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修飾語は、あくまでも「飾り」であり、あるとより詳しくなりますが、なくても文章の構造には何の影響も与えません。日本語で考えたとき、「私はりんごを
買った」と「私は赤いりんごを買った」のいずれも正しい文章ですが、「赤いりんご」のうち「りんご」の方を省いてしまうと、「私は赤いを買った」となり、
これでは文章として正しくなくなってしまいます。(「赤い」が「赤いの」であれば正しい文ですが、「の」という1文字があることで「(色々あるりんごの中
でも特に)赤いもの」という代名詞として機能するからです。)
英文として見てみます。
I bought a red apple. (複数なら I bought red apples.)
この「red」は修飾語なのでなくても文章としてはあいかわらず正しいままです。
ところで上の単数の文で、「a」という単語が入っていますが、(これも形容詞なんですが)これは省けません。
「飾り言葉は省いてもいい」と言ったばかりですが、そういう働きをしつつも、中には省けない形容詞もあるにはあるんです。「an apple
(redがないと a の直後はappleとなり、母音が続くので an
ですね。)」は、2語で1つの単語なみの働きをするんだ、というくらいに今は理解しておいてください。
「a/an, the」をまとめて「冠詞」と呼び、これは(名詞を修飾するので)形容詞の一
種なのですが、機能的に一般的な形容詞(red, beautiful, big
など)とはちょっと異なるところがあるため、独自のグループとして別に扱います。
確認しますが、「名詞(や代名詞」を修飾するという働きが「形容詞」です。形容詞には直接名詞を修飾する以外の使い道もありますが、それについては次の
項目で述べますので、「形容詞ってどういう言葉?」の理解としては「名詞(や代名詞)を修飾する言葉」と覚えておいて基礎としては問題ありません。
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上で「a/an」も形容詞の中に含まれると書きました。これについては学説により形容詞に含めないものもあります。
「限定詞(Determiners)」と呼ばれるグループがあり、これを独立した品詞として「合計9品詞」とす
る考えもありますが、このサイトでは日本の学校で一般に教えられている「8品詞」の立場から解説します。そして
「限定詞」を形容詞の中の一部として扱います。
「限定詞」には次のものを含みます。
1、冠詞:「不定冠詞
(a/an)」、「定冠詞(the)」
2、指示代名詞の形容詞用法(こ
のサイトでは「指示形容詞」と呼びます)
3、代名詞の所有格
4、不定代名詞の形容詞用法(こ
のサイトでは形容詞扱いです)
5、疑問限定詞
6、否定限定詞
Wikipediaによると「限定詞(げんていし)とは、名詞や名詞句を修飾する語であり、
文脈における名詞の役割を示す。名詞の示す物の性質を表す形容詞とは異なる。英語、フランス語、ドイツ語などの西欧諸語の多くで、限定詞は形容詞など他の
品詞と明確に区別される。」とあります。
使い方の重要なポイントとして同じく Wikipedia には「限
定詞は、一つの名詞に対して一つしか使われない。この点が形容詞と全く異なる。例えば英語の the
と my はどちらも限定詞なので、*the my car とは言えない。」と書かれています。(なぜ限定詞が「1つの名詞に対して1つしか使われない(連続的に現れない)」のか、その理由については、この先解説します。まずは大雑把に理解し、限定詞の具体例に触れることかは始めたいと思います。)
1の「冠詞」には「不定冠詞」と「定冠詞」があり、これは重要な文法事項として、この形容詞の章の中でも独立
して取り上げます。
2の「指示代名詞の形容詞用法」とは、「this(この)、these(これらの)、
that(あの)、those(あれらの)」のことです。これらの単語をあくまでも「this(これ)、these(あれら)、that(あれ)、
those(あれら)」という指示代名詞で
あり、名詞と結びつけて用いるとき臨時に形容詞的に使われているのだという考え方もあり、その考えにおいては「この、これらの、あの、あれらの」という意
味(<形容詞的)であっても品詞は代名詞のままとされています。
しかしこのサイトでは(学校で一般
