不定代名詞 ( indefinite pronoun ) とは

 文法書で「不定代名詞」の定義を見てみますと、「不特定の人や物を表し、また一定でない数量を表す代名詞」と書かれています。確かにそれで正しいのですが、この説明を読んで「ああ、なるほど、そうか」と納得できる人がどれくらいいるのかは疑問です。

 最終的には個々の具体例を見て「こういうものがそうなのか」とおぼろげながらつかめてくればそれでもよいのですが、ここではもっとすっきりハッキリと「不定代名詞」という概念を理解してしまうことにしましょう。なに、ちっとも難しくなんてありませんから安心してください。

 皆さんが聞き覚えのある文法用語で「不定」という言葉を含むものが他にもありますね?
 「 the 」のことを「冠詞」というのに対して、「a / an 」のことを「不定冠詞」というでしょう。つまり文法用語の「不定」には、それに対する「定」というものが対照になっているんです。
 「不定詞」という言葉も聞いたことがあると思います。これもまた実は「定詞」と対照されます。

 「」は「さだまって」ですから、何かが「はっきり決まっている」ことを意味する言葉ですね。それに対して「不定」は「さだまっていない」という意味。じゃあ、何がさだまっているのかいないのか?
 「 the pen 」という言葉が出てくれば、その pen は話者と聞き手でまったく同一のペンを指しています。「私が昨日文房具屋で買ってきた万年筆」という意味で the pen と言えば、聞き手もそれとまったく同じものを思い描きます。
 一方「 a pen 」といった場合、「この世に pen という名前で呼ばれる物は沢山あるけど、その中から任意に取り出した1つ」という意味になります。
 だから「This is a pen. 」をくどく和訳すると、「この世に pen と呼ばれるものは沢山ありますが、これはその中の一例です」という感じになるのです。
 これが「 This is the pen. 」といったら、「今話題にしているペンはこれですよ」、「これが今まで話してきた、まさにそのペンそのものなんです」という1つに絞った意味(=定)になります。

a pen or the pen

 Aさんが「I have a pen.」と言ったとき、Aさんが実際に所有しているペンは万年筆かも知れませんし、ボールペンかも、あるいは古風な羽ペンかもしれません。いずれにしても「いわゆるペンと呼ばれるもの」を持っていると伝えているわけです。
 それを聞いたBさんは、Bさんなりに「ペン」と聞いて自由にBさんにとっての普通に思い浮かぶペンを想像しています。Aさんが実際に持っているペンとBさんが思い浮かべているペンは同じである必要はありません。この場合の「a pen」が「不定名詞」です。それを代名詞で受けるとすれば one になります。

 しかし、Aさんが「I have the pen.」と言った場合は、それまでの話の流れからAさんとBさんが共通して同じ1つのペンを思い浮かべていなければならず、Bさんは「ああ、あのペンね」とそれをイメージします。この場合の「the pen」が「定名詞」であり、それを代名詞で受けると it になります。

 不定詞というのは「動詞の原形」がそのまま文章の中に組み込まれて使われる形のことです。その直前に to という前置詞をつける場合もあれば、つけない場合もあり、どちらも不定詞なんです。(つける場合を to-不定詞、つけない場合を原形不定詞とよびわけます。)
 定詞というのは、主語の人称や時制がその形に現れた動詞のこと。現在形だったり過去形だったりしますが、その形には何が主語で、どんな時制に使われているのかが、現れており、「ある決まった形(=定)」を取ります。
 不定詞は、主語がなんであろうと、文の時制がなんであろうと、そういうことの影響を一切受けず「原形」のままなんです。主語や時制によって形を定められないということから、「原形動詞が文章の中に使われる」場合を「不定詞」といいます。

 さて、文法用語での「定」や「不定」がどんな意味に使われているのかがわかってきましたので、今回の「不定代名詞」の理解に進みましょう。

 代名詞ですから、何らかの名詞に代わる言葉です。

(a) I have no pens. I need a pen.

(僕はペンを一本も持っていない。だからペンがいる。)

(b) I bought a pen yesterday. This is the pen.

