/aɪ/, /eɪ/, /ɔɪ/ の発音

 それではここから二重母音についてさらに具体的に学んでいくことにしましょう。
 最初は、/a/, /e/, /ɔ/ を第1母音として、そこから /ɪ/ へと以降するタイプの二重母音です。調音点が第1母音から第2母音にかけてどう移動しているかを示したのが下の図です。ちょっと入り組んだ図にになるため、大きく示すことにしました。

diphthong 1

 二重母音はいずれも最初の母音をはっきりと発音し、その直後にあとの母音を短めに添えるようにして発音します。音の中心は前の母音であり、「2つの母音がただ並んでいる」という誤解を避け、そういう聴感上の印象を直感的に伝えようとして、/aɪ/, /eɪ/, /ɔɪ/ といった独自の記号でこれらを表記している辞書もあります。

 すでに述べました通り、重母音には単母音で使われなかった記号が使われていま す。、 /aɪ/ という二重母音の第1母音は、もともと /ɑ/ を発音しようとしていたのが、あとに続く、 /ɪ/ へと移行しやすいように無意識に/ɑ/ の発音で調音点が前に移動してしまった結果として現れる音です。ですから特に/a/ 単独の発音を新たに練習しようとしなくても、すでに覚えた 、/ɑ/ に 、/ɪ/ を続けようとすれば自然と 、/aɪ/ の二重母音になっています。

 それではこれらの二重母音を含む単語の練習をしましょう。

aisle /aɪl/ 通路
ice /aɪs/
fine /faɪn/ 元気な
nine /naɪn/ 9つの
five /faɪv/ 5つの
right /raɪt/ 正しい
like /laɪk/ 好む
kind /kaɪnd/ 親切な
knife /naɪf/ ナイフ
mine /maɪn/ 私のもの
cry /kraɪ/ 泣く
dry /draɪ/ 乾燥した
fly /flaɪ/ 飛ぶ
ate /eɪt/ 食べた
ache /eɪk/ 痛む
ape /eɪp/ 類人猿
cake /keɪk/ ケーキ
date /deɪt/ 日付
late /leɪt/ 遅れた
lake /leɪk/
fate /feɪt/ 運命
trade /treɪd/ 商取引
play /pleɪ/ 遊ぶ
pay /peɪ/ 支払う
way /weɪ/ 道;方法
lay /leɪ/ 飛ぶ
oil /ɔɪl/
coil /kɔɪl/ コイル
soil /sɔɪl/
boil /bɔɪl/ 沸かす
foil /fɔɪl/
broil /brɔɪl/ あぶる
coin /kɔɪn/ コイン
noise /nɔɪz/ 雑音
choise /tʃɔɪs/ 選択
boy /bɔɪ/ 少年
moist /mɔɪst/ 湿った
royal /rɔ́ɪ.əl/*1 王室の
poison /pɔ́ɪzn/*2
  • 註1: royal は roy-al の2音節。/ɔɪə/という3重母音ではなく、/ɔɪ/ という二重母音音節のあとに/ə/ で始まる別の音節が続いているだけ。
  • 註2: poison も poi-son で2音節だが、/pɔ́ɪ-zn/ と第2音節に母音がない。これは /pɔ́ɪ-zən/ と曖昧母音があると考えてもいいし、それがさらに弱形化して完全脱落したと見てもよい。/l/, /n/ は末尾などアクセントのない音節で母音なしの「子音音節」を構成することがあり、syllabic consotan(t 音節を作れる子音)と呼ばれている。

/aɪ/ の発音
/eɪ/ の発音
/ɔɪ/ の発音解説ビデオは EnglishCentralにありません。

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/aʊ/, /oʊ/ の発音

diphthong 2

 第2母音として / ʊ/ につながるタイプ。
 他の二重母音同様、最初の母音が、強く明確に発音された直後、短めに / ʊ/ の音を添える感じ。

 これも辞書によっては、/aʊ//oʊ/ という独自表記を採用していることがあります。
 二重母音ではしばしばあとに続く母音への連続性が容易になるよう、前の母音の調音 点が自然と移動してしまうことがありますが、この /oʊ/ でも第1母音が本来の /ɔ/ から /ʊ/ 音への連続性のため調音点が近い /o/ に変化しています。