に教えられているのと同様)、名詞と結びつく意味においては「形容詞」と見なすことにします。
3の「代名詞の所有格」と は「my(私の)、our(私たちの)、your(あなたの、あなたがたの)、his(彼の), her(彼女の)、its(それの)、their(彼らの、彼女らの、それらの)、whose(誰の)」のことです。これらの語についても「代名詞の格変 化形」としてあくまでも「代名詞」と考える方法と「名詞にかかっているのだから形容詞だ」とする考えがあります。このサイトでは後者を取ります。
4の「不定代名詞」と は「some(いくつかの、或る), such(そんな)など」を指します。これらについても本サイトでは名詞にかかる意味を持つときは形容詞として扱います。
5の「疑問限定詞」と は、whichのように「Which book do you like?」とは言っても「Which a book...」とは言えない疑問詞を指します。3に含めた「whose」も疑問詞ですから、こちらに含めてもいいわけです。
6の「否定限定詞」と
は「not any」の意味での「no」など。
このほか「数量詞」も限定
詞に含まれますが、「数詞」については「a one apple」や「the one apple」とは言えないくせに「the only one
apple」とは言えたり、「the two girls」と「theと同時に用いられる」ことや「a hundred
people」も「a」と同時に使われますので、ここでは数量詞を限定詞に含めません。(「every,
each」も数量詞なのですが、これは他のグループに含めておきます。)
事実、これら限定詞は
一般の形容詞(big, beautiful,
heavyなど)とは用法が異なるところがあり、同列に扱えない点を非常に多く含みます。その意味から限定詞と他の形容詞を切り離して別品詞とする立場も
充分理にかなっていると言えます。
詳しくはこの先述べますが、限定詞
は「叙述用法」を持ちませんし、「比較変化」もしません。限定用法的に用いられても限定詞は一般の修飾語のように省くことがで
きません。かといって文の要素でもありません。
つまり「限定詞」と呼ばれるグループに属する語は、非常に特殊な振る舞いをするのです。
従いまして、このサイトでは限定詞も(名詞にかかるという機能から)形容詞の一部に含める立場を取りはしますが、独立した「限定詞」の項目以外の内容に
ついては、他の一般の形容詞のみにあてはまるものとしてお読みください。今後の解説においても「形容詞は、、」や「修飾語は、、」などという場合、暗黙に
限定詞を除いて述べていることがあります。
あとあとの「形容詞」の解説をより分かりやすくするため、そして「限定詞」をそこに含めず解説ができるようにするため、先にこの限定詞を解説してしまう
ことにします。
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非常に多くの英語学習者が「難しい」と悩んでいるのがこの冠詞の使い方でしょう。
分かってしまうと何のことはない、実に簡単なものなのですが、体系的な基礎理解がないと確かに泥沼にはまってしまうものかも知れません。
ここでは中学生の方でも理解できる表現を心がけながら、できるだけ易しく、そして高校、大学、社会人になってからもその用法に迷うことがなく、「自分の言葉」として冠詞を正しく使いこなせるようになることを目指して解説を進めるようにします。
まず「冠 詞」とは何なのか?具体的に言えば「a, an, the」のことです。「a pen, an apple, the apple」と名詞と密接に結びついて使われる冠詞は、「形容詞」の中の一部と見なしますが、一般の形容詞と違って名詞と結びついても単なる修飾語 として省略できません。あるときにはなければならず、あるべき冠詞がそこにないと意味が変わってしまったり間違いになってしま うからやっかいです。
「冠詞(articles)」
とは「冠(かんむり」となる「詞(ことば)」と書きますが、大昔の英語にはまだ存在せず、歴史の中で用法が徐々に確立した機能です。「意味がある」といえ
ばあるのに、その意味が強く意識されず、冠詞そのものが持つ意味よりもむしろ「名詞と組み合わさってはじめて意味をなす」ところがあります。すなわち「意味よりも機能」が重要なユニークな語です。
考え方としては「修飾語+名詞」と並んでいると見なすより「冠
詞+名詞」で「ひとかたまりの名詞」と考える方が実践的です。だからこそ冠詞は(文の要素S,V,C,Oにはなれないくせに)
