効果的な学習方法とは

 定期試験や入試などに追われる学生などは特に「効果的、効率的」な学習方法を求めます。それは当然のことであり、無駄の多い効果の伴わない学習は無意味です。今A地点にいるあなたがB地点までできるだけ速やかに達するためには、その2点を結ぶ直線コースを進むのが最も効果的で効率的といえます。逆に前に進まず左右に道をそれてはまた戻りを繰り返せばそれだけ余分な時間がかかりますね。

pic  ふもとからある高さを目指すとき、100メートル前進して10メートル上がるのと、50メートル前進しただけで同じ10メートルあがるのでは後者の方が効率的です。しかしより短い距離しか前進せず同じ高さにたどりつこうとすれば、それだけ強い勾配の坂道を登ることになります。

 中学1年生の最初から高校卒業までの6年間をかけてひたすら勾配を上り続けて来た人はそれ だけの高みに到達しますが、中学の3年間をたた平坦な道を進んできてしまった人は残りの3年間で同じ高さに到達しようとすれば、より急勾配を登る覚悟をしなければなりません。その苦痛を避けて緩やかな勾配しか登りたくないのであれば、3年後に到達できる高みもわずかなものしか期待できないのは当然です。

 ここでもまったく「当たり前」のことを述べていますが、この当然なことを踏まえないで学習の指針は立ちません。他人が6年かけてがんばり続けてきた高さに3年で到達しようとすれば、それだけきつい勾配を登りきらなければならないという現実にまず目を向けてください

 しかし中学、高校の学習内容というのは常に一定の勾配であったわけではなく、特に初学者の段階では非常に簡単なことを時間をかけて学んでいた段階もあります。年齢を重ねた人には自然に理解できるようなことでも、中学低学年など抽象思考にまだ弱い学年では、より噛み砕いた説明でゆっくりと学習が行われますので、中学1年間の英語の学習内容を高校1年生が2週間程度で学び切ることはそれほど無理なことでもありません。

 そして大学生や大人になってから英語を学び直そうという場合、さらに人生経験も豊富であり、抽象思考にも強くなっていますので、1つの文法事項を理解するのも中学・高校時代より容易に感じるでしょう。ですからあとになってからでもがんばり1つで前からがんばっていた人に追いつくことは可能ですが、ずっと英語の勉強を避けていた受験生が高校3年生の3学期、入試まであと2ヶ月になってから、「効率のよい勉強方法」を求めるのは単なる夢想です。そのまま平坦な道を進み続け、まったく0の高さのまま登山を終えるか、人は頂上まで行けても自分はなんとか3合目までは登って終わろうと腹を括るかのいずれかを選択しなければならないでしょう。


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