/æ/ の発音

pronunciation ae

hat /hæt/ ← 発音記号をクリック:Oxford Advanced Learner’s Dictionary による英米の発音サンプル

 まず「hat( 帽子)」という単語に含まれている / æ / の記号で表される音から解説しましょう。この記号は見ても分かるとおり「a e」の2文字が合体したような形をしていますね。そして実際 /a//e/ の音の中間の音だと言えます。右の調音点表を見ると、「口の前方」で発音される音で、/a/より上、/e/ より下にその位置が示されています。 / ɛ / という数字の3を反転させたような音も見えますが、これは今は考えなくて構いません。つまり「æ は a と e の中間の音(あるいは混ざった音)」だと考えてください。

ae form

 唇の形としては、/ a / ほど大きく開かず、/ e / ほど左右に引かないということになります。

 要領としては「ア」を言う口の形のままで「エ」を言うか、その逆に「エ」の形で「ア」を言えば自然とこの音になります。鏡を見ながら「ア」を言う構えを作ってみて、そのまま「エ」を言うと口の開きが少しせばまり、両脇が左右に引かれるのが分かるでしょう。それが / æ / を発音するときの口の形です。

 そのように発音しようとすれば、自然と舌の位置もやや前よりに移動していますので、ことさらに舌の構えを意識しなくても大丈夫でしょう。無理に舌のどこかを持ち上げようとしなくて構いません。この母音の場合は、口の形を意識するとほぼ無意識のうちに舌の位置も連動します。

 / æ / の音を含む例を通して練習しましょう:
(まだ習っていない記号は音声サンプルをまねてください。発音記号をクリックすると Oxford Advanced Learner’s Dictionary でその単語のページが開き、英米両方の発音が聞けます。)

apple / ǽpl /りんご
bat / bǽt /( 野球の)バット、こうもり
bag / bǽg /かばん
bad / bǽd /悪い
cap / kǽp /ふちのない帽子 
map / mǽp /地図

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EnglishCentralの解説・練習ビデオ

 それではさらにEnglishCentralのビデオの中から今回の解説項目に関連したものを使ってさらに練習を重ねることにしましょう。

 左のサムネイルをクリックすると動画プレイヤーのウインドウが開きます。操作の要領については「EnglishCentral動画使用法」を参照してください。

  • スクール(Round-EC Language Instutute)の受講者の方は、ブラウザの別タブであらかじめ EnglishCentral にログインしておくと、埋め込み動画での学習が記録されます。
  • スクールに関する情報は、「 Round-EC Language Institute」のページをご覧ください。

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/ʌ/ の発音

pronunciation uh

 この記号は大文字の「A」の横棒を取ったような形をしています。
 ほんの軽く口を開き、喉の奥の方で短めに「あっ」と言う感じの音です。日本語でも、何か呆気にとられたとき思わず発する音でもあります。唇にはまったく力を入れず特別な形や丸みを作ろうとせず、あごの力を抜いて軽く口を開きます。開き具合は指一本入るか入らないかという程度。そして喉の奥で短く「あっ」と言ってみてください。調音点表では日本語の「ア」と「オ」の中間あたり、さらに口の後ろとなっていますね。上の左図で正面から見た口の開きが「力を抜いてだらしなく、なんとなく開いている」感じが分かるでしょうか。

choonten uh

 / ʌ / の音を含む例です(発音記号をクリック⇒OALDの音声サンプル):

 cut / kʌ́t /切る
sun / sʌ́n /太陽
run / rʌ́n /走る
bus / bʌ́s /バス
hut / hʌ́t /小屋
one / wʌ́n /(数字の)1、ひとつ(の)

 この発音は単語のスペルとして「u」の文字が当てられることが多くあります。だからといって「u」のスペルを常にこの発音にしてよいというわけではありませんので、あくまでも1つの目安程度に考えてください。また、「one」という単語は、どうしてこのスペルで / wʌn / と読めるのか不思議に感じるかも知れませんが、これは長い英単語の歴史に関わることなので、今は深く考えず例外的に捉えておいてよいでしょう。

 この / ʌ / の音は日本人にとって習得の難易度が低い部類に入ります。調音点表を見ても他の母音に比べて「中央より」の調音点であることから、もともと日本人の音の出し方に近い位置で発せられる母音であり、日本人も日ごろの生活の中で、これと同じ音を出していることがしばしばあるからです。

 他の母音は、調音点表の特に極端に前や後ろにある場合、日本人としては意識的に口の動きをはっきりさせて発音する必要があります。

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/ɑ//ɒ/ の発音

ah

 この /ɑ/ という記号で表される音はアメリカ英語特有のものであり、イギリス英語にはありません。

 この記号で表される音は、あらゆる母音の中で一番口の開きが大きく、かつ最も口の奥で発せられる音です。「あくびをするときの口の開き」とよくたとえられるほど、日ごろあまり極端に口を動かさない日本人は、強く意識して口を大きく開き、舌の表面全体をべたっと下げる感じにして、口の中の容積を大きく取って発音してみてください。  口の開きの大きさとしては「指2本を縦に入れてまだ余裕がある程度」です。日本語で普通に「あ」と言うとき、これほど大きく口を開く人はまずいないでしょう。このように「日本語の音に置き換えようとする気持ち」を意識的に断ち切って「新しい音」を覚えるつもりで1つ1つの母音を習得してください。

 特に最近のアメリカ英語の傾向性として、この/ ɑ /音が長めに発音されるようになってきており、/bɑ́ks/ という記号で書かれていても、実際には /bɑ́ ː ks/ と長母音になる傾向が見られます。辞書でも最近のものはこれを長母音で示しているものが多いようです。