省略できないのです。
それではここから具体的な冠詞の使い方について個別に解説していきましょう。
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不定冠詞とは「a, an」のこと。中学では難しい説明をさけて「1つの、或る」という「意味から」覚えていると思いますが、「1つの」という意味では「one」があるのに、 なぜ「This is one pen.」や「This is one apple.」と通常言わず、「a pen」や「an apple」なのか。
まず大昔の英語にはまだ「冠詞」の用法が発達しておらず「an(当 時はaの上に横棒が引かれていた)」という単語が今の「one」と同じ意味の数詞として存在していました。(あとで説明する「the」もまだなく「se(eの上に横棒)」という語(指示代名詞thatに相当)が、今の英語の冠詞の役割を兼 ねていました。しかしそれは「必ずしも必要ではなく」まだ冠詞と呼べる状態にはありませんでした。
「an」がまず先に存在し、その後「1つの」という意味をより明確に強 調する語として「one」が、逆にその意味を持ち つつもそれを強く訴えるのではな く「弱まった形」としての「an」になり、それがさらに発音も弱まり 「n」が脱落して「a」が誕生したという経緯があります。
しかし「an apple」のように「an」の次に 母音が続く場合に限り、「nと母音の音の連結」が発音のしやすさとなり、そのまま生き残りました。すなわち「an」は 古い英語の名残りなのです。一方で「an」を子音が追いかける「an pen」のような形では「-n」が脱落し「a pen」となったわけです。
古い「an」の 弱形として現代英語の「a, an」が生まれた一方で、「1つの」という意味を明確に伝えるべきときのため「one」という単語も生まれました。「one」 というスペルからはちょっと 考えにくい発音ですが、これについても歴史的に様々なスペルを経て今のoneになった経緯があり、そこまで詳しく書く必要もないかと思いますので、これは割愛します。
簡単にまとめますと「大 昔の英語には『an』がまずあり、それが強形として『one』に、弱形として『a』になった。(母音が直後に来る場合だけ 「an」が生き残った)」 となります。
このように英語の歴史をひもときますと「a, an」に「1つの」という意味がもともと含まれていたが、今の英語では「冠詞」として特にその意味を強く訴えているわけではないので、通常「a, an」を含んだ英文でも、あえて「1つの」と和訳するのは冠詞の意味を不必要に強調した感じとなるため、冠詞は日本語に表さないということも分かってきま す。
冠詞の由来と大雑把な意味(弱い意味だということ)がわかったところで、さらに具体的な現代英語での冠詞の使い分けに進みます。
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This is a pen.の
意味はなんですか?
こんな中学1年生の最初の授業で習うような英文の意味を聞かれて「何をいまさら」と思うかも知れませんが、私は「和訳しろ」とは言っていませんよ。「意
味は?」と聞いているんです。この違いは大きいですよ。「文脈に応じた適切な和訳、翻訳」ができるためには、英語を英語のまま
緻密に意味を知ることが前提
となります。言葉に表れていないこと
まで、その表現から何がわかるのかを知ることが「意味がわかる」ということなんです。
この「This is a pen.」の「意味」は 「この世の中には『pen』という名称で呼 ばれるものが沢山(最低2つ以上)存在するが、 これはその中の1つ(一例)だ」ということです。
つまり「a/an 単数名詞」は「2 つ以上ある中の1つ」を常に意味します。これをしっかり心に刻んでください。もともとこの世に1つしか存在しないもの、今話題 にしている 範囲で1つしかないものには、「a, an」はつきません。「a, an 名詞」と口にしたら、それは自動的に「他にも同じ名前のものがある」ことを意味するのです。
(1) He is my father.(あの男性は私の父だ)
(2) He is a father.(あの男性は父親だ<誰の父親かは述べていない)
(1)の男性は話者の父親であり、たった1人の存在です。
(2)では「父親と呼ばれる男性」はこの世に大勢いて、彼もその中の1人ということです。
There is a pen on the desk.