 なお二重母音 /oʊ/ はアメリカ英語の発音であり、イギリス英語では第1母音の口の丸みが弱まって /əʊ/ と発音される傾向にあります(常にではない)。

/aʊ/を含む語
out 外で /aʊt/
loud 音が大きい /laʊd/
cloud /klaʊd/
shout 叫ぶ / ʃ aʊt/
house /haʊs/
mouse ねずみ /maʊs/
cow /kaʊ/
bow おじぎする /baʊ/
crowd 群集 /kraʊd/
about ~について /əbaʊt/
/oʊ/を含む語
go 行く /ɡoʊ/
boat ボート /boʊt/
hold 抱く;かかえる /hoʊld/
hope 希望する /hoʊp/
rope ロープ /roʊp/
show 見せる /ʃ oʊ/
toe 足指 /toʊ/
road 道路 /roʊd/
load 積荷 /loʊd/
float 浮かぶ /floʊt/


区別に注意が必要な語
coat /koʊt/ コート - caught /kɔːt/ catchの過去・過去分詞形
so /soʊ/ それほど - saw /sɔː/ seeの過去形
boat /boʊt/ ボート - bought /bɔːt/ buyの過去・過去分詞形
road /roʊd/ 道路 - broad /brɔːd/ 幅広い
low /loʊ/ 低い - law /lɔː/ 法律
out /aʊt/ 外で - oat /oʊt/ オート麦の
crowd /kraʊd/ 群集 - crow /kroʊ/ カラス
noun /naʊn/ 名詞 - known /noʊn/ 知られた
south /saʊθ/ - soul /soʊl/
bough /baʊ/ 大枝 - bought /bɔːt/ buyの過去・過去分詞形
flow /floʊ/ 流れ - flaw /flɔː/ 傷;欠点

/aʊ/ の発音
/oʊ/ の発音

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/ɪɚ/, /ɛɚ/, /ʊɚ/ の発音

diphthong 3

 これらの母音は、英式発音で / ɪər/, / ɛər/,/ ʊər/ となります。イタリック体の  これらの母音は、英式発音で、 /r/ は直後の母音と音のリンクを起こすときだけ現れます。

 米式発音の /ɪɚ/, /ɛɚ/, /ʊɚ/ を二重母音と見なさず /ɪr/, /ɛr/, /ʊr/ としている辞書もありますが、いずれの表記方法でも表そうとしている音自体は同じものですから、音声学的分類法や記号表記にこだわるよりも、「記号を参考にして音そのものを習得する」ことに重点を置いてください。

 発音の要領としては、英米式のどちらでも基本は同じで、最初の母音をしっかり強く発音した直後に舌の力をふっと緩めればよいのです。そのまま曖昧母音に移ればイギリス式の発音であり、そのとき /r/ を発音する位置に舌を持っていけば米式発音になります。 /ɛ/ の記号はこのサイトの解説では重母音の中だけに現れますが、 /e/ の発音をするときの左右の唇の引き方をやや弱め顎の開きがわずかに大きくなる程度の違いです。重母音ではあとに続く母音への移行のしやすさの関係で前の母音が多少変位することがありますが、この /ɛɚ/ も同様で、 /eɚ/ というつもりで発音しても、前の母音 /e/ が「直後に /ə//ɚ/ を発音しようとして」自然に顎の開きがやや大きくなった結果です。

 辞書によっては  これらの母音は、英式発音で /ɛ/ の記号を用いず、 /eər/ といった表記により、使う記号の種類を減らしているものもあります。 米式 /ɚ/ は英式で r/ に対応します。直後の母音とリンクするときだけスペルの r が音 として現れますが、母音が続かない場合、 r は発音されません。簡略化のためにここでは米式発音のみ示しますが、リンク先のOALDには /ɪə(r)/ と英式も示されています。(括弧に入った /r/ は本書のイタリック体の /r/ と同じ意味です。)

