★超初心者・MIDI/DTM入門講座★

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<パンポットを使う>

 これまでの内容でできるようになったことは:
1、楽器の差し替え(音色変更)
2、ドラムセット一般楽器での基本的な音符の打ち込みと編集
3、Velocity, Pitch Bend, Expressionのコントロール
 で、この段階で皆さんはすでに「曲」の作成が一応できる状態になっています。
 すでに複数のトラック、Chに色々な楽器を指定して曲を作ってみた方もいることでしょう。

 今回は「パンポット」というものを使ってみます。
 音楽はやはり「ステレオ」で聴きたいですよね。ある楽器が右側から聞こえ別の楽器が左側から聞こえるなんていうふうに「楽器が左右どちらから聴こえてくるか」を調整するのが「パンポット(単に「パン」と呼ぶことにします)」です。

 パンは「右か左か中央か」という極端なものでなく「やや右より」などという微調整も可能で、うまく使えば演奏全体に空間的広がりを与えることができ、まるでライブ演奏を目の前にしているかのように楽器の演奏者の「位置」を聞く人に感じさせます。
 加えて音が鳴っている最中に「右から左へ移動」するとい特殊効果も与えられます。

 音が聞こえてくる「位置」をパン、あるいは「定位」ともいいます。

 パンの初期設定は「中央」ですが「CH10」のドラムセットの音の中には最初からなんらかのパンが振られているものもあります。

 もしクラシックのオーケストラをMIDIで打ち込みたいのであれば実際のオーケストラでどの楽器がどこに配置されているかをちゃんと調べそれに応じたパンを振ってやることになります。

 ポピュラー音楽などでは比較的自由にパンを考えてよいのですが、それでもおかしな調整をすると非常に不自然になってしまうことがありますので注意しましょう:

1、歌のメロディなど中心的存在は「中央」が基本。
2、バンド演奏では実際の演奏者の「立ち位置」からパンを考えるのもよい手です。
3、2つの楽器が同時に鳴るとき、それを左右に配置すると「音の分離」がよくなりそれぞれの楽器の旋律がしっかり聞こえますし、メロディが交錯して聴こえるので空間を感じさせる効果を生みます。

 ピアノのソロ演奏の場合でも「低音部が左、高音部ほど右」のように音域によってパンを変えると目の前にピアニストがいて演奏しているような臨場感を感じられます。(市販音源には「パンピアノ」という音域ごとにパンが変わる音色が入っていたりもします。)

 ではごく簡単な例でパンの設定をしてみましょう。

(事前準備)

 いつも同じ楽器ではつまらないので、今回はオルガン系音色の「バンク」も使って違う音を出してみます。

 今から選ぶ音はDOMINOを起動した直後では音が出ません。「Windows内蔵音源」に含まれているすべての音が出るよに少し準備作業をします。(これは「06.楽器の差し替え」の中でも解説したことです)

 まずトラックセレクトから「System Setup」を選びます。
 そして「141 GS Reset」をダブルクリックしてください。

 開いたウインドウの左下にある「テスト送信」のボタンを押して「GSリセット」の信号を Windows内蔵音源に送ってやります。これで音源が初期化され自由にすべての音色を選べるようになります。

 あるいはただスペースキーを押し(まだ何も「曲」が入力されていなくても)1小節目だけを「再生」することでこの信号が送られます。再生しても何も聴こえてきませんが、MIDIの情報には「音」に関するものだけでなく、このような「リセット」という重要な情報も含まれており、冒頭でそれを音源に送ることではじめて正常に音楽の再生ができるようになるのです。

(楽器の選択)

 それでは「CH01」にもどって楽器の選択をしましょう。
 最初出ている「PC:Piano 1」をダブルクリックして楽器の音色表を出します。

 「017-024 オルガン」を選び、次に最初の「017 Orgaen 1」、さらに一番右の「バンク」の欄から2つ目の「008 000 Detune Organ 1」というのを使ってみることにしましょう。ここで「バンク」の中の楽器がそれぞれ違う音で聞こえることを確認しておいてください。(正しくGSリセットがあらかじめ送られていれば「バンク」内の楽器の切り替えができますが、GSリセットを先にWindows内蔵音源が受信していないとどれを選んでも同じ音に聴こえます。)