(僕は昨日ペンを買った。そしてこれが、そのペンだ。)

 どちらの文にも pen が2回出てきますね。1回目は初めて現れるので、pen という具体的な名前を出すとして、2回目の pen を代名詞に置き換えてきましょう。

(a') I have no pens. I need one.


(b') I bought a pen yesterday. This is it.

 このように

a pen (不定名詞)= one(不定代名詞)
the pen (定名詞)= it(定代名詞)

 という置き換えが行われます。つまり「不定冠詞+名詞」を受けて使われる代名詞が「不定代名詞」であり、「定冠詞+名詞」を受けるのが「定代名詞」(それを通常は単に「代名詞」といっている)というと考えるのが基本となります。

 この組合せはそのまま複数形にすることができ

pens(複数不定名詞)= ones(複数不定代名詞)
the pens(複数定名詞)= them(複数定代名詞)

 ということになります。ここまでが納得できたら、
「不定名詞を受けるのが不定代名詞、定名詞を受けるのが定代名詞(一般的な代名詞)」という区別だと聞かされても、すんなり納得できるのではないでしょうか。

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ONE

I don't have a pen. Will you lend me one(= a pen)?

(ペンを持っていないんだ。貸してくれる?)

 この「 one 」が不定代名詞です。「 Will you lend me a pen? 」という代わりに「 a pen 」を「 one 」で済ませています。つまり基本としての考え方は「a/an + 普通名詞」に代わる表現ということです。(不定冠詞ごと意味に含むということに注目)

 人称代名詞の中に「 it 」がありますが、これは「すでに話の中に登場した具体的なもの」をさして用いられますので「the + 普通名詞」に置き換わるというのが、one との違いです。

Will you lend it to me? (1) I don't have a pen. Will you lend me one? 

ペンならどれでもいいから1本貸して

(2) You have a nice pen. Will you lend it to me? 

「そのペン」を貸して

one a/an + 普通名詞
it  the + 普通名詞

 このように人称代名詞が「すでに話の中に登場した名詞を指して、その繰り返しを避けるため」用いられるのに対して、不定代名詞は「どれを指しているかがはっきりせず」、しかし何のことかはわかっている必要があります。上記例では、少なくとも「ペン」という話題があるから「one」が「a pen」の意味だと理解されるわけです。これを唐突に Will you lend me one? (Will you lend one to me?) といわれても「何を貸せばいいのか」が相手にはわかりません。

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SOME

I have no butter. I need some.

(バターがない。また必要だ)

 これは「 butter 」という物質名詞を受けた不定代名詞「 some 」の例。最初の「 one 」は「 a / an + 普通名詞」に用いられますが、不可算名詞を受けるために one は使えません。そのため、someを用いるわけです。  「 it 」は可算名詞も不可算名詞も指すことができますが、「 one / some 」は使い分けが必要となります。

(1) Do you have butter? May I use it (=the butter)?

(君の持っているそのバターをそのまま使わせてくれる?)

(2) Do you have butter? May I use some?

(バターがあったら、ちょっと分けてもらえる?)

 この1,2はどちらも正しい英文ですが、意味合いが異なります。
 1だと「あなたが持っているそのバターを使ってよいか?」に加えて、まるで「それを使い切ってしまう」ように聞こえます。あるいは他にもバターを持っている人がいる中で「特にあなたのバター」を使いたいという意味にもなります。
 2は、あなたが持っているバターの「一部」を使い、残りは返すという意味がうかがえます。あるいは相手が持っているバターのかたまりをそのままポンと借りるのではなく、ナイフで少し切り取ってもらうような状況がイメージされます。

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A+形容詞+ONE

 最初の基本として「 one 」は「 a / an +普通名詞」に代わるものと述べましたが、one に形容詞がつくと、不定冠詞( a / an )が形容詞の前に姿を現します。

I have a blue car, but I want to buy a red one next time.

(今青い車を持っているが、今度は赤いのを買おうと思う。)

 この「a red one」は「 a red car 」と同じ。「red a car」という語順を取りませんから、形容詞 red よりも前に「 a 」が姿を現すことになります。

 さて、不定代名詞「 one 」は複数形「 ones 」という形もあります。「 one 」を「1つ」という固定的な意味で理解してしまうと「ones?1つの複数形?何だそれ?」となってしまいますが、意味として具体的な名詞の繰り返しを避けているのだという「機能」から理解する必要があります。

I need bigger ones. My shoes are too small now, so I need new ones (=shoes).