  /ɪɚ/ の音を含む語
 ear /ɪɚ/
 here /hɪɚ/ ここで
 near /nɪɚ/ 近い
 year /jɪɚ/
 rear /rɪɚ/ 後部
 
  /ɛɚ/ の音を含む語
 hair /hɛɚ/ 頭髪
 pair /pɛɚ/ ひと組
 rare /rɛɚ/ まれな
 care /kɛɚ/ 世話;注意
 wear /wɛɚ/ 身につける
 
 ※ ear と year の発音に注意。year の頭の子音の発音を脱落させないように。
 
  /ʊɚ/ の音を含む語
 cure /kjʊɚ/ 治癒する
 pure /pjʊɚ/ 純粋な
 sure /ʃʊɚ/ 確かな
 tour /tʊɚ/ 周遊旅行
 mature /mətʃʊɚ/ 成熟した




 

 それでは /ɪɚ//ɛɚ/ の発音を含む語が出てくるビデオでさらに練習を重ねることにしましょう。タイトルを見てすぐ「ear(耳)」という単語が出てくるのはわかりますね。

 EnglishCentral の発音記号では長音記号(ː)を一切用いていませんので、/i/ という記号が、このサイトでの /iː/ /i/ のどちらにも相当することがあると考えてください。

 左のサムネイルをクリックすると動画プレイヤーのウインドウが開きます。操作の要領については「EnglishCentral動画使用法」を参照してください。

  • スクール(Round-EC Language Instutute)の受講者の方は、ブラウザの別タブであらかじめ EnglishCentral にログインしておくと、埋め込み動画での学習が記録されます。
  • スクールに関する情報は、「 Round-EC Language Institute」のページをご覧ください。

「ギネス:一番長い耳を持つ犬」

  1. I got Harbor when he was nine weeks old.
    ハーバーを飼い始めたのは、彼が生まれて9週間の時です。
  2. And he used to trip on his ears walking.
    歩いているときに、彼はよく耳につまずいたものです。
  3. And down the stairs, he used to roll down the stairs because he would trip on them.
    階段を下りる時は、耳につまずいて、階段を転がり落ちたものでした。
  4. And he still sometimes trips on them but not as much as he did when he was just a little pup.
    今でも時々耳につまずきますが、小さな子犬だった頃ほどにはしなくなりました。
  5. I sometimes play with his ears to make kids or friends laugh.
    私は時々子供たちや友達を笑わせるために、この耳で遊びます。
  6. We put them up on his head like Princess Leia.
    頭の上に耳を乗せて、レイア姫みたいにしたり。
  7. Or cover his face with an ear if he's napping.
    昼寝しているときは、片耳で顔を隠したりします。
  8. When Harbor and I are walking down the street, almost every person we pass...
    ハーバーと私が道を歩いていると、通り過ぎる人ほとんどすべてが...
  9. ...says something about his ears.
    ...彼の耳について何かを言います。
  10. I've had a lot of people take photos of him, strangers on the street.
    沢山の人が彼の写真を撮ります、道で会う知らない人たちですよ。
  11. I've had garbage trucks pull over...
    ゴミ収集車が停車して...
  12. ...and the garbage man get out of the driver seat and jump down to pet him...
    ...ゴミ収集の人が運転席から出てきて、飛び降りて彼をなでたりして...
  13. ...and meet him because of his ears.
    ...会いたがることもありました、それも彼の耳のせいなんですよ。
  14. And I don't even see his ears anymore, most days I forget how really oddly long they are.
    私はもう彼の耳を見ることもないんです、ほとんどは、耳がどれほど奇妙に長いのか忘れています。
  15. It's really fun to be the owner of a Guinness World Record holder.
    ギネス世界記録の保持者の飼い主でいることはとても楽しいことです。
  16. The credit goes to my nephew, who started the process of being here today and...
    これは私の甥のおかげです、ギネスに登録する手続きをとってくれて...
  17. ...his proud owner. I think it's a riot.
    ...自慢できる飼い主になれました。このことすべてがすごく面白いことだと思います。


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