 / ɑ / 音は、イギリス式発音では、ほぼ機械的に /ɒ/ に置き換わります。イギリス英語を学んでいる方のために、 /ɒ/ についてもこの場で解説することにします。

  /ɒ/ の音は、イギリス英語特有の音で、アメリカ英語の /ɑ/ と口の開きの大きさや舌の位置は同じですが、唇がやや丸みを帯びます。大きな口で「あー」とまず言ってみて、そのまま唇の両脇部分をわずかにせばめるとこの音になります。

British O

 調音点表を見ると英語の母音は / ə / の記号を除いてすべて日本語の「アイウエオ」よりも大きく外側に分布しているのが分かります。日本人は何かを話しているときも、あまり口を大きく動かさず、英語話者の耳にはどこか「もごもご」言っているようにさえ聞こえがちですが、逆に日本人の耳に英語ネイティブの声は「響きがよく、大げさな感じ」に聞こえることがあるでしょう。それは英語の母音の調音点分布が、日本語よりも大きく前後上下に離れているため、いろいろな単語に含まれている様々な母音を発音すると、自然と口の動きが極端になることと、口の中の容積を大きく広げた音が多いためです。

 それに加えて「発音」だけでなく「発声」の習慣も違うのが、英語ネイティブの声の印象を大きく左右しているのですが、これは意味の伝達には関係ありませんので、本書では解説しません。

 では、アメリカ英語で / ɑ /、イギリス英語で / ɒ / が対応する例について練習しましょう。本書では英米式で発音表記が異なる場合、アメリカ英語を(Am)で、イギリス英語を(Br)で表すことにします。

 なおイギリス英語の /ɒ/ という記号を用いていない辞書もあり、そういう辞書では /ɔ/ で表記されています。やや古い辞書ではその傾向があるようで、実際イギリス英語の発音も以前は /ɔ/ の音だったものが最近では口の開きが大きくなる傾向が出てきたため、新しい辞書ほど /ɒ/ の記号を用いているようです。記号の問題よりも実際の音声サンプルからイメージをつかんでください。

box (Am)/bɑ́ks, bɑ́ːks/(Br) /bɒ́ks/
doll (Am) /dɑ́l, dɑ́ːl / (Br)/dɒ́l/ 人形
hot (Am)/hɑ́t, hɑ́ːt/ (Br)/hɒ́t, hɔ́t/ 熱い
not (Am)/nɑ́t, nɑ́ːt/ (Br)/nɒ́t, nɔ́t/ ~ではない
doctor (Am)/dɑ́ːktɚ/ (Br)/dɒ́ktər/ 医者
clock (Am)/ klɑ́ːk/ (Br) /klɒ́k/ 時計

 ここまでの復習として日本人には区別しにくい次の単語で比較練習をしましょう。
 英語の発音が日本語のカタカナでは決して書き表すことができないということはこれまで何度も述べました。最初に学ぶこの3つの記号で表される音も、あえて日本語の仮名を当てるとすれば、すべて同じ「ア」になってしまうところです。しかし、英語ではもちろん別々の音として認識されます。

hat-hut-hot

(1) hat(帽子)---- / hǽt /
(2) hut (小屋)---- / hʌ́t /
(3) hot (熱い)---- (Am)/ hɑ́ːt / (Br)/ hɒ́ t /

 例によって発音記号をクリックするとOALDのリンクが開き、英米両方の発音が聞けます。

 「英単語の読みを決してカタカナでふってはいけない(平仮名でもダメですよ!)」と常々繰り返してきましたが、その理由を端的に表しているのが上の3つの単語ですね。

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これまでの復習をしましょう

 それでは、ここまでで学んだ2つの母音 /æ/, /ʌ/, /ɑ/ について、どんなところにその音が現れているのか、EnglishCentral のビデオで確認し、発音練習をしましょう。

 下にはビデオのセリフ(英語字幕)のどこにこれらの母音が含まれているかを色で示してあります。青い文字は /æ/ の音、 赤い文字は /ʌ/ の音、そして緑の文字が /ɑ/ の音です。もちろん、まだこのサイトでは3つの母音しか学んでいませんので、まだ知らない音も沢山含まれていますが、まずはすでに習った3つの母音を重点的に確認する気持ちで取り組んでみてください。

  1. New friends are all around the world.
  2. Some are like you, and some are different.
  3. I am Chang-Yong, and I am ten.
  4. My family lives in South Korea.
  5. I like going to school and playing ball.
  6. My best jacket is made of silk.
  7. My favorite food is barbecued beef.
  8. Jessica is my name.
  9. I live in Australia.
  10. I am six.
  11. I live with my mother and grandmother.
  12. My mother is a cook.
  13. I love to watch kangaroos hop around.
  14. I am Natasha, and I am seven.
  15. My home is an apartment in Moscow, Russia.
  16. I like dancing.
  17. I wear a fur hat and coat in winter.
  18. I play in the snow.
  19. I love to eat pancakes.
  20. I live in Tanzania.
  21. Manka is my name.
  22. We live in a hut with a grass roof.
  23. My father takes care of our cows.
  24. I get water from a well.
  25. I make toys out of clay.
  26. I am Kipanik.
  27. I live in Canada, where it is cold.
  28. My dogs pull me on my sled.
  29. I play hockey with my friends.
  30. Our dads hunt animals for food.
  31. I like meat with ketchup.
  32. How are you like these children.
  33. How are you different


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