(私の靴は小さくなっちゃたから、新しいのを買わなくちゃ)

 この ones は「 shoes 」という複数形普通名詞に代わって用いられています。  「 I need new shoes. 」と普通に名詞を使って表現しても間違いではありませんが、英語の習慣で「名詞の繰り返し」はできるだけ(文意が誤解されない限り)避けるというものがあるため、名詞の繰り返しは極力避けて代名詞を使える箇所は使うというのが基本です。

This bridge is longer than that one.

(この橋は、あの橋よりも長い)

 こうしてみてみますと、「 one 」という不定代名詞は日本語の「~の、~なやつ」に非常に近いことがわかります。

the big one :その大きいやつ、その大きいの
the third one:3番目の、3番目のやつ

There are so many beautiful shirts. I wonder which one(s) I should buy.

(素敵なシャツがたくさんある。どれを買おうか迷ってしまう)

 ここで「 one 」と言えば「多くのシャツの中から1着だけ」を買うつもりであり、「 ones 」なら2着以上を同時に買う可能性もあることを意味します。

 なお不定代名詞「 one(s) 」は、「固有名詞」の直後や「具体的な数詞」と組み合わせては用いない習慣があります。

My house is smaller than Tom's. (Tom's oneとは言わない)


Bob has five books, but I have two. (two onesとは言わない)

 いずれの例でも「 Tom's (=Tom's house)」、「 two (=two books)」が代名詞になりきっています。

 不定代名詞には「 one(s), some 」以外にも多くの種類がありますが、「不定代名詞とはどういうものなのか?」という基本理解をここまでの例を通じて理解してください。

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不定代名詞の組合せ

one - another, some - others など

 これは非常によく用いられる便利な表現なので是非完全に習得していただきたいのですが、「多くの中から、1つ適当に取り出し、また次に別のものを取り出して、、」というような状況を表現するのに、one, another, some, others などを適切に組み合わせて表現する必要があります。

(1) There are two pencils on the desk. One is black, and the other is red.

(机の上に2本の鉛筆がある。1本は黒で残りのもう1本は赤だ。)


(2) There are some pencils on the desk. One is black, and another is red.

(机の上に数本の鉛筆がある。黒いのもあれば、赤いのもある。[ さらに他のもある ] )

combination  1は「全体の数が2」とまず分かっています。全体が2の中から、最初に1つを選ぶとき、選ぶ対象は「2つ(以上)ある」わけですから「 one ( of them )」となります。2つの中から1つを取り出してしまうと「自動的に残りは1つ」しかありません。決まった1つしか残っていませんので、「 the other 」と the をともなって other(他のもの)が用いられます。
 2では「全体の数が2よりも多い」となっており、そこから1つ( one )を取り除いても、残りはまだ2つ以上ありますから、「 an + other 」( other と呼べるものが2つ以上ある中の1つ)となります。an + other は習慣的に常に1語につづります。

 詳しいことは「冠詞」の項目の中でまた触れますが、「 the 」がついているときは常に「全部」を指します。1つだけでも、2つ以上でも、その範囲にある「すべて」を指すのが the の機能です。これをよく覚えておきましょう。

(3) There are 40 students in my class. Some (students) go to school by bus, and others (go to school) by train.

(うちのクラスには40人の生徒がいる。バス通学の生徒もいれば、電車通学もいる。[さらに他の通学手段の生徒もいる])


(4) There are 40 students in my class. Some are boys, and the others are girls.