「There is/are
主語」の構文は中学では2年生くらいで習うのでしょうか。まだ知らない方のために簡単に説明しておきますが、この「There」は「this,
that」などと見かけは似ていますが、代名詞ではなく副詞です。その中でも「文
頭に置いて物事の存在を漠然と示す副詞」と呼ばれており、「There
is/are 主語」で「(主語)が存在する」という意味です。
こちらの英文は「This is
a
pen.」に比べると少しだけ「1つの」の意味が強めになっています。(でも「one」ほど強くもありません。)
「This is a pen. 」の「a pen」は「或
るペン(a certain
pen)」の意味あいであり、「ペンという種類のもの(他の種類ではない)」であることが意味の中心にあります。
一方、「There is a pen on the desk.」の「a pen」は「one pen, not two or more」の意味あいがあります。
前者の不定冠詞を「種別用法(classifying
article)」、後者を「個別用法(individualizing
article)」と呼び、細かいところではこれを区別します。初歩段階の方は気にする必要ありませんが、次の英文を見てください。
These are pens.
(これを「These are some pens.」とは言わない)
There are some pens
on the desk. (これを「There are pens on the
desk.」とは言わない)
このように複数形になったとき「some」が半ば自動的に現れる場
合があります。
この複数名詞につく「some」は、かなり冠詞に近い働きをしているとも言え(まだ冠詞ではない)、複数にしたときsome
をつけるのか、つけないのかの区別は、単数のとき上記の「種別用法」だったのか「個別用法」だったのかによります。
簡単に言うと
「a pen」が「ペンというもの」
の場合、複数は「pens」と前に何もつかず(種別用法)、
「a pen」が「1本のペン」
の場合、複数が「some
pens」と
なるということです(個別用法)。
しかしこの区別は絶対的なものでもなく、
Firemen
are altruistic. (消防士は勇敢だ。利他的だ。)<「firemen」は「種別」(消防士というもの全般)
Firemen are
available. (消防士が待機している。出動可能だ。)<「firemen」は「個別」だがsomeがない。(消防士全般を指していない)
と個別用法でも複数でsomeを伴わない例もあります。(だからまだ「some」は冠詞と呼べないわけです)
あまり掘り下げすぎて混乱してもいけませんので、ここまでについては「わかる範囲」を押さえておいてください。ただし今後「a+単数名詞」を見たら「これは種別用法かな?それとも個別用法かな?」という観点からちょっと考えるようにしてください。そしてやがては感覚的にそのどちらかが一瞬で分かるようになって欲しいと思います。
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すでに述べました通り、「a, an」という不定冠詞は 「同じ名称で呼ばれるものが最低2つ以上ある」 名詞につきます。そういう名詞のことを「普通名詞」と言うのですが、現実の例を見ま すと普通名詞以外の名詞にも「a, an」がついていることがあります。
(1) I met a Mr.
Smith last night. (Mr. Smithは固有名詞)
(2) I received a mail
yesterday. (mailは「郵便」という物質名詞に近いもの)
(3) I ordered a coffee.
(coffeeは物質名詞)
これらについては「臨時に普通名詞に転用」されたものと考えます。
(1)は「スミスという名前の人」の意味で、それなら「この世に2人以上いる中の1人」という意味なのも分かりますね。特定の「スミス氏」はこの世に1
人
しか存在しないわけですが、「~という名前の人」の意味になっているときは、固有名詞の姿のまま同時に普通名詞でもある
けです。
固有名詞が普通名詞に転用される例としては
I want to be an
Edison in the future.(私は将来「エジソンのような発明家」
になりたい。)
=I want to be a great inventor like Edison.
This is a Sony.(こ
れは「ソニーの製品」
だ)
=This is a product of Sony.
