言葉が通じるのはなぜ?

pic  アメリカ人同士が英語で会話して、言葉が通じるのはなぜでしょう?先に「当たり前すぎて疑問にさえ思わなかったこと」を考え直すと述べましたね。日本人同士が、アメリカ人同士が、それぞれの言葉で会話がちゃんと成り立つのはなぜでしょう?このことからまず考えてみてくださ い

 2人の人がいて、言葉が通じ合うというのは、その2人が「同じ言語文化」の中に属しているからです。たとえば、最初に主語を言うとか、次に述語を言うといった言葉が持つ情報をどのような順序で相手に伝えるのが通常であるといった「言葉の上での習慣」を共有しているからこそ、自分の言ったことの意味を相手は理解します。もし仮にそういう習慣が異なる相手であれば、こちらが主語のつもりで口にした言葉が述語として伝わってしまい、これでは当然コミュニケーションになりません。

 「言語習慣を共有」しているというのは:

  1. その言葉に用いられる「音声」が同じである
  2. 語順などの文章構成のパターンが同じである
  3. 強弱、抑揚などの音声的なコントロールの習慣が同じである
  4. 一連の音の連続で構成される「語」が伝える意味を共有している
 などのことです。

 日本語には日本語の、英語には英語特有の「」が用いられます。同じ言語文化に属している者同士であれば、互いに理解し、発することのできる音を持ちます。自分が聞き取れる音とはすなわち、自分が出せる音なのです。逆に言うと、自分が出し方を知らない音は適切に聞き取ることに苦労します。日本人が英語を学ぶとき、極めて大切なのはこの点であり、日本語には含まれていない英語特有の音を1つ1つ丁寧に理解し練習し、自分でも出せる音のレパートリーを広げていかなければならないのです。厳密に言えば英語と日本語で共通している音はほとんどなく、現実にはすべての英語の母音、子音の「音の出しかた」から始めなければなりません。

pic  言語が違えば発音も、単語も、文法も異なります。英語には英語の習慣としての単語の並べ方があり、どういう発想によりどんな言葉から順番に思い浮かべられるようになればいいのかという「新しい言葉の文化」を自分の中にも築き上げていく必要があります。文法を理論として覚えるのではなく、文法が教えてくれる英語の習慣を自分の中に取り込むのです。何もルールとして暗記する必要はなく、どんな文法事項も、なぜそうなのか、なぜそう言うのかをじっくり考え納得し、同じように考え、感じられる感覚を身につけることが大切です。そしてその具体的な方法を本サイトでは詳細に解説します。

 ある動物を指して「いぬ」と呼ぶ文化の人が、同じ動物を「ねこ」と呼ぶ文化の人とは会話が成り立ちません。1つの言語の中でコミュニケーションが成り立つためには、その言語文化で標準的に共有されている語彙、つまり単語を用いなければならず、それがその文化の人たちが行っている読み方で発せられなければなりません。

 まわりくどいことを書きましたが要するに「英語」という別の言語文化を日本人である自分の中に「新しく構築」するのです。赤ん坊なら白紙の状態からそれを行って母国語を身につけますが、それを「脳の新たな領域」を使い、赤ん坊が3年から5年かけて作り出す脳内文化を、文法理解の補助によってもっと短期間に成し遂げます。一定のレベルに達したあとは、英語ネイティブがさらに英語の上達をするのとまったく同じ要領となります。日本人も日本語の上達のためには読書をして、表現力を高め、様々な場面で言葉を使う実践訓練を重ねますね。それと同じです。

 発音というと母音や子音といった「音」の単位を正しく出せることを思い浮かべますが、それだけでは十分といえません。単語やフレーズ、文章といった一定の単位について、その全体を「どう読むか」という、もう一段階上のコントロールが文章の意味を大きく左右します。これについても発音の章で「様々な音声学的現象」の中で詳細に解説します。

 英語という新しい「言葉の文化」を自分の中にも作りあげていくためには、英語の習慣を知らなければなりません。音にしても語順にしても、使うべき単語にしても、英語話者と同様の習慣を身につけてしまえば、あとはその習慣に従って、頭に浮かんだ順序のまま言葉を発すればそれが英語になっていきます。いかにしてその習慣を身につけ、感覚を習得できるのかについて、本書では順次基礎的なことから解説を重ねていきます。センスや才能の個人差などありません。今日本語が習得できているだけのセンスと才能があれば、すでに「英語も同様に習得できる」才能の持ち主であることを証明しているのですから。


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