(うちのクラスには40人の生徒がいる。何名かは男子だが、残りは全員女子だ。)

 3では全体の数が40。通学手段は「バス、電車」以外にも「徒歩、自転車」など他にもありますから、40人の生徒から「バス通学」の数名( some )を取り出しても「残り全部( the others )」が電車通学とは言えません。自転車通学や徒歩通学もいるでしょう。(実際に40人の生徒の通学手段が「バスが電車の2方法だけ」なら、言えます)
 つまり3の例では、「まだ全員の通学方法を述べきっていない」ことが分かり、さらに「 others go to school on foot 」などが続くことが予測されます。
 4では、生徒の性別として、男女2種類しかありえませんので、「数名の男子」を40名の中から取り出してしまえば、「残り全部が自動的に女子」となります。だから「 the others 」です。

 多くの全体から何かを順に取り出す言い方は、「 one, some 」、「 another, others, the other, the others 」を自在に組み合わせて表現できます。常に念頭におくべきは「これで最後の全部」となったとき、theがつくということです。

全体の数が2のとき:

 1つ目は one。2つ目は自動的に the other

全体の数が3のとき:

 1つ目は one。2つ目は another。3つ目(これで最後の1つ)は、the other

全体の数がたくさんのとき:

 最初に取り出すのが1つなら one。複数を最初に取り出すなら some。  2回目以降、まだ「その次」がある限り、単数なら another(または one )、複数なら others (または some )を繰り返し、最後の全部となったとき、それが単数なら the other、複数なら the others

 特に最後の例は、単数と複数が入り混じってもかまいません。たとえば、テーブルの上にさまざまな色のボールが雑然と散らばっているとしましょう。  そこから最初に「赤いボール」だけを探し出して取り除きます。
---もし赤いボールが1個しか混じっていなければ「 One is red. 」であり
---もし数個の赤いボールが見つかれば「 Some are red.」となります。
 次にテーブルを見渡すと、まだまだ多くの色のボールがあることが分かれば、取り出す作業は数回続くことになりますね。
 2回目として青いボールを取り出すとき、
---もし青いボールが1個しか混じっていなければ、「 Another is blue.」であり、
---もし数個の青いボールがあるなら、「 Others are blue. 」となります。
 以下同様に「 anotherothers 」によって表現しながらどんどんボールを取り除いていき、ついにテーブルの上には「あと1色」のみのボールが残されたとします。
---残る1色のボールが1個だけなら「 The other is black.
---残る1色のボールが複数あれば「 The others are black.
 としめくくられるわけです。

 このようにthe 」には「(1個でも2個以上でも)あと全部」の意味があることをよく覚えておきましょう。

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ANOTHER

 これまでの例で何度も出てきましたが、「 an + other 」が発音的な結合の強さからスペルとしても完全に1語として書かれるようになった語です。意味はもともとの「 an other」を引きついでおり、「 other と呼ばれるものが最低でも2つ以上ある中の1つ」ということです。another, other は、代名詞としても使われますが、そのまま形容詞としても用いることができます。

Would you like another cup of coffee?

(コーヒーをもう一杯いかがですか?)

 これは「今すでに飲んでいる(飲んでしまった)一杯」が one であることを受けて、それとは別の一杯( other )に不定冠詞 an がついたもの。another であるということは、「まだ続きある(あってよい)」ということを言外に含みとして持っており、「2杯目で終わりじゃなく、よければさらに3杯目も、、」というあとが続くことを意味します。
 これがもし

Would you like the other cup of coffee?

 と言うなら、最初から「全部で2杯しかコーヒーがない」ことを意味し、今飲んだ1杯のほか、「残っているもう1杯」も飲みますか?とたずねていることになります。

 さらに「 another 」は複数形をあとに従えることもあります。

I have read ten books, but I have to read another ten.

 これは「先に1つの『10冊』があり」、それとは「また別の10冊」という意味から another がついています。
 この意味から言うと、論理的には「 another + 複数形 」は「先に同じ数の複数」があってはじめて「さらに別の同数」が続くように使われるべきなのですが、現実には次のようにも用いられます。

I have read three books, but I have to read another ten.

 これは「 I have to read ten more books. 」と同じ意味。実際にはまだ「3冊」しか読んでいないので、「 another 」に先立つ「 one 」に相当する「10冊」が存在しないので、理屈から言うと another は使えないのですが、口語的にはこのように、単なる「もう~、更にあと~」の意味で another が使われることもよく目にします。

another five minutes A: Have you finished writing the composition?

(もう作文は書き終えたかい?)
B: Sorry, not yet.

(すみません。まだです。)
A: OK, then I'll give you another five minutes.