ここから先はできればヘッドセットを付けて作業した方がパンを実感できます。少なくとも「モノラル」のスピーカーでPCの音を聞いているのでは何の意味もありませんのでステレオとして音が聴ける状態で行ってください。

 オルガンの音色になったらどこでもいいので2小節分の音符を書き込んでください。

 次にピアノロール下の画面で「L/R」と書かれたアイコンを押して「010 Panpot」の状態にします。

 これまで扱ったピッチベンドなどと似ていますが、初期状態が「64」であり、これが「中央」です。そして「127」が目一杯、「」が目一杯ということになり、その中間の数字だと中央から右・左の間の様々な位置となります。

(パンの変更)

 イベントリストの「010 Panpot」の文字をダブルクリックしてください。

 開いた「コントロールチェンジのプロパティ」の右上の「Value」を「127」に書き換えてOKを押してください。
 これはこの画面を開かず、イベントリストの中で「Value」を書き換えても同じですが、ウィンドウ左下の「説明」も読んでおいてください。

 すると左図上のように先ほど中央にあった青い線が一番上に移動しており、オルガンの音の定位(パン)が目一杯右に変わりました。スペースキーを押して音を出してみてください。ヘッドセットならはっきりと右側から音が出てくることが確認できるでしょう。


 さらにイベントリストの「Panpot」の「Value」を今度は直接「」に書き換えてみます。

 すると青い線は一番下に移動し、音の定位が「」となります。またスペースキーを押してヘッドセットの左側から音が聞こえることを確認しましょう。

 多くの場合、それぞれの楽器のパンは終始同じです。1小節目の設定の中でパンを決めたら曲の最後まで同じ定位のままであればイベントリストに「数値」で入力するのがよいでしょう。「64」を基準に「0−64−127」の範囲で色々な数値を入れてみて実際の聞こえを確認し調整します。

 ここでは演奏中に「音が移動する」効果を作ってみましょう。

 まず実験的に変更した「Panpot」の「Value」をイベントリストで「64(中央)」に戻します。
 そしてピアノロール下のウィンドウで最初の2拍分の長さを選択範囲としてから「/(直線)」アイコンを押してください。

 すると鉛筆ツールに切り替わりますので左図のように64から127に向けて右上がりのグラフにします。

 次にその右となりの4拍分(今の2倍)を選択範囲とし127から0まで下がるグラフを描きます。

 残りの1拍でまた定位を中央へ戻しましょう。
 残った1拍分を選択範囲として0から64に向かう右上がりのグラフを描いてください。

 グラフを描いているとき右下にそのときの「Value」が現れます。鉛筆ツールでは微妙な数値を把握しにくいことがありますが、ここを見て最後を「64」にしてください。でももしマウスを離す瞬間にちょっと Value が変わってしまったりしたらイベントリスト側で数値入力して修正した方が早いでしょう。

 イベントリストには大量の「Panpot」イベントが書き込まれているのがわかりますね。これは時間の経過とともにどんどん新しい「定位(パン)」が情報として現れているものであり、「音楽」には「楽器の音」だけでなくこのような情報も含まれているのです。楽譜入力でどうやってこれを表現できますか?無理ですよね。だからピアノロールイベントリストMIDIデータは作成・編集するべきなのです。

 上記解説で作成したオルガンのパンが移動するデータ
  MIDIデータ(SMF:6.39 Kbytes)


(注意)

 以上でDOMINOの基本操作の解説を終わります。
 このサイトはDOMIOのあらゆる操作方法を網羅するものではなく、全くの初心者の方がとりあえず使えるまでを目標に多くの機能の一部を紹介するものです。
 ここまでが理解できた方は必ずDOMINOのヘルプファイル(F1キーで表示されます)を通読してください。ここで紹介した以外にも様々な編集機能があります。効率的な操作を行う上で編集作業に用いられるショートカットや音符の削除、移動、複製など是非知っておくべき内容もまだまだありますので、ヘルプファイルの通読を強くお勧めします。

 またDOMINOについての理解を深めるため、冒頭でも紹介した次のサイトも合わせて通読・参照され、本サイトでの不足情報を是非とも補っておいていただきたいと思います:

1, TAKABO SOFT: DOMINO


2, 初心者になるための耳コピ講座



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