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★自然な球体マッピング★

この図を3Dで描いた球体にマッピングしたいのだが、、、。


 illustratorのCS以降装備された「3D」の機能は実に楽しいものです。本物の3Dグラフィクスソフトにはさすがに遠く及びませんが、簡易的とは言え、手軽にリアルな陰影のついた立体画像が描け、マッピングまで行えるのですから活用の場面も多くあります。

 今回は上の図を球体にマッピングしてみます。これは六角形をただ並べたもので、うまくマッピングできればゴルフボールやサッカーボール、ミラーボールなど色々描けそうですね。

 「なんだそんなもの。ただ3Dでボール描き、シンボル登録したその図柄をマッピングすればいいだけじゃないか」と思うかも知れませんが、それをやってみると「あれ?」という結果になるんです。まあとにかくやってみましょう。
 準備として上のような図を描き、グループ化して、シンボルパレットにドラッグ&ドロップし、シンボルとして登録しておいてください。



 先ずは円を描いてパスファインダーで左半分を削除して拡張。それに「Effect > 3D > Revolve」で球にします。
 マッピングの様子を真横から確認するため、傾きは一切なしとしてすべての数値は「」にしておきます。Preview にはチェックを入れておきましょう。
 そして「Map Art」のボタンを押します。

   登録しておいたシンボルを呼び出し、ウィンドウ左下の「Scale to Fit」ボタンを押します。これにより自動でサイズあわせされますが、六角形の集合のため周辺部にマップされきれない部分が残ります。球の表面をもれなくシンボル画像でマッピングするようアンカーポイントを引っ張って大きさを調整します。

 左の図の赤い破線で示した部分が球体の表面です。
 このようにシンボル画像をやや拡大して球体の表面が完全に画像で隠れるように大きさと位置を調整してください。また「Shade Artwork」にチェックを入れておいてください。

 さて、そうしてマッピングされた球体がこれです。
 陰影の美しい立体的な球体なのですが、ぱっと見てお気づきかと思いますが、六角形が均等にマッピングされていません。これが地球なら極地点に向けて図柄が集約されており、同じ大きさ・形の六角形で球の表面全体を覆う感じになっていないのです。
 考えてみれば当然のことであり、だから逆に世界地図はマッピングすると自然な結果になってくれます。

 じゃあどうすればもっと自然に六角形が均等配置されたようなマッピングができるのでしょうか?

 そのためにはいきなり球体にシンボルをマッピングするのではなく、一旦円柱にマッピングしたものを「ワープ」で円形に変えてやります。
 長方形を描き「Effect > 3D > Revolve」で円柱を作ります。もうこのあたりの手順は細かく説明しなくても大丈夫ですね?

 球は面が1つしかありませんが、円柱にはマッピングできる面が3つありますので、側面を選び、そこに球体にマッピングしたのと同じシンボルを適用します。

 本当は円周率からちゃんと円柱の高さを計算し、それに基づいて長方形の縦横の比率を決めておくのがよかったのですが、手抜きをしたため円柱が寸詰まりだったようです。シンボルを「Scale to Fit」ボタンで合わせてみると六角形が横にひしゃげていますので、今縦に引き伸ばし形を調整すると共に円柱の側面全体をシンボル画像が覆うように横幅も少し広げます。

 初期状態でついている角度をすべて0にして真横から見た図にします。そうしておかないとこのあと円にワープではめ込むときに都合が悪いからです。

 最初に作った球体と同じ大きさの円を描き、円柱と同時に選択します。
 そして「Object > Envelope Distort(エンベロープ) > Make with Top Object(最前面のオブジェクトに合わせて変形)を選びます。

 3Dの球体と比較して陰影がまだ不自然なので調整しましょう。
 普通にグラデーションをかぶせたのでは円の中心からしかグラデーションがかかりませんので、ひとひねり入れた方法で中心からずれた円形グラデーションを作ります。

 まず大き目の円を描き、それに円形グラデーションをかけ、その上に球と同じ大きさの円をずらして置きます。両方同時選択して、右クリックから「クリッピングマスク」を適用し、円からはみ出した部分を透明にします。

 これで単なる円形グラデーションではできない陰影の表現が可能となります。
 新規レイヤーにこの図を移動し、円柱から円にワープさせた図にぴたりと重ねてから、不透明度パレットで「乗算」モードにします。

 周辺の影が足りないので、さらに普通の円形グラデーションも作り、一番上のレイヤーに配置して「乗算」モードで重ねます。暗くなり過ぎる場合は、不透明度を適度に下げてください。

 いかがでしょうか。こうして比較してみると単に直接3Dの球体にマッピングした場合に比べて六角形の極地点でのゆがみがなく、より自然なものになっています。
 「円柱へのマッピング>円へのワープ」という2段階で作った右の図の陰影を調整するには、上で述べた方法以外に「グラデーションメッシュ」を使えるならばそちらの方がより思い通りに陰影を描くことができますが、それだけ説明するのにかなりかかってしまいますので、ここでは簡素な方法を取りました。

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