(わかった。じゃあ、あと5分あげよう。)

 なお考えてみれば当然のことですが、another は「 an + other 」から成り立つ語ですので、複数形( anothers )はありませんし、他の限定詞( the, my, that, those など)と組み合わさることも決してありません。


不定代名詞にはこれまで述べた one, some, another, others のほかに次のような語があります:

any, both, all, each, either, neither, none
someone, anyone, somebody, anybody, no one, everything
(複合形)

any, both, all, each, either, neither はそのまま形容詞としても使われますが、none とその他の複合形には形容詞としての用法はありません。

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SOME と ANY

 ここでは非常によくある疑問として、someany の使い分けについて解説します。ここは「代名詞」の項目ですが、この場で形容詞としての用法も合わせてみてしまうことにしましょう。(代名詞としての some / any は、「 some / any +名詞」の名詞が some / any に飲み込まれた(あるいは省略された)ものとして自動的に理解できます。)

 よく中学校の文法などでは、「肯定文に some を用い、否定文や疑問文では any を使う」とまるで機械的な決め事であるかのように覚えている人がいますが、これは決してルールなのではありません。中学段階の基礎として、「よく使われる例文」の対応を軽く述べただけの説明であり、現実には「 some, any 」はそれぞれ肯定文にも否定文にも現れることがあります。

 まずは中学校で習う基本的な考え方( some は肯定、any は否定か疑問)について、見てみましょう。

(1) There are some books on the desk.


(机の上に<数冊の>本がある。)

 この「 some 」は「 This is a pen. 」の「 a 」と同じように本来、和訳として言葉に出さなくてもかまわないものです。事実として「それが複数」であることさえ分かれば、「名詞の単複を言葉に表す」という英語の習慣によって半ば機械的に持ちいらえる語であり、言うなれば「不定冠詞 a 」の複数形のようなものなのです。

 発想を深く理解するために(1)の英文を別の日本語に和訳してみましょう。

「机の上には、<その数が何冊かは定かでないが、とにかく少なくとも2冊以上の>本がある」

 こういうことを述べています。話者が「ある本は複数だ」と理解しているのであり、それをいちいち言葉に出して和訳するかどうかは、前後関係などから判断して適切な日本語表現を選べばよいのです。「こう和訳しなければならない」などと固く考えてはいけません。

 すなわち「 some 」というのは、ぱっと見た目に「複数の普通名詞」があるとき、「 book 」を「 books 」にすることと連動して「 a 」が「 some 」になると理解してください。

 ちなみに「 I like dogs. 」と同じ意味で「 I like some dogs. 」とは言いません。この「 dogs 」は「無冠詞複数」で使うことによって「種族全般(<一部の例外があってよいが>犬というもの全般)」を意味します。  あえて「 I like some dogs. 」と言えば「基本的に犬はあまり好きじゃないが、中には私が好きだと思える犬もいる」というかなり消極的な意味となります。

 さて話を戻しましょう。(1)の「 There are some books on the desk. 」を否定にしましょう。つまり「正反対の意味」に書き直すのです。いいですか?意味として「正反対」にするんですよ。

 「数は分からないがとにかく何冊かはある」の反対は「1冊もない。まったくない」です。だから

(2) There aren't any books on the desk.

 となります。この「 not any 」とは、「1でもなければ、2でもなく、どんな数字もあてはまらない=要するにゼロ」という意味の「強い否定」を表す組み合わせです。もし(1)の英文にただ not だけを加えて

(3) There aren't some books on the desk.<不自然でまず使われない英文

 としてしまうと「机の上に数冊の本があるわけではない」という、なんとも意味不明な英文になってしまうのです。これは、not の機能として、

NOT → [ There are some books on the desk.]