などもあります。当然のことながら、この転用が許されるのは「極めて常識的に誰もが知っている固有名詞」に限られます。
「I
want to be
a
Kawaguchi.」と唐突に言っても「川口って誰?川口探検隊の体長?それとも近所にそういう名前の有名人がいるの?」となってしまいます(笑)。
「Shakespeare(シェークスピア)」や「Yasunari
Kawabata(川端康成)」なら「偉大な作家、文豪」として普通名詞にも転用できますし、「Honda」、「Kawasaki」、「Toyota」、
「Nissan」などなら「その会社の車やバイクなど」を意味する普通名にもなれます。
「この固有名詞は普通名詞に転用して通じるかな?」と不安に思ったら、「a geat writer like ~(~のような偉大な作家)」、「a product of ~(~社の製品)」などという無難な表現にしておきましょう。
(2)は一見「別にどこも変則的じゃないんじゃない?」と思うかも知れませんが、「a letter」や「a
poscard」と違って「mail,
email」は本来、「郵便」や「電子郵便」をまとめて意味するもので不
可算名詞です。しかし、「個別の郵便物」や「1通のメール」を意味して普通名詞に
転用されることもあります。(しかし「まれ」な方であり、「a piece of mail」とするのが無難ではあります。)
これも現実の用例を踏まえることが大切で、英語ネイティブでもない日本人が自由に不可算名詞を普通名詞に転用してよいというものではありません。(常々申し上げているように「文法から英語ができているのではなく、現実の英語の中に文法が見つかる」のですからね)
(3)のように物質名詞を普通名詞に転用できるのは、「状況から考えて特定の容器に入った状態」が常識的に
連想される場合に限ります。つまり「喫茶店やレストランで」コーヒーやビールを注文するような場合、カップや瓶に入ったものが無理なく思い浮かぶため「a coffee」で「a cup of
coffee」の意味として使われるのです。
この具体例については「現実に用いられているもの」を踏まえてください。勝手に自分の判断で「作り出してはいけません」。
このように本来普通名詞でない名詞に「a, an」がつくこともありますが、それは常に「臨時に普通 名詞に転用」されているのであり、逆を言えば「a, an」がついていれば、それは「a pen, an apple」並に解釈してよいということです。
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(1) Horses
are useful.
(2) A horse
is useful.
(3) The horse
is useful.
まだ定冠詞「the」の説明をしていませんが、ここにあげた3つの英文はどれも「馬という動物は役に立つ」という同じ意味を表すものです。
「種族全般」を指す言
い方として口語的には「無冠詞複数」がもっとも普通で、それについで「a 単数」、さ
らに「the
単数」と段
々文語的になってきます。
日常的会話で唐突に(3)を言えば「え?どの馬」と聞かれてしまうかも知れません。文語的表現はその前後の語り口を通
じて文語的な文章の中なら、そういう用法と理解されますが、ことわざ・格言でもない限り、日常会話で突然文語調の表現をまぜると混乱を招く恐れもありま
す。
(2)この「a」は「any」に近い意味を持っており「馬と呼ばれる動物であれば、そこからどの1頭を持ってきても」という意味合い により、「総称単数」と呼ばれる使い方です。ただしこの使い方はその名 詞が主語になるときに限られ、
(1) I like cats.
(2) I like a cat.
(3) I like the cat.
では(2)の言い方で「猫という動物全般」を指すことはありません。
この(2)はたとえば文脈として、ペットショップに行き、「どれにする?」と聞かれ
て「猫が(1匹)いい」と答えるような文です。
(1)は先ほどの馬の例同様「猫一般」を意味する最も普通の総称的な言い方です。
(3)は口語なら、すでに話題に登場した特定の「その猫」を指す意味に解釈されます。文語的に「代表単数」と言って「猫全般」を意味する使い方もありま
すが、馬の例で述べたようにそこで文語的な口調が出てくる必然性がないと「どの猫のこと?」と聞かれてしまうでしょう。
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本来一番大切な「発音」が説明の最後になってしまいましたが、不定冠詞の読み方についても押さえておきましょう。
「『 a 』 をなんと読みますか?」
と聞かれて「ア」と答えてしまうかも知れませんが、単語としてこれを読むと
[ ei ]
なんです。それが文章に組み込まれたとき、
[ ə ](子
音の前)
や
[ ən ](母
音の前)
となります。
通常、冠詞は「意味が弱い」単語ですから、文章の中ではこれら「弱形」
の発音がなされますが、特定の理由が
あって「強く冠詞を発音する」こともあります。
これについては冠詞の項の最後に「冠詞の『弱形』と『強形』」としてまとめます。
(「(2)発音」の章の「077.
文強勢(3)---弱形と強形」も合わせて参照してください。)
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