「[42] Close Hi Hat」の「Vel/Value」の数値をテンキーで変更してみましょう。



 人間がハイハットで8ビートを刻むとき、決して同じ強さで8回叩くのではありません。
 上手な人なら手首を上下させながら「1,2,3,4」の「表拍子」で手首を振り下ろしながら、その「裏拍子」で手首を振り上げながらスティックを使います。その結果、「手首を振り下ろしながら叩く音」が大きな音、「手首を振り上げながら叩く音」が小さな音」となります。さらに「1、3拍目」が「2,4拍目」よりも大きな音となり、これで「人間らしいノリのある演奏」に聞こえるのです。

 サンプルとして「べた打ち(編集を一切しない初期値のままのデータ)」と「Velocity」の編集をしたデータを聞き比べてみてください。
 「データサンプル」の文字をクリックしてこの場で聞いてもよいですが、たった1小節なので右クリックでダウンロードしてみてDOMINOで開き「繰り返し再生」したり、データを目で見ていただければと思います。(せっかく共通教材ですからね!)

データサンプル1:初心者にありがちな「べた打ち
データサンプル2ベロシティの編集をした8ビート


 「楽譜上はまったく同じ」であっても、実際の人間による演奏をイメージしながらその音を描写することでMIDIという機械でも生演奏の雰囲気を十分だせるのです。

 「Bass Drum」にしても同様「ドン、ドン」というリズムの中で「ドン」の頭の「」は弱めになります。右足で床を「ドン、ドドン」とバスドラムを踏むようにまねしてみて、音量の変化に耳を傾けてみてください。「床を踏む強さ」の違いとして感じてもよいでしょう。



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