 と [   ] の文を否定するからです。

This is not a pen. にしても
NOT→ [ This is a pen. ]=「これはペンである」というのではない。
が本来の構造です。だから「これはペンではない」となるわけです。

 ということは any 単独の意味がまずあるわけで、any books だけの意味をしっかり理解する必要があります。
 これについては、「 any book 」と「 any books 」という見た目にはほんのわずかな違いですが、意味が大きく違うペアを通して理解することにしましょう。

any book :どの本も、どれ1つの本をとっても、いかなる本であっても
any books :何冊の本でも、その数がいつくであっても本は

 こういう違いです。「 any +単数」では、「どれをとっても」という意味であり、「どれでもいい」というニュアンスを「 any 」が表しています。  それに対して「 any +複数」では、「数は関係ない。いくつでもいい。何冊でもいい」という意味を any が「積極的に」表しています。つまり「 any +複数」での「 any 」は「数に関係なく」というニュアンスを示すのです。

 ということは上記のそれぞれを否定するとどうなるでしょう?

not any book :どれ1つとっても、、、ない。どれもだめ。
not any books :数に関係なく、、ない。いくつだろうとだめ。

 こういうことです。

(1) I don't have any book.

(2) I don't have any books.

 もうお分かりですね?
 (1)は「どの本も持っていない」、「いかなる種類の本も持っていない」であり
 (2)は、「数にかかわりなく本を持っていない=1冊も持っていない」の意味なのです。

 では疑問文で考えてみましょう。

(3) Do you have any book?

(4) Do you have any books?

 (3)は、「どんな種類でもいいから、とにかく1冊の本を持っているか?」とたずねる英文。
 (4)は、「何冊でも数にはこだわらないから、とにかく本を持っているか?」とたずねる英文。

言い換えると「 any +可算名詞」は次のいずれかだということです:
1、「 any +単数名詞」:any kind of 単数名詞(どの種類の~でも
2、「 any複数名詞」:any number of 複数名詞(どんな数の~でも

 すなわち3の質問は、「小説でも漫画でも辞書でも、ジャンル、種類は問わない。それが本でありさえすればいい」という気持ちを背景とした質問です。
 4の質問は、「数はどうでもいい」という気持ちであり、たった1冊でもあれば「Yes」で答えられます。

疑問文の中の some / any

 some / any の単語としての意味を十分理解できてくると、これらが疑問文に用いられたときのニュアンスの違いも理解できます。

(5) Do you have some books?

(6) Do you have any books?

(5)は「 You have some books. ですか?」とたずねているわけです。つまり質問の前提にあるのが「あなたは何冊かの本を持っている」という肯定的事実であり、そういう期待をこめて尋ねていると言えるのです。だから「あなたは何冊か本を持っていますよね?」のように「 Yes 」の返事を最初から予測・期待した質問と考えます。
 (6)は、「数に関係なく本を持っているか?」が細かい意味ですから、「1冊でもいいし、2冊でも、もっと多くても、それは関係ない」のであり、こういう質問の仕方をするのは、「相手が本をどれだけもっているかがまったく不明」である前提となります。ですから「 Yes / No 」のどちらの返事が返ってくるか質問者は予測できていません。純粋な疑問として質問しているのです。そのあたりを言葉に出して和訳するなら 「何冊でもかまわないんだけど、君は本を持っていますか?」 となります。

 さてこれまで「数えられる名詞」と some / any の組み合わせを見てきましたが、some / any は数えられない名詞とも用いることができます。もちろん、その場合意味が少し変わってきます。

 数えられる名詞は「いくつ」で数的に把握されますが、数えられない名詞は「いくら」という量で把握されます。

some waterいくらかの水
any water1、水でさえあれば量を問わずいくらでも
2、どの種類の水でも

 数えられる名詞の場合、any book / any books と名詞が「単数形か複数形か」によって上記、1,2いずれの意味であるかが判別できましたが、不可算名詞には複数形がありませんので、見かけ上、1,2どちらの意味なのかは分かりません。あくまでも文脈から判断されることになります。

 「 any+不可算名詞」は次のいずれかと同じ意味だと言えます:

1, any kind of 不可算名詞(どんな種類の~でも)
2, any quantity of不可算名詞(どんな量の~でも)

  このような意味として「 any 」は肯定文にも当然用いることができるのです。

(1) Any wine is fine with me.

(ワインでさえあれば私は種類にこだわらない)

(2) Did you drink some beer?

(ビール飲んだんじゃない?/飲んだでしょう?)

(3) Did you drink any beer?

(たとえわずかでもビールを飲みましたか?)

