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213. 関係形容詞

 「関係詞」と総称されるものには「関係代名詞、関係形容詞、関係副詞」があります。
 「関係〜詞」というのは、「接続詞と他の品詞(代名詞、形容詞、副詞)の働きを兼ねている言葉」という意味です。これら3種類に下位分類される「関係詞」は、それらすべてをまとめて「構文」編の中であらためて取り上げる予定ですが、ここでも簡単に解説しておくことにします。

 まず「関係形容詞」の実例を見てみましょう:

(関係形容詞の例)

1, Do you have a friend whose sister is an actress? (whoseの先行詞は「a friend」)
(姉/妹が女優をしている友人はいるかい?)

2, Do you see that white house whose roof is red? (whoseの先行詞は「that house」)
(赤い屋根のあの家が見えるかい?)

3, I will give you what money I have.(whatは先行詞を持たない)
(少ないけどこのお金を全部あげるよ)

4, She was told not to go out at night, which advice she followed.(which adviceは前文の内容のうち「そのアドバイス」だけを引き継ぐ)
(彼女は夜間外出するなと言われ、その忠告にしたがった)

5, Whichever channel I turned to, I saw nothing but boring dramas.(which+ever:複合関係形容詞の譲歩の構文)
(どのチャンネルに合わせても退屈なドラマしかやってなかった)

 いずれの例でも「which(5だけwhichever)」はそれが用いれている「節の中」で形容詞として(名詞を修飾して)用いられています。
 関係詞が接続詞と「代名詞、形容詞、副詞」のいずれを兼ねているかは、関係詞が用いられている節の中の機能によって決まります。同じ関係詞であっても、節の中の働きによって「関係代名詞」になることもあれば他の関係詞になることもあります。

 関係形容詞の具体的な種類としては「whose, what, which」とそれぞれの複合関係詞である「-ever」が付加されたものの6つあることになります。

 ここは「形容詞」の章の中として「関係形容詞」のみを取り上げますが、むしろ「関係詞」としてすべての「関係代名詞、関係形容詞、関係副詞」をまとめ、それぞれの関係詞(who, which, that, what, as, than, but, whoever, whichever, whateverなど)1つ1つを項目とした方が、本当はわかりやすいと思います。その方が情報もすっきりとまとまりますので、「関係詞」という章をのちの「構文」編の中で独立させあらためて重点について詳細に述べたいと思います。(この項の内容と重複すると思いますが、それは構わないでしょう。)


<whose>

1、「my, our, your, his/her/its, their」と同列で「I」に対して「my」があるようにwho」に対する所有格(属格)が「whose
2、基本として「whose」は「人間」を先行詞としますが、「which」の所有格としても用いられ、「of which」の意味ともなります。

(1) Do you have a friend whose sister is a professional singer?
(お姉さんがプロ歌手をしている友達がいますか?)

(2) Do you see that house whose roof is red?
(あの赤い屋根の家が見えますか?)

 (1)は最も基本的な使い方で「a friend」を受けて「his/her」と同じ役割をしているもの。
 (2)は次のように書くこともできます。

(2-2) Do you see that house <of which the roof> is red?
(2-3) Do you see that house <the roof of which> is red?
<>の中は「the roof of the house」の「house」を「which」に置き換えたもの。「of the house(その家の)」を1単位として前に出せば(2−2)となり、「the roof of the house(その家の屋根)」までを1単位として「house」を「which」に置き換えれば(2−3)となるわけです。

 「whose roof」はwhoseそれ自体が、my, your, his herと同じ『限定詞』」ですから同じ限定詞である「the」と並べて用いることはありません。しかし「of which the roof」や「the roof of which」では、「the house」が「whichに置き換わっているだけなので「the roof」の「the」は消失しません。


<which>

 「which」は多くの場合、「物を先行詞」とした「主格、目的格」として用いられますが、ここでは「which 名詞」の組合せとして用いられる「関係形容詞」の場合を取り上げます。

 「which」には「所有格」として「whose」が用意されているにもかかわらず「whose 名詞」ではなく「which 名詞」の形を用いることがあります。次の例を見てください。

(1) She was told not to go out at night by Father, which made her feel lonely.
(彼女は父親から夜間外出するなと言われた。そのことが彼女をさびしくさせた)

(2) She was told not to go out at night by Father, which advice she followed.
(彼女は父親から夜間外出するなと言われた。その忠告に彼女は従った)

 「which(関係代名詞)」には「前の内容」を先行詞とする使い方があります。(1)では「父親から夜間の外出をするなと言われたこと」が、which の内容です。ここで「非制限用法(コンマで切ってつなぐ使い方)」のwhichは、この意味でしか解釈できません。
 それに対して(2)では、「which advice」となっています。上で述べた理由により「which」だけだと「彼女が夜間外出をするなと言われたこと」がその内容として解釈されてしまいますので、「advice」と組み合わせた「which advice(その忠告)」とすることで「夜間に外出するな」という「前の内容の一部」を受けていることがはっきりします。


<what>

 「what」が名詞と組み合わさって関係形容詞として用いられる場合、その意味は「all the 名詞 that ..」に等しいと言えますが、それに加えて「少ないが、わずかだが」のニュアンスを伴います。「little, few」などを言葉に出してそのニュアンスを明確にすることもあります。

(1) I will give you what (little) money I have.
(少ないけど私の持っているお金を全部あげよう)

(2) The father spent what money he earned on the education of his son.
(その父親は、わずかな稼ぎを全額息子の教育のために費やした)<これは「what he earned」も同じ意味

(3) She donated to the church what (few) books she had..
(彼女はわずかな冊数ながら持っていた本すべてを教会に寄付した)

 (1)や(3)で「little, few」がなくても文意に変わりはありません。


<whichever>

 「which」に強意の「-ever」が付加された形。「どちらの〜でも」という「譲歩」の意味を表す場合と、単に「which」の意味を強めただけ(「いったいどっちの」)の場合もあります。

(1) Whichever way you may go, you will find a happy place.
(どちらの方角に行こうと、楽しい場所が見つかるよ)

(2) Which ever book do you really want?
(いったいどちらの本が欲しいっていうんだ?)

 (1)の「whichever」を単なる「which」に置き換えることはできませんが、(2)は「ever」が疑問の気持ちを強めているだけですので、こちらでは ever がなくても文意に変化はありません。(なお(2)のwhichは疑問形容詞であり、関係詞ではありません)

 また「譲歩」の複合関係詞はすべて「no matter 関係詞」に置き換えることができます。これは
It is no matter(それ<仮主語>は問題じゃない)
に続けて何が問題でないかを「what, which, who, where など」以下で述べる形式から「it is」が慣用的に脱落したものです。
(1-2) No matter which way you may go, ...
(あなたがどちらの道に行くかは問題ではなくて=あなたがどちらの道に行こうとも)


 このように「名詞と結びつく形」であるためこれらを「形容詞の一種」に含めましたが、関係詞については「代名詞、副詞、形容詞」すべての機能とも「関係詞」として1章にまとめた方が、互いの関係性が理解しやすいですので、ここでは以上にとどめ、さらに詳しい解説は今後の「構文」編の中に「関係詞」の章を設けて解説する予定です。



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