(4) I'd like to have some beer.

(ビールでも飲みたい)

(5) Did you drink beer? ( some も any もなし)

([コーラやジュースでなく] ビールを飲みましたか?)

(6) I want to drink beer.( some も any もなし)

([ コーラやジュースでなく ] ビールが飲みたい。)


not any =完全否定

 これは本来、この代名詞の項目ではなく「構文」の中で解説すべきことがらですが、これまでの理解と関連性が深いので、この場でとりあげたいと思います。

I don't have any books.

(私は一冊も本を持っていない。)

 この英文で「 not...any 」の組み合わせが「1つも、、ない」の完全否定を意味していることは、中学段階でも習うことかと思います。ここで是非注意していただきたいのは「 not, any 」という「部品さえそろっていればいい」のではなく、 not が先に現れ、あとから any が出てくる」という「語順」も重要だということです。

 ですから
Anybody is not in the room.<間違い
 として「部屋にはひとりも人がいない」の意味にはできないのです。
 これは英語の習慣として「肯定文なのか否定文なのか」をできるだけ早い段階で明確にするというものがあるためで、「 any 」が先に見えた(聞こえた)瞬間、読者(聞き手)は、それが「いかなる、、でも、、だ」や「いくつの、、、でも、、だ」という強い意味の肯定文だと思い込みます。そこにあとから「 not 」が出てきてしまうと、その理解が混乱し、意味がつかめなくなってしまう(=通じない)のです。

 しかし先に「 not 」が現れれば、それが否定文であることがまず了解され、「どの程度の否定か」について、あとから any で「完全否定」となり、読者(聞き手)は、思考の混乱もなく、スムーズに文意が理解できます。

 では、上の「 anybody is not..」のような文章はどうすればいいのでしょう?
 答えは簡単。Notany より前に引っ張り出すのです。

Not anybody is in the room.

 まずはこれで正しい英文になります。「 not anybody 」と否定語を先行させることで「誰一人として、、、ない」という「ない」の結論を先んじて伝えることができ、聞き手は「否定文を聞いている」ということをあらかじめ理解できます。また「 not any 」を「合体」させると次の英文が得られます。

Nobody is in the room.

 英語に「 no 」という言葉がある大きな理由がこれで見えてきます。つまり No +名詞」を主語に取ることで文頭からそれが否定文であることを明示することができ、「肯定・否定をできるだけ早く明確にする」という言語習慣にかなうわけです。

 さて他にも多くの不定代名詞がありますが、辞書で調べればわかることがほとんどですから、このサイトでの解説はここでとめましょう。また必要があれば、別の項目を設けて追加説明もすることにします。




 それではビデオによるトレーニングです。
 ここで学んだことがらが、どのように実際の英語の中に現れているのかを観察し、自分でも繰り返し練習して、感覚的に十分に習得してください。

Plastic Surgery
 「 others 」という単語は「他人」という意味で広く用いられています。
 また「 other people 」という形でも現れています。

 動画最初のタイトルに現れる「 It's none of your business.」は決まり文句で「あなたには関係ない。放っておいてくれ」などの意味。「私には関係ない。知ったことじゃない」なら「 It's none of my business.」となります。




Police Officers
 このビデオの後半部分から「 Some / Others 」の組合せが連続して現れます。
 使われ方をよく理解し、自分でも適切な場面で、この表現を活用できるようになりましょう。




Shock Yourself
to Get Better at Math
 このビデオでは、全体が50人というグループについて「25人」と「残りの25人( the other 25 people )」というふうに the other が現れます。50人というグループを半分ずつにわけ、「残り全部」を指すときは「 the 」がついていることを再確認してください。




I am a Princess
 ここでも「他人」という意味で「 others 」が使われています。
 非常に平易な英語でありながら、美しい文体と滑らかなリズムが心地よく、人の心に響くメッセージを強く伝えてきます。
 最終行の「 Long may I reign. (我が治世の末永きことを。)」は、「祈願文」という形式のもので、「 May the Queen live long!(女王万歳!)」と同様のもので、末尾の long が強調で前に出たものです。詳しくは「動詞>法」の中で解説しますのでここでは一種の決まり文句だと理